夏のエフェクト

昨日
夕方まで自宅でひたすら電卓を叩き
無い知恵絞って必死に未来について考えた
いつもそうだが
机の上では上手くいく
しかし実際始まってみると苦戦する
なぜだ?
その原因は?
学生時代
経営学部マーケティングマネージメントを学びながら
まったくその経歴を活かせない経営音痴
いつもより長めには悩んでみたが
誰に誘われるわけでおもなく酒場へと逃亡した

天気も良く
時間もあったのでスニーカーを履いて
鹿ケ谷から歩いて向かうことにした
先日まで桜で賑わっていた岡崎周辺も人影がすっかり消えて
美しい緑への世代交代が完了していた
一本だけ今頃満開の桜を見つけて
ふとどこかの鈍感な男を思い出した

岡崎を抜け東大路を超えて大好きな冷泉通へ
そこから見た夕焼けは
もう夏のエフェクトがかかっていた
個人的に京都が一番美しいと思うのは
これから梅雨に入るまでの緑の季節
様々な植物の緑だけのグラーデーションがたまらなく好きだ
だから出来るだけ車を使わず
心地よい街を歩きたい
そうすれば
ふらりと酒場に行くこともできる
筍の木の芽和えでキリッとした冷酒を
小鮎のてんぷらでよく冷えた黒ラベルを
今週は水曜から東京出張
しっかり仕事して京都に戻ったら
いつもの店をナイトクル〜ジング

堺町六角の奇跡

午後2時の岡崎
この交差店にこの時間に東向きなのはおかしいのである
3時に打ち合わせがあり
昼下がりに店頭に到着したのに
大急ぎで事務所へ戻っている
もうお分かりだろう
またしてもあの男にはめられた
連絡をくれないから二度手間になった
しかしまあ
そのおかげでこの爽快な広い空を見れたし
今日は大目に見てやろうと思ったが
店に戻って
『これより大きいダンボール出して』と頼んだら
全く同じ大きさのダンボールを出してきたので
さっきの分も含めて許すの中止
じゃんけんして勝っても負けてもデコピンをされるという罰を与えた

そんな僕にとっては試練でしかない店長吉川
しかし最近明らかに絶好調
今年度卸売は大暴落なのに
彼の担当する小売
つまりcassowaryの売上は2月3月と月間最高売上を記録
今月も間違いなく記録を更新する
ちなみに生産額は昨年の1/3
春夏の納品を例年の12月からではなく
2月下旬からに遅らせたにも関わらずだ
少々驚いている

関係各所より大絶賛される彼の『鈍感力』
そのせいかずいぶん前に教えたことが
ようやく脳の正しいところに届いたようだ
豆だってすぐ食べられる食べ方もある
けど
こういう納豆みたいなやつもいるんだ
納豆だけに粘った甲斐があったのか
それともただの時間の成果なのか
いずれにしろ
これまでの吉川とは少しだけ違うようだ
これを『堺町六角の奇跡』と私は呼んでいる

とまあ冗談半分で書いたけれども
今年の春
どうやら荒療治のおかげで
今までの自分たちの間違いを証明してしまったようだ
そしてこれは今後もっとはっきりとしていく
もう少しで整う
そうしたら一気に洋服のレーベルの当たり前を
一切やめて別の方法でやっていこうと思う
環境の改善をして
新しいことにも挑戦していく
もうちょっと
もうちょっとで楽しくなる

虫コナーズ

直営店だから売れて当たり前
馬鹿なことを言うでない
我々は名の通らない

名を名乗らない京都の街角のただの洋服店である
そこで洋服のおまじないにかかった亡者が
その名を掲げて
街灯に虫が吸い寄せられるように扉を開けて
merphと書かれた札の付いた洋服を買いに来るわけではない
第一
我が店舗には看板もなく
店の名前もmerphではない

でも
merphの服はここで多くの人の手に渡る
彼らは僕らを知らず
初めてここにきて初めて見て
決して安くはない作品を納得して買って行ってくれる
そしてまたいつの日か戻ってきてくれる

何かがおかしくなった洋服業界で
生きていくために早々と作った自由な場所
それがmerphの直営店cassowary
ここでは洋服は洋服業界の邪悪なおまじないから解放されて
先入観なくその姿自体を見てもらえる
そうなるように僕らはリスクを背負って名を伏せた
メディア掲載を拒否した
皆が当たり前にプラスになると思っていることを疑った
その結果栄養を取ろうとして時に病になることもあることを知った

報告
冒頭の写真のカットソー
店頭用に用意した男女合わせておよそ40枚がもうすぐ無くなります
なのでもう40枚追加生産します
でも
黒じゃなくて
ネイビーのボーダーでやります
このTシャツ一枚に幅180cmの生地を2.1m使います
普通のTシャツが3枚ほど作れる分を裁断してたくさん無駄を出して
一枚のTシャツが生まれます
そうしないとできなかったんです
それをしたかったんだからそれでいいでしょう

 

 

いつしか眩しい 男の光

洋服の世界に身を置いて20年
気がつけば当時憧れた先輩たちの年齢を超えてしまった

20年てのはものすごく長い
人生の半分をもう洋服に支配されているわけだ
そしてこの20年という歳月は
洋服の世界が変わっていくには十分な時間だった

僕がこの業界に入った頃
洋服はもっと面白かった
色々な形にあふれて
デザイナーは自分のデザインを誇らしげに世に出していた
残念ながら我々の世界は変わってしまった
洋服はそのデザインよりも
それに付随するものが重要視され
本質を見失って現象に囚われている
面白くない
雑誌の取材も受けずPRもつけないで市場を意識しない
僕のやり方は理想論などと批判される

洋服のデザイナーなどという夢うつつをぬかす商売などダメだと
20年前に両親に反対された
洋服のデザイナーってのはそう言われてしまう商売なんだ
そのデザイナーが理想論を言わずしてなんとする
大手と取引したいからそうなるように商品を作る
セレクトショップのバイヤーは売りやすい商品の話ばかりする
売れないとメーカーのせいにする
洋服を買いに行く人間の意見を聞く限り
信頼をなくしているのは洋服自体ではなく
それを取り扱う人間だと思う

さあ文句を言っていても仕方がない
じゃあどうするんだmerph!
答えは簡単だ
ってわけで
また険しい道へ
The galaxy express 999 will take you on a journey a never ending journey.

 

david

10年も前になる
merphではなくまだlaluの頃
後輩の靴デザイナーとともにスニーカーを作った
それが非常に出来が良く
用意した在庫はすぐに完売した

ここ二、三年
そのスニーカーをかつて買ってくれた連中から
『あのスニーカー、また作らんの』
と立て続けに言われ
水面下でじわじわと復刻の準備を進めていた
もちろんただ同じものを作るのはつまらない
だから少しは成長した我々の実力と
新しい素材を盛り込んだ

そして出来上がったのがMR5011 “david”
IMG_1926スニーカーの製法で
レザーとフォルムでブーツの押し上げた
物理的軽さと視覚的重厚さの共存
10年前に負けない仕上がり
IMG_1932
ソールはJステップ
見事な滑り止め効果で雨の日も快適
カラーバリエーションも豊富なので
今回は鮮やかなオレンジを選んだ

昨日から店頭に並んでいるが
すでに私の知人を中心に問い合わせが殺到している
今回もすぐに完売となるか!

5年目の覚醒

大器と言われ続け
我々ドラゴンズファンの期待の象徴
背番号3になった今年
ついに高橋周平が覚醒した

三月末の怒涛の日々の疲れを癒すため
早めに家路に着いた昨日
冷凍してあったイカを解体し
イカキムチ炒めを作って珍しく家で黒ラベルを開けて
6時プレーボールの中日vs広島のナイトゲームを観戦
ルーキーの福が緊張丸出しのピッチング
運も悪く打ち取った当たりがぽとりと落ちたり
気がつけば四回途中で5失点
ほろ苦デビュー
敗色濃厚の雰囲気に疲れと黒ラベルでうたた寝開始
しかしドラマは七回に待っていた
それをわかっていたかのように
僕の眠気も突如として完璧に消えていた

何かざわざわした七回裏
まずは遠藤のタイムリーで一点
そこから3連続四死球で押し出し5−3になり
なおも1死満塁
ここで高橋周平に回ってくる
ナゴヤドーム全体がおそらく最高の結果を想像した
遠く離れた京都市左京区大文字の山の麓でも
ロン毛のおっさんが同じことを想像した
広島の中田はもう瀕死の状態
小細工のストライクからボールになるスライダーとシュートを周平はあっさり見逃す
解説の達川(去年までの中日バッテリーコーチ)が言う
『もうストレートしかこない、周平もそれを狙っている』
不思議な体験だ
知っている光景を見ているような
まんまと投じられた高めのストレートは
約束どおり右中間の一番深いところへ吸い込まれた

ヒーローインタビューで
ホームランを打った打撃について問われた周平は
『打球が象徴していたと思います』
と答えた
なんて頭がいい答えだと思った
そう思ったのは僕だけではなく
解説の達川もだった
『あんな答えをしたのはプロ野球選手で初めてじゃないか?』

なんとも気持ちの良い試合だった
なんだか3月のcassowaryのようだった
予算割れ濃厚だった終盤3/30
鈍感の大器吉川が奇跡のビッグイニングを演出した
毎年下馬評の低いmerphの反撃ののろしか!?
いよいよ桜も咲きシーズン本番
中日もmerphもここからが勝負

友人のドラマーが秦基博さんのツアーで京都入り
前々乗りで遊びに来た彼女とはしご酒していたところに
秦基博の前日が斉藤和義さんのライブであることが発覚
彼女に連絡が入り
僕も便乗してご招待いただき
なんと二日連続で新しくなった京都ロームシアターへ
親族や友人が音楽家だらけのおかげで
時々こういう恩恵にあずかる
ありがたし

1日目の斉藤和義はアルバムよりずっと骨太で
サポートメンバーも売れっ子ぞろいで
特にベースの人がすげえカッコよかった
横に座っているプロの解説によると
おそらく世代ナンバーワンだろうって
もちろん主役の斎藤さんも素晴らしかった
演奏や歌だけでなく
名物の長めの下ネタMC
今回のお題は観客席の女性からのリクエストで”OTOTAKE”
ここには書けないが
女性客が多いのにみな受け入れていた

そして2日目
いよいよ前乗りの女王の出番
前日と打って変わって
しっとりとした粒の揃った音のライブ
それでも響いてくるBドラの音
あの細い体でどうしてこんなに男前か
又しても後になってしまったけども
秦さんの生声はずるい
神様からの贈り物というしかない

やはり楽器が出来るというのはいい
どんなに下手でもいいから
やっぱりターンテーブル買う前に
世の中の少年少女には古道具屋でギターを買って欲しい
そしてバンドをやって欲しい
あんなに楽しいものはない
いろんなものが詰まっている

二日間
プロフェッショナルを全身で吸い込んだ
僕も今日から本職に戻り
2017SSのデザインを進めております

 

待ちビシエド来る

開幕から3試合連続ホームラン
それも
1本目はストレートをライトスタンド
2本目はチェンジアップを左中間
3本目はカーブをセンターバックスクリーンへ
ホームランだけじゃない
3試合だけだけど
13打数8安打6打点
ずっと待っていた本物の助っ人が現れた

ビシエドは
19歳でイカダに乗って海を渡り
キューバから亡命
シンジゲート使ってドミニカ国籍をとって
その年の暮れにはホワイトソックスと11億の契約を結んだ
メジャーで66本
年齢はまだ27歳
よくぞこんなすごい選手が中日に来てくれた
その理由はビシエドのアイドル
オマール・リナレスがかつて所属した球団だったからだそうだ
リナレスはキューバの英雄
全然活躍しなかったけど
12年後とんでもない大物を連れて来てくれた

一年終わってみなけりゃわからないけど
この選手の打席は見たくなる
プロ野球はこうでなくちゃいけない
少年時代ナゴヤ球場に通った情熱を再び燃え上がらせてくれる
若返りもはじまったし
中継ぎが復活したし
下馬評は最低だけど
なんだか今年の中日は楽しみだ

というわけで
本日は一番購読者が減る中日ドラゴンズネタ
おそらくほとんどの人が最後まで読まないと思いますが
一応一言
『失礼いたしました』

直線rainbow

3時過ぎあたりからうっすらと床に刺しす直線rainbow
やがて角度が深くなり
色もはっきりとしてきて
四時半に最も美しくなる
これはcassowaryの内装の一部

先週
ハンガーラックのレイアウトを変えて
部屋のようになった現在
無関係なふりしてお向かいのビルの前で
通り過ぎる人々の会話を盗み聞きすると
性別年齢問わずcassowaryを褒めてくれる
やたらと服がたくさん飾ってない
過剰なディスプレイをしていない
バーカウンターまである街角の洋服店
この店は洋服を売る場所だけにするのはもったいない
欲張りかなと思うが
ここはもっといろんな価値を持てると思う

 

 

 

狭間の東の突き当たり

平安神宮とその大鳥居の狭間
二条通りはやがて東の白川通で突き当たる
そこが僕の帰り道
一年を通して
黄昏時
日が沈まない方の東の空がなんとも美しい

今年
そこにかつての京都会館がロームシアターとして生まれ変わり
ツタヤとスターバックスができた
忙しくなければ車ではなく
徒歩で会社まで向かい
夕暮れ前に家路について
途中ここで珈琲でも飲めたらいいのにと
毎日思う

20160326

この週末と来週は色々な方が店に来てくれるので
車は車庫に置いて出勤
店でゆっくり珈琲(時々アルコール)を飲みながら
楽しく過ごそうと思う
ので
覗いていただきたい