灰色の…

2014年の春夏の制作を

初めてテーマを掲げてやってみようと思った

興味があってそうしようと思った

ところが

出来なかった

洋服は洋服でしか無く

言葉は言葉でしかなかった

出来上がった洋服が誰かにとって大切なものになるのに

理屈は要らない

その考えを押しのけるまでの魅力的な制作方法では無かった

って

話を映像監督の友人と飲みながら話した

そこから今回の物語が始まる

掲げたキーワードと風景を聴取した彼から

『映画を撮ろう』

という言葉が飛び出した

僕はその衣装をデザインすれば良い

そのデザインはもちろんその映像にあわせて創るのだが

その関連性は僕の中だけで説明がつけば良い

それを制作後に説得するように着てくれる人に説明するのではなく

答えとして映像にしてしまう

テーマをイメージする媒体として洋服が存在する

これで僕の理解を他の人に可能な限り共有してもらえると思った

洋服で物語を表現しきるのは僕には無理だった

洋服は物語を支える一部にしかなれない

それを主役として創るのは正しい制作ではなかった

テーマ

というより

好きな言葉があり

それを表現する物語を作り

それに必要な洋服を制作した

洋服が複合的な理由で出来上がるという意味においては

テーマを持って制作した事になると思う

僕なりのシーズンテーマを掲げた洋服の制作

見つけた

三車線一方通行

まだ何も書き込まれていないスワッチ

30型前後のデザインとデータを記入し

そしてまたまっさらに戻して新シーズン

振り返ってる暇など無い

ホーキング博士の頭の中では時間は逆に進み

特異点を創ったそうだが

僕の時間は相変わらず一方通行

但し三車線

名古屋みたいだ


夏の終わりを少しずつ感じて

ちょっと気持ちが穏やかになるかと思いきや

逆に焦りを隠せない状況になっている

いよいよ迫る19日の月曜日に向けて

今日も明日も明後日も

愛車Sanctum号でまだ足りないあれやこれを探しにいく

どうやらお盆の混雑の中

混雑のメッカに向わなくちゃいけなくなりそうだ

憂鬱だけど手は抜けない

行くしか無い

今日は8月15日

終戦記念日

爺ちゃんの事をちょっと思い出しながら

西本願寺に向けて南無阿弥陀仏

明日は

五山の送り火だ


秋の息吹

8月12日

ご来店頂いた皆様有り難う

メッセージも沢山有り難う

7年目

どうぞよろしく

7年目を迎えたcassowary

ただいま2013AWの新作が次々と参入中

早くも完売品番も登場

夏の終わりが近づいて

昨夜

夜も少しだけ涼しくなって来た様な気がした

明後日は五山の送り火

もうすぐ秋だ

準備を急げ




2007.08.12

六年前の八月の暑い日

堺町六角にKAMMERはオープンした

あれから名前はcassowaryにかわったが

本日

めでたく6周年を迎えた

圧倒的に洋服屋の成功する匂いがしない曖昧な街角で

長きに渡り看板も出さず取材も拒否して来た店が継続出来たのは

お世辞もごますりも抜きに

我々の洋服をご購入頂き

ご着用頂いた皆様のお陰

偏屈で理屈っぽくせっかちで夢見がちなわたくしをご指示頂いた事

心より感謝致します

ありがとう

これからもご期待頂ける方が居る限り

洋服を創りたいと思っている
さて

いつも記念日はお祭り騒ぎをするのだが

六年が経ち

わたくしも少々歳をとったので

体力的な問題と

現在2014年の春夏に向けてちょっと大きな計画が進行しているので

時間的な問題から

今年は静かに店を営業する事にした

でもやはり

お祭り男の血は押さえても押さえきれるものではなく

ささやかながら

本日より18日の日曜日まで

ウェルカム黒ラベルを用意して皆様のご来訪を迎える準備をしてある

暑い真夏の陽射しと不快な湿気の中お越し頂いたら

直ちに

キンキンに冷えた黄色い星のお神酒を召し上がって頂きたい

事務所での仕事が片付いたら

毎日少しでもcassowaryに顔を出そうと思う

毎年お盆は多くの方が顔を出してくれる

一緒にこの不器用な店のお祝いをして頂けたら嬉しい

それでは

暑い一週間になりそうだけど

皆様のご来訪を心よりお待ち申し上げます



構造として、シャツ 機能として、コート

ど快晴

狐坂の温度計は39度

見下ろしたテニスコートにはご老人がテニス

どうか水を飲んでほしい


ただ

こんな快晴が広がっていても信用出来ない

突如入道がやって来て

ぴかっと光って嵐が始まる

今夜も19時に車で南向わなくちゃいけない

最近僕が車に乗ると嵐が来る

嵐を呼ぶ男

実は石原裕次郎が大の苦手である


暑いけど秋冬の話

ROL様別注のこちら

cassowary在庫残すところsize3が1着となった

構造としてシャツ
機能としてコート

真夏以外は休み無く働く便利屋

今シーズン最初の完売はこれになると思う


暑さに脳みそがぼんやりするが

仕事さっぱり終わらせて

今夜も美味しい黒ラベル

それを目指して

今日も京都の街を飛び回る



稲妻の降る街

不気味な空の夕暮れ前

山科の工場へサンプルを受け取りに行った

鴨川沿いを南に走って行くうちに

またしてもフロントガラスにぽつりぽつり

5分も経たないうちに視界を妨げる大粒の雨が降り出した

五条を左に曲がり向う目的地はどうやら稲妻祭り

どうもこのところこの調子だ

でも

稲妻の降る街を目指しながらも

これから受け取るサンプルの事で胸は踊っていた

京都東インターに向う渋滞の中

最速ワイパーを凌駕する大量の雨をくぐり抜けて

手渡された3着のサンプルをすぐさま車内でチェック

美しい仕上がりに思わず雄叫び

嵐もいつの間にか去り

西の空には光が射していた


過去最速のサンプルアップ

数名の専門職の仲間が集まって

企みをしている

打合せと銘打って酒を飲み

ちょっとの進行をいちいち祝い酒を飲む

そしていよいよ一週間後にその本番がやって来る

楽しくて不安で心底疲れる
でも

こう言うのが無くちゃ

やっぱり退屈だ

何とか

出来上がるのもが僕らの思い出だけで終わらないように

皆さんにも楽しいものであるように

明日も京都中を走り回って

大一番の準備をする



cassowary模様替え完了

2013AWのスタートを切ったし

雰囲気をがらりと変えた

コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間だから

置く家具で表情が簡単に変えられる

最初から壁や床に“縛り”があるとこうはいかない

だからこのテナントを選んだ

北山が開店休業状態だし

少し什器を移動して

柔らかい雰囲気になったと思うが

いかがでしょう


お盆を迎え

この店舗も6周年を迎える

最近忙しく

昔のようにライブを企画したり出来ていない

でもずっといろいろな人達に通ってもらっている感謝をしなくちゃいけない

そう思っている

ささやかではあるけれど

6周年当日8月12日から18日の一週間

わたくしの大好きなサッポロ黒ラベルなど用意してお出迎えさせてもらおうと

そう思っている

起業から8年経ち

3年目に勝負に出たこの直営店

一年保たない

すぐ潰れるとさんざん言われながらも

6年やって来れた

これからもっと良い店にして行きたい

楽しい時間と空間にして行きたい

そのために

まず

しっかりと洋服を創りたい

よろしくどうぞ


プリズンサンクタム

今日も秋冬の納品があった

北山ショールームスペースはまるで引越の準備でもしている様な状況

酷いものだ

今日の納品でひとまずパッキンものは一段落

出荷し終わったものから整理して行く

お盆も夏休みも関係無い

罪人の如くこの牢獄で同じ様な日々を過ごす


今回の秋冬

どうやら世の中全体が始動が早い様だ

一般的にはSALEの追い込み時期なんだろうけど

cassowaryも卸先さんも既に秋冬の作品の方が動いている

36℃の湿気地獄で秋冬をご購入頂ける事

非常に嬉しい
その秋冬の新作から

わたくしが今季最初に購入を決めた作品をば


化繊のみのストレッチサージ

これが不思議な質感で

見た目はウールの品の良さを持っているのに

触ってみるとなんと言うか

スポーツウエアの様な

スポンジの様な肌触り

よって

着用感はノンストレス


仕様では

クルミボタン正解

ボタンをそうした以外に何も大きな作業はしていないのだが

何とも見栄えの立つ作品になったと感じている

これに今日上がって来たツイードのパンツを合わせたいと考えている

今から事務所の奥深くでこっそりサイズをチェック

もし穿けなければ

早急にテニスコートを予約する



リトルボーイ

ここ数年広島に縁が深まり何度も原爆ドームを見た

あの日炸裂した真下に連れて行ってもらい

空を指して

『ちょうどあの辺りで炸裂したんだよ』

そう教えられた

見上げた空は快晴で

その下には朽ち掛けのあの建物が

あの日のまま残されていた


確か

リトルボーイ投下の第一候補は京都だったと歴史の授業で習った

人口と盆地という地理的な要素が原爆の効果を計るのに最適だったからだと

一部の将校は7月まで京都に落とす事を強く求めたが

結局は文化財の多い京都を破壊する事は

敗戦後の統治活動で日本人の反感を買うから避けられたと

そして最終の候補として上がったのが

新潟

小倉

長崎

広島

アメリカ人

勘違いするな

何処に落としたって差などない


原爆が落とされた事実は

あの日

広島に居た人々とその子孫にとって

今もなおあの日のまま残っている

縁あって酒を飲む仲になった広島縁の友人達の日常にも

必ず1945年8月6日が消えずに残っている

残酷

無数の命を奪い

助かった命の未来をねじ曲げた殺戮兵器につけられた名前

”リトルボーイ”

虫酸が走る


理由なんて興味もない

誰の責任かなんて話してもしょうがない

どんなに深刻に考えても僕も両親も爺ちゃんも婆ちゃんも被爆していない

そんな人間達に当事者の理解は出来ない

でも

起きた事をちゃんと知っておくべきだと思う

あの日の事を教えてくれる人の話

ドキュメンタリー

書物

絵画

写真

目をそらさず

耳を塞がず

居ようと思う









破壊豪雨と妥協の金色

猛嵐のなか現在進行中の制作の打合せのため

古の街へ向った

今出川辺りから降り出した雨は

最速稼働のワイパーに仕事をさせない歴史的豪雨となり

視界はフォトショップの加工画像の様になってしまった

当然徐行運転

南に向う道の遥か向こうに

極太の稲妻が天と地をつなぐのを何度も見ながら

慎重にアクセルとブレーキを踏み分けて前に進んだ


五条当たりに着いた頃

ようやく雨が常識的な範囲内に戻った

そして

ふと横を見るとそこは川になっていた

後から前から横から消防車がやって来て

地下駐車場のある何かの施設に水を吸い上げ始めた

消防車が水を撒かずに水を吸うという笑えない状況を横目に

大幅に遅れたため一般道ルートから高速ルートにナビを変更し

Sanctum号に搭載されたビンテージもののナビゲーションシステムには無い

新しい高速を飛ばした

そう

文字通り飛ぶようにして橿原神宮に到着したのは

約束の時間20分前だった


恐怖すら覚える豪雨を乗り越えた僕らを待っていたのは

旨いスペイン料理を酒を飲まずに頂きながら

打合せをするという悲しい試練

途中

ノンアルコールビールという

どこかの悪い神様が与えたもう妥協の金色に魂を売ったが

すぐに後悔をして中国四千年の歴史が生み出したお茶に路線を戻し

ハモンセラーノとイワシのマリネを咀嚼した


何かに試された様な半日の大人の遠足

この成果は9月の中頃に皆さんにご覧頂けると思う

遊んでように見えるかもしれないが

本気で遊ぶと意外と仕事になる

そんなものだ