虫コナーズ

直営店だから売れて当たり前
馬鹿なことを言うでない
我々は名の通らない

名を名乗らない京都の街角のただの洋服店である
そこで洋服のおまじないにかかった亡者が
その名を掲げて
街灯に虫が吸い寄せられるように扉を開けて
merphと書かれた札の付いた洋服を買いに来るわけではない
第一
我が店舗には看板もなく
店の名前もmerphではない

でも
merphの服はここで多くの人の手に渡る
彼らは僕らを知らず
初めてここにきて初めて見て
決して安くはない作品を納得して買って行ってくれる
そしてまたいつの日か戻ってきてくれる

何かがおかしくなった洋服業界で
生きていくために早々と作った自由な場所
それがmerphの直営店cassowary
ここでは洋服は洋服業界の邪悪なおまじないから解放されて
先入観なくその姿自体を見てもらえる
そうなるように僕らはリスクを背負って名を伏せた
メディア掲載を拒否した
皆が当たり前にプラスになると思っていることを疑った
その結果栄養を取ろうとして時に病になることもあることを知った

報告
冒頭の写真のカットソー
店頭用に用意した男女合わせておよそ40枚がもうすぐ無くなります
なのでもう40枚追加生産します
でも
黒じゃなくて
ネイビーのボーダーでやります
このTシャツ一枚に幅180cmの生地を2.1m使います
普通のTシャツが3枚ほど作れる分を裁断してたくさん無駄を出して
一枚のTシャツが生まれます
そうしないとできなかったんです
それをしたかったんだからそれでいいでしょう