今日は朝からいよいよのお知らせがもう一つ
蝉が鳴き夏が始まったと思った15分後
友人の嫁さんの陣痛が始まった
もうすぐ愉快な仲間が増える
大きくなった時
その年初めて蝉が鳴いた日におまえは生まれたんだぞ
そう教えたやろうと思う
長い一日になる
ドタバタの両親の代わりに大事な今日の事を
しっかり記憶しておく
何度コクリと首をもって行かれたか
相変わらず北山の事務所にはインキュバスが沢山巣食っている
今日も納前が上がって来た
すごく暑苦しいコートが早くもハンガーラックに鎮座
北山の店が次第に秋になって行く
春夏の途中から始まったKAMMER
秋冬からこそ本当のはじまり
緑の絨毯に白木のラック
そこに並ぶ尾州の生地にてmerphした鎧のごとき冬の外套
全コレクションが揃う日が
待ち遠しい
ただしもの凄い潤いを空気中に残して
気温のわりに汗は止まらず滴り落ちる
一年でもっとも不愉快な京都が今日である事を祈る
これ以上にはなってほしくない
自転車で通勤していると
駐車中の車のアイドリングに目眩を覚える
行政は大きな看板で
『アイドリング ストップ』
と努力する傍ら
その建物裏で長蛇のタクシー乗り場を併設
クーラーを効かせまばらに乗り込む役所帰りの人々を
それぞれの方法で時間をつぶし待ち続ける
或る者は弁当を喰らい
或る物はクロスワードパズルにかじりつき
或る物は昼下がりの夢の国へ
私が暮らすこの街は
かの有名な環境に関する議定書が読み上げられた京都市である
機会があれば一度おこしやす
大学まで通った
結婚式もここで挙げたし
息子のお宮参りもここにした
これから暫く上賀茂で仕事もする
長い付き合いになりそうな雷親父に
一度引越の挨拶に行かなくてはと思ってはや4ヶ月
未だに手を合わせる事が出来ていない
週があけたら昼の休憩にお参りに行こう
ついでに昼飯を今井食堂で喰らってやる
昨日
友人が北山に来てくれたから
彼の新居を拝みに北山から船岡山まで歩いて帰った
途中目に飛び込むのは若かりし日々の思い出のランドマークたち
昼夜を問わずレコーディングに明け暮れたユウイチのマンション
元旦の明け方シェパードに襲われて飛び込んだ救急病院
親友が大風邪で入院して
見舞いに行ったら死神と間違えられた病院
店員がずっと喧嘩している御旅飯店
ライスを大盛りにすると量が4倍になる大徳寺前の食堂
お世話になっても居ないのになぜか覚えている耳鼻科
油断したら涙がにじむ
慌ただしいこの頃の生活とは正反対のやりたい放題の日々
あんな時間を過ごせたのは親のおかげだ
偉そうな事ばかり言ってろくな感謝もせず
今1人の子供の親になって思う
あの頃自分をぶん殴りたい
堕落した日々だったが
手に入ったものも沢山あった
その一つが今の仕事
これをしっかりこれからのLIFE WORKへと昇華させて行く事が
せめてもの
そして唯一の親孝行
それが出来る様になるまでは
現在1歳4ヶ月の息子を身代わりにしておく
月曜日には名古屋からじじいとばばあが孫に会いに京都へやって来る
ばばあのリクエストで夕食は福松
しめ鯖が旨いと知ったじじいは俄然やる気だ
2泊3日の延命治療
これで暫く元気に暮らすだろう
そうしている間に親孝行の準備を進めて行く