時間をちゃんと使う

今日は桜の吹雪です
昼下がりから突如京都は強い風が街中を駆け抜けています
本日も休業している雰囲気を醸しつつ
店頭でせっせとコロナトンネルを抜けた日に向けて
新作のサンプル製作と事務所スペースの整理に精を出せしております

それにしてもこの店
今となっては『休業しているだろう』と思いみんな入って来ませんが
15年間こんな感じでやって来ておりまして
特に何かを変えたわけでもなく
コロナショック以前と同じように営業をしているわけですが
よく今まであれだけのご新規さんが毎日毎日入って来てくれたものです
日常じゃなくなった時にしか見えてこないこと
そうなってようやく気づくことがたくさんあります

さて
こんな時期に安っぽい正義感で政治家を批判したり
突如マスクをデザインしたりするのは性分にあっていませんので
相変わらずいつも以上にmerphの服を描きまくっております
残念なのは先が見えないこの状況で思い切って生産には入れないことです
しかし工場も暇だと聞きますし
きっと夜明けはやってくるはずですから
最大限の勇気を振り絞って先へ進みたいと思います

そして
有り余る時間を使って手付かずだったonline storeを少しずつ
私のできる範囲で色々やっております
最近ようやく少し楽しくなって来ました
昨夜はショッピングページに加えてphoto galleryのページを作って見ました
ベースは整いつつありますので
あとは写真の腕前を上げるところですね
これがなかなか難しいんですが
まあ時間はあります
ネットも快調です
毎日コツコツ勉強して少しずつかっこよくしていきます

それでは全国のご縁をいただいた皆様
明日もまた地味にこちらを更新します
今夜は愛知県清須の名物ソース『太陽ソース』を使って焼きそばを作ります

もみじが燃える頃には

昨年購入した紅葉に新芽が出ました
55cm立方の大きな植木鉢に植えてはいますが
しっかりと育つのか心配しておりましたが見事に冬を越えました
これから梅雨に存分に水を吸って
夏に燦々と降り注ぐ太陽を浴びて
秋に真っ赤に染まってほしいものです

その頃には
我々が日常を取り戻していることを信じて
コツコツと得意な秋冬の作品を仕込んでおります

レジスタンス

 

たくさんの方が京都へいらっしゃるのを諦めたと
この週末お聞きしました
私たちも
金曜日にいつもの撮影を控えていましたが
全員の家族とその周りのことを最優先に考えて
延期しました

今は仕方がない
そうかもしれません
やり場のない怒りと
得体の知れない恐怖が街中に漂っています
一年中人が途切れなかった堺町六角の交差点で
晴天の中土日に人が途切れる時間も長くなっています

そんな中でも
みんな踏ん張っています
音楽家も料理人も
公務員のお客さんも会社員の旧友も
学生さんもお子さんも
会う人みんな先の見通せない未来に立ち向かっています
一丸になってこのにっくき新型コロナに打ち勝ちましょう
そして非常事態宣言ではなく
終息宣言をぶちかまし
その暁には
うまいものを食って
クラクラする音楽を楽しんで
そんな素敵な日々を取り戻しましょう

当店はもとより一組、二組のお客さんがじっくり商品をご覧になる場所ですし
空間も比較的広いので時々換気しながらしっとり営業を続けています
アルコール度数86%の消毒液も準備してあります

奥のデスクで新世界がやってきた時の新しいmerphを描きながらお待ちしています

MR2077&anm2022

MR2077_woodland

anm2022_woodland

世の中が困難に見舞われているというのに
皮肉にも今年の京都の桜はいつにも増して美しく咲いています
いや
こんな状況だからこそ
咲いてくれていると考えましょう

桜に負けてはおれません
こんな状況ですが
merphも例年以上に順調に納品が続いております

本日はこちらが登場
ナイロンオックスのカモフラージュを塩祝加工した生地で
着丈110cmオーバーのロングガウンシャツとでも言えばいいでしょうか
これから半袖が主役になるまでとやがて夜が肌寒くなる頃からの主役を努めます

もとより加工でしわくちゃですし
バッグにコンパクトに丸めても問題なし
旅にも連れて言ってください

さっそくonline storeにもアップしました

MR2077_woodland

anm2022_woodland

寸法スペックではご不安あれば
お気軽にメールでお問い合わせください
今お持ちのmerphの品番とサイズを選択表示でご覧いただき
メールに添えていただければ的確なご提案できると思います

皆様も外出を控えていらっしゃることでしょう
店頭はもともと混雑することはありませんが
お越しいただいてもご安心いただけるように
アルコール度数90%のエタノールで外から除菌し
毎晩黒ラベルで内側からも除菌しておまちしております

 

 

MR1146

MR1146 for men

十代の頃に買った洋服の中で
今でも覚えているのは
グレーのメルトンのダッフルコートと
ドイツ軍の黒いトレンチコート
そしてM65

実はこれまで何度か自分なりのM65を作ろうと試みてきました
しかしそのいずれも納得のいくものには仕上がらず
もう2度と手を出さないとその度に心に決めていたのですが
オリンピックイヤーになるとなぜか作りたくなっちゃうんです
今回も全力で取り組んだのですが
正直不安でいっぱいでした

うまくいきました
これまでの制作にとらわれず一度固定概念を取っ払って
オリジナルがどうやって作られているのかちゃんと分析してみました
そこにはこれまで良しとしてきたことが機能を果たさず
全く別の方法で私がやってきた機能をカバーしていました
良いところは活かしつつ
表現する方法は相性を吟味して選定して
やりすぎずそれでいてこれまで貫いてきた水準はクリアさせました
詳しく話してもつまらないので
もしご興味のある方はまた店頭で必要に応じて説明いたします

ここではそんな事よりこう言う所を説明します
パイピングはこのカーキに対してピンクなんです
このコンビネーション
最近ハマっております
さらに黒にもピンクをさしてみました

素材は撥水のN/Cタッサー
タッサーとしてはかなり軽量で薄手のものを使用してます
しなやかで滑りもよくシワにもなりにくいし
旅のお供にもオススメであります

このくらいの一枚のジャケットは
一年通して活躍してくれます
春にはそう言う年間通して使えるポディションの仕上がりを目指しています
これを手にすればあの慣用句『この時期何着たらいいかわからん』とおさらばできますよ

MR1146_khaki

MR1146_black

 

 

MR1145&anm1085

MR1145 for men
anm1085 for women

online store

突如22度
春です
どんな状況でも
流されずにひたすらと自分の制作をつづけます
今はおそらくマスクを作れば売れるのでしょうね
でも
私はそんなに器用に手先を変えられませんので
またコートを作ってしまいました

さて
先ずは色に関しまして
私好みにベージュが見つかりました
裏にはオレンジのメッシュを

もう一色はカーキにピンク
最近、このカーキにピンクのコンビネーションにはまっています

素材はコットンとナイロンで織ったオックスフォード
それを微起毛しております
今回はダスターコートと名付けたくらいなので
埃をさけるコートですから
撥水ではありません
とことん気にいる色を探し続けた結果この生地にしました

ずっと試したかったディテールも採用しています
サイド身頃の下から脇を通って袖口まで一枚で繋がっています
アウトドアのジャケットでよくあると思いますが
腕をあげても袖がつらないようにするディテールです
私のラグランは肩傾斜がきつく
その分ラグランらしからぬ見栄えのスマートさが手に入るものの
腕をあげた時に袖がぐっとつってしまう弱点がありました
だからと言ってやたらと肩傾斜の緩い
横に生えたまっすぐな棒袖にはしたくないので
工場様との格闘の末
なんとかやっと仕上がりました
どうしても脇の裏側のパイピングが思うように美しくならないので
身頃と袖には裏地を配して隠しました

一見毎年リリースするフードの後継品版ですがこっそり挑戦しています
良いツラあがりで仕上げるのは当然で
その中に昨年のmerphとは違う何かを盛り込んでいく
洋服は制作の現場で進化して行きます

腸詰とワイン『Tongs』(トング)

コロナに振り回されるのももう飽きました
ちょっと楽しかった出来事を書こうと思います

身内ネタになりますが
私の弟はその昔the ARROWSというバンドでメジャーデビューし
数枚のアルバムを出した後
そろりと一線をしりぞき
作詞家として活動し
結構しっかり作品を世に出してきたのですが
それと並行して大好きなワインの勉強をしてソムリエの資格をとり
昨年の夏
東京から地元名古屋に居を移し
父とタッグを組んで酒販免許を取得して
念願のワインショップを始めることになりました
残念ながら父はその大役を果たして昨年2月に他界してしまいましたが
じっくり堅実に準備を進め
近くオープンする運びとなりました
整いましたらまたこちらでサイト情報など告知いたしますので
皆様よろしくお願いいたします

さて、ワインショップの件はまた後日といたしまして
本日の本題はこちらです
ソムリエとなった次弟がワインショップオープンに先駆け
20年来の親友、シェフの松本健太くんとともに
2019年10月オープンしたレストラン
『腸詰とワイン Tongs』についてでございます

名古屋からcassowaryへお越しいただくお客さんや
高校時代の同級生などに宣伝したところ
ありがたいことにみなさん続々とご来店いただきまして
ご丁寧にご感想もいただいたのですが
評判も上々で
かなり期待して二月の半ばにようやく時間ができたので行ってまいりました
いや〜
身内びいきと思われてしまうと思いますが
正直予想を上回る素晴らしい料理でした

まずは自家製プロシュートから白ワインで幕開け
これハム系統の中でいちばん好きなタイプです
酒の知識は全く頭に入らない人種ですので
ワインについては語れません
弟がプロですのでいい加減なことも言いたくないので省きますが
さすがにうまいの飲ませてもらいました

ポテトサラダとネギのピクルスをつまみながら
1本目のワインを飲み干して
カニのテリーヌで2本目の白ワインに突入
このテリーヌ
おかわりしたかった。。。

撮り忘れちゃいましたが
ふきのとうの腸詰
ふきのとうの香りがすごく良かった
ちなみに冒頭の写真は名物の看板背負ったトングの腸詰
はい、二本食べましたよ
どんどんワインは進んで困ります
しかしどれも自然派のワインだけあって
酒豪一家全く酔いません

そしてこれです
待望のヒレカツ
私これを楽しみにしておりました
これに独特のスパイシーな風味が特徴の『太陽ソース』をつけて
からしもたっぷり添えて
3本目に選んでくれた赤ワインその名も『COCHON』(豚)とのコンビは抜群
これすごく気に入ったので
次回の帰省で実家のワインセラーから仕入れてこようかと思っています

こんなにワインをガブガブと飲んだのは久しぶりです
この店が京都にあったら
カウンターの住人になってしまいそうです

そして飲みモードはここまででここから主食ターンに入ります
まずはこれ
先ほど書いた『太陽ソース』を使った鴨と玉ねぎのソース焼きそば

鴨とソース
京都でも割烹で鴨ロースにウスターソースがついてくるところもあります
しかし鴨のソース焼きそばとは思いつかなかった
家で真似したい
本当に素晴らしい
ワインが豊富に揃う店の締めにこの焼きそばは麻薬的です

さらに食べました
カレー馬鹿野郎の嫁さんはこれを頼まずには帰れないわけです
最後の最後に『ポークビンダルー』
若かりし頃
京都の老舗洋服店『ロフトマン』の奥にあったカフェで
社長が我々よそで働く若者も
まるで身内のように気にかけてくれたその店のチキンカレー
週に三回ランチで食べていたあの味を思い出しました
〆も大満足
それ至る全ての料理とワイン
うまかった
楽しかった
ありがとう健太くん
ありがとう竜二
また行きます
いやすぐ行きたい

名古屋の皆様
そして名古屋へお越しのご予定がある皆様
ぜひ一度のぞいてください
『腸詰とワインTongs』
胃袋を空っぽにしてから扉を開けてください
必ずご満足いただけると思います

コロナ騒ぎの昨今も予約でいっぱいとのこと
あらかじめお席お問い合わせください

腸詰とワイン Tongs
〒461-0005名古屋市東区東桜2-3-38 2F
tel:052-908-0902

 

online store アップデート

さすがに店頭は暇です
正直不安でございます
しかし先日のイベント中止以来
数多くの方から励ましいただき
やる気に満ち溢れております
デザインも毎日何型も描き上げて
今年の秋のラインナップも埋まってまいりました

そして
この状況ですのでせめて新作のラインナップをご覧いただけるように
online storeを更新しました
写真の質がイマイチで申し訳有りません
暇なのでカメラもちょっと勉強して
どんどん写真を撮って良いものと交換していきます

2月はmerphonia関連の納品が立て込みましたが
3月は中盤以降merphの作品が立て続けに入ってきます
店頭が静かなうちに
どんどん今だからできることをして
悪魔が過ぎ去るのを待ちます

merph online store KAMMER

 

MR1147&anm1086

新境地です
これまでの洋服は基本的には極力前に降り立体的な構造をしています
だからお買い上げいただく時
非常にたたみにくい
パターンによって形成した平面のパーツを縫い組み立てる事で立体に持っていく
何型作ってもその都度しっかり寸法の設定を吟味する必要があります
それが長年こういう洋服製作に取り憑かれた要因の一つです

さて
それに反しましてこの冒頭の写真 MR1147は実にヒラペッタイ
着物のように平面的
ただし
肩線は多少傾斜あり
そうしないとステンカラーがつけられない
このまま続けると難しくなるので
角度を変えて説明すると
パターンではなく
生地の特徴とディテールの組み合わせで形を成す洋服を作ったということです

しかし
センターをステンカラーのディテールで柱を立てて
ベースに漂う和服のニュアンスを相殺しようと考えました
あからさまにならないように
そしてできる限り私の作る服の姿になるように
うまく仕上がったと思います

この写真だとわかりやすいかと思いますが
肘のあたりで袖が切り替わります
その袖穴を少し前傾斜にしているので
平面設計の弱点の肘のハリを軽減します
いや
無くしてくれています

素材は私の大好物スプリットファイバー系統の微起毛撥水素材
起毛の反射により店頭だとネイビーに見えるようですが
黒です

サイズは男性用(MR1147)と女性用(anm1086)の二つです
とはいえかなりの寸法で設計していますので
どちらでも好きな方をお選びいただければと思います

ご遠方の方からのお問い合わせも多数いただいていますので
なるべく早くオンラインに載せたいのですが
黒の撮影、、、難しいんです

 

 

2月27日8時7分

merphonia中止から一週間が経ちました
たくさんの激励の言葉とともに
このイベントへの期待とその中止への無念
様々な言葉で受け取りました
コロナウイルスは未だ収束の気配を見せません
そんな中で軽はずみなことは言うべきではないですが
このイベントは必ずいつかリベンジをとげようと決意しました

2月27日の朝7時半
私は製作の主任へ電話をかけました
早すぎるとわかっていたのですが
一刻も早く決断を伝えなくちゃいけないと思い
ベッドの中からかけました
『今回、悔しいし怖いけど中止しましょう』
ベッドから立ち上がり
寝室をうろうろ歩きながら話しました
足は震えていました
開催二日前の突然の中止
さらに前の晩寝る前まで
私は
『うちはやりましょう。責任は全部私が追います』
そう主任へメールを打っていました
そこから朝が来るまで
決断が変わった理由はなんだったのか
未だにはっきりとこれだと言えません
つまり何かを理由にしたのではなく
『今回はやってはいけない』と最初からわかっていたもう一人の私が
『今回はやらなきゃいけない』と最後まで気を張っていた私を説得したのだと感じます
こんな普通ならありえないタイミングでの中止の連絡にもかかわらず
主任は冷静に話を聞いてくれて
そして私の判断を尊重してすぐさま関係各所への対応を始めてくれました
こうして2月27日午前8時7分
merphoniaは正式に『中止』となりました

いざ中止を決意すると不思議なことに
未だで冷静に考えられていなかった事が
正しく判断できるようになってきました
『責任を取る』などと軽々しく言いましたが
このイベントで万が一感染を拡大させてしまった時
どんな状況に陥るかを考えて再び足が震えました
(その後、大阪のライブハウスでの感染拡大を知り、三度震えました)
しかしどちらの不安
つまり中止にして降り注ぐ不安
そして開催して降り注ぐ不安
この二つの不安の質の
どちらがたちが悪いかは明確でした
中止して降りかかる不安ははっきりと対処の方法が見えているのに対し
開催して降りかかる不安は本当に降りかかるかどうかもわからず
さらにもし降りかかったらどうしたらよいかわからないことだらけでした
未曾有のウイルス感染パニックに洋服のデザイナーが取れる責任などないんです
だから『責任を取る』という事が本当に発動できるのは
中止するという選択肢でしかなかったとわかりました

逆手に取ります
本番に向けて全力で準備してきました
しかし一世一代の大イベント
本番が近づくに連れて
『ああしておけばよかった。これもやりたかった』
と言う欲が次々と噴出してきておりました
そう
今回の中止により
それにもう一度チャレンジできるんです
2月29日はリハーサルだったと
中止にかかった損失を宣伝広告費だったと
やがてみんなで笑える日を
そうmerphoniaリターンズ開催を目指して
とにかく私はまずはmerphを創ります
リベンジはやり直しじゃ話になりません
倍返しが最低限のマナーです