MR3012
昨シーズン製作した1枚の生地に5カ所のスリットを入れ
それを筒状にして作り上げたストレートパンツ
極普通に見える異常な発想の構造物

今季はそれを僕の大好物

アスペロコットンxウールのカルゼでリリースした

よくその利点を聞かれる
そんなものは
無い
生地は多く使うし縫製だって難しい
説明するのも難しい
でも
面白かったんだ
創るのが
それだけである
洋服を創り洋服を売る仕事をしていていつも思う
店員なりPRなりデザイナーなり
とにかく洋服の説明がつまらない
どこかで聞いた事がある言葉を雰囲気で使うだけのテイタラク
洋服なんて着てみて気に入るか気に入らないか
善し悪しじゃなく
好きか嫌いか
それだけでいいはずだ
それをまぁ複雑にしやがったのはどこのどいつなんだ
僕はそう思いながらいつも洋服の前で座っている
今日も15年来の友人がこのパンツを買ってくれた
僕が話したのは使ってるアスペロコットンてのが
たまらなく好きだと言う事くらいだ
それ以外は不動産屋から誰か借り手は居ないかと渡された資料を見ながら
そこにおまえが住め
という話
友達だから
と思ったら大間違い
一見さんでもこの調子
『いらっしゃいませ〜』
『良かったらご試着してくださいね〜』
などと一切言わない洋服の売り方を知っている
そして
その売り方は双方にとって
とても自然で健全な行為である
今日も沢山真冬の服が売れた

MR1019
久しぶりにちゃんとセットアップを創った
パッチポケット+フィッシュマウスラペル
ウエストのしぼれた美しいシルウェット
肩もしっかりさせてみた
今回
一見そう見えるがそうでない
そう言う工夫をこっそり盛り込んでいる
このジャケットもハンガーにかかったツラからは
まずポケットのデザイン上
少し気楽なリゾートジャケットを連想するところを
シルウェットはしっかり英国紳士
ジャケットにうるさい人が見たらバランスが悪というのかもしれない
でも僕はこれを創った
価格が安いのにはからくりがある
それはこんなところで書く事じゃないから接客の時に話す
安いのはよい事だ
でも
手抜き作品は創りたくはない
昨日の帰りは7時を少しまわってしまった
葵橋に着く頃には空は群青だろう
そう思い
夕焼けを諦めてゆっくり走っていたら
京都府立大学の上に大きく空いた空を発見
やはり夕焼けはいい
邪念が取り払われる気がする
それにひきかえ朝焼けはよくない
何か憂鬱な気分になる
朝焼けでそう感じるのは不健康だろうか
始まりより終わりの方が美しく感じる
心が病んでいるんだろうか
でも
桜より枯れ木
ビッグバンよりスーパーノヴァ
何度考えてもおしまいに美を感じる
何かを創る人間には終わりに憧れる人
多いんじゃないかと
思う

晴れ間が覗いた隙に自転車で北上
事務所に着いた途端
琵琶湖をひっくり返した様な土砂降り
雷も極近くで連発し
音楽を消して暫く雷鳴と雨音を楽しんだ
この嵐と関係あるのだろうか
事務所の前の道をどう見ても誰かに飼われているであろう犬が
ずぶ濡れでとぼとぼと歩いている
車が迷惑そうに減速して避けながら走っていく
そして降り始めてから2時間
雨はようやく小降りになった
あれだけ降ったのに気温はほとんど変わらない
今日の東京は23度だと聞いた
うらやましい
夏よ
早く終わっておしまい
cassowaryとKAMMERではとっくに秋真っ盛り
MR1021
絶好調
size2がC/#black、sandともにあと1着
現在追加生産をするか
否か
15時の眠気と戦いながら悩んでいる
MR1021
このジャケットは2007年にlaluでリリースした物のリデザイン
あれから5年経ち仕上げたその派生レイヤードジャケットは
少し精悍な面持ちになったと思う
5年前に作っていたものを
最近倉庫を掘り起こして久しぶりにじっくり見てみた
余計な事を沢山しているが
見つめているうちに
『こうして見たら、生地をああいうのにしてみたら』
といろいろアイデアが浮かんで来た
今春夏の製作をしている
もちろん新しい形を考えているが
少し昔の作品をセルフカヴァーしてみようかと思う
そんなのも僕の洋服創りの方法の一つ

葵橋の夕景色には及ばないが
六角堺町から19時の狭い西の空を眺めながら
フジファブリックの若者のすべてを聴いていた昨日
大勢のご来店に感謝
秋冬シーズン
cassowaryは春夏の3倍の破壊力を手に入れる
ようやく試練の季節を抜けた
これからは思う存分暴れ回る
土用の丑
平賀源内の口車に乗せられて
うなぎを喰らう日だ
僕の弟の親友に名古屋の或る有名なうなぎ屋の倅が居る
PR上手な二番煎じの店では”ない”方である
ここの大将がなかなかに男前なのだ
今日はどこのうなぎ屋もここぞとばかりにうなぎを売りまくる
当たり前だ
そりゃ稼ぎ時だしこんな日にうなぎ屋なら絶対に休まない
そう普通は休まない
はい
その通り
そのうなぎ屋は
土用の丑は休みなのだ
普段からうなぎに食わせてもらっているから
そのうなぎが一年で一番殺生される日に一門揃って供養に行くのだ
粋である
ひつまぶし発祥の店にして
商標を二番煎じの商売狸にさらわれたって
『みんなの食いもんに商標なんか取るヤツは卑怯者だ
と言い放つ
僕の商売哲学を地で行く人だ
商売がうまい事は大事だろう
けど
好きにはなれない

cassowaryは半分秋冬にシフトが完了
merphの真冬を凌げるコートと共に
ずらりと並ぶFlavorichのジャケットの群れ
先日ちらりと覗いたときより圧倒的にその群れの数は減っていた
3連休
多くの方がお気に入りのジャケットを仕留めていったようだ
今日もきっと誰かが狩り場にやって来る
水曜日がまたやって来た
凄まじい太陽光を涼しいcassowaryから人ごとの様に眺めている
その太陽光の瀬戸際に
merphの新作をずらりと並べている
ここまで暑ければ何を見たって暑苦しい
ならばと
トルソーは思いっきり暑苦しいコーディネート
それでいいのだ
7月の半ば過ぎたら秋物が遅いと言われる店
そんな環境に感謝している
小さな会社だから
半期6ヶ月を目一杯使って生産しなくちゃならない
『おしゃれは先取り』
なんておまじないは大嫌いだし
ほんとは一番いい時期まで事務所で寝かしてから店に出したい
ただそうすると支払いが先に来てBOMB!だ
そんなみみっちいこっちの事情はは気にもせず
新作上がったら飛んで来て豪快に作品を買ってくれる人が沢山居る
洋服を創る仕事は本当にしんどい
でもそれを8年も続けて来れる理由はここに有る
少し早く出勤した今日のcassowary当番
日誌を書き上げたこの瞬間は13:40
これから6時間ちょっと
よろしくどうぞ

夕暮れの比叡山
携帯のカメラで撮影したので
あの美しさが正確にお伝えできないのが悔やまれる
薄い黄緑のベルベットの様に見えた
その姿がなんだか秋を思わせたのだが
現実は突然の梅雨明け
昨日の朝のニュースで狩人の様な目をした姉ちゃんが
『まだまだ梅雨明けとはいかない様です』
自信満々に鋭い目で僕を見つめて断言した翌日の事だった
午前中から鉾巡航が続く京都は本日35度
お囃子と辻間わしのかけ声の合間に聞こえる救急車のサイレン
熱中症患者多発と思われる
巡航は我が家を完全に交通網から隔離して行なわれる
おかげで今日は西に一度逃げてからの北上
遠回りして汗だくである
でも
今日で祭りも一段落
今夜からはいつもの街が戻って来る
来年はあのお囃子が聞こえない街で祇園祭を向える事になる
さんざん文句を言っては来たが
正直なところ少し寂しい
宵山の16日
cassowaryに非常にたくさんのご来店を頂いた
そしてFlavorichのジャケットとmerphのコートが次々と売れた
今年も秋冬は好スタートを切れた
これからまだまだ新作が上がって来る
出来るだけご希望の方に手渡せる様にしたいが
何せ小資本有限会社Sanctum
一気に作れる生産数は限られている
だから
しっかり見極めて勇気を出して追加生産も考えて行く
まだ秋冬は始まったばかりだ