暑いしまぶしい
植物にとっては今一番良い季節なのだろう
気が付けばまた更に枝を広げ
あまりにも奇麗な葉を広げている
何度も絶滅の危機を乗り越えた窓際の木賊もこの繁栄
やがてやって来る底冷えの季節を乗り越えるため
今出来る限りの事をしているように見える
それを見てしっかりしなくてはいかんと思い
午前中からcassowaryでいくつか用事を済ませた後
14時の一番危ない時間帯に北山までのツーリングに出た
快晴の中
夕立ちにでも遭ったかの様に汗をかき
分厚いコートだらけのKAMMERにたどり着いた
先程15時の睡魔との闘いを制し
これから19時までエンジン全開で仕事に打ち込む
明日で7月も終わり
8月だって気が付いたら大文字に火が灯る
頑張るしか無い
暑いけど眠気覚ましの珈琲をぶちかまして
生地と睨み合いながら
次から次へと段取りを組んで行こう

今日は写真は無しで行こう
最近夕焼けの写真ばかりで飽きて来たし
今している仕事について書いてみようと思う
現在
北山の事務所では
8年間溜め込んだ生地スワッチを緑の絨毯に目一杯広げ
決まり始めた2013年春の作品にどんな生地をのせるか検討中
来年の春も相変わらず今まで通り
自分の創りたい物を創る
それは変わり無し
ただ生地の選定は毎年少しずつ趣味が変わって来ている
北山に引っ越す際にいろいろと過去の作品が掘り起こされたが
今見てみると
こう思う
『これほんとに自分が選んだのか』
やはり8年やって来て
ずいぶん選ぶ生地が落ち着いて来た
以前働いていたメーカーで
上司が選ぶ生地を見ながら
『全然かっこ良くないなぁ』
そう思っていた生地を今は探し求めている
色気のある生地を選ぶ様になって来た
自分で言うのもなんだが
そう思う
今日も暑かった
ガラス張りの北山事務所はなかなか冷えない
生地の色を太陽光で見ようと軒先に出よう物なら
十数秒で汗がにじむ
そんな訳で突然三ツ矢サイダーが飲みたくなり
コンビニエンスストアへ勇気を出して買いに行った
グラスに氷を入れてサイダーを注いだ
三ツ矢サイダーを飲むと地元名古屋の
矢田川花火大会を思い出す
『炭酸は骨を溶かす』
我が家は小学生の頃
炭酸は正月と子供の日と矢田川花火大会の日だけしか飲ませてもらえなかった
その反動が炭酸麦酒への偏愛を生んだのではないかと思う
今日は眠たくなると困るからビールは1本だけ
25時からサッカーを見なくてはいけない
今日は福松の上映会も無いだろう
自宅のリビングで大声を出さない様に気をつけながら
若き日本代表を信じて3時まで応援する

昨日のも奇麗だった
暑さとひきかえにこの夕焼けが手に入るなら
いや
やはり夏に少しでも気を許したくはない
早く終われ
葵橋の夕景に見せられて言うのは僕だけじゃない
ここを通るほとんどの人が西の空にカメラを向けている
近々
僕も会社のcanonでもっと奇麗に撮影してみようと思う
merph_animaも上がり始めている
先陣を切るのはanm1012レイヤードジャケット
こちらに使用している生地
コットンシルクビーバーがとてつもなく美しい
それも当たり前
基本的に秋冬の素材がお高い弊社に置いて
群を抜く
いやそれどころではない高級素材
¥4,850/m
天文学的価格のエレガント
会社立ち上げ当初
まだ何も掴めていないころに買ってしまった若気の至り
4反作って使い切ったと思っていた
ところが2月の事務所引越の時
奥から出て来た包みを破いていないW巾の反物
開けてびっくり愛しのビーバー
ちょうど生地を迷っていたanimaのお気に入りのデザインにのせる事にした
どうしても堅苦しいデザインに偏るが
こんなかっちりした洋服を着た淑女にお会いしたいと言う
わたくしの願望をよりどころに製作しているので
仕方が無い

来年の春夏のパターンの打ち合わせの後
食事をとパターンナーさんと福松に向った
そうだった
昨夜は日本vsイスパニア王国
下馬評圧倒的不利の武士道をくすぐる大一番
20:30からゆっくり食事をしながら打ち合わせをして
ちょうど〆のアサリ御飯が出た頃にキックオフ
広島から来てもらっているし
前半で切り上げようと思っていたところに
大津の先制ゴール
そして退場
そんなはずじゃなかったのに
会計を終えた後からの追加ビール
福松のご両人と
隣にいた元サッカーチームの監督の
まるでベンチにいるかのような声出しと長谷川健太を凌ぐ解説付きで
結局最後まで見届けた
試合終了のホイッスルと同時にもちろん勝利の一番星を発注
全員で乾杯してこのすばらしい一戦に浸った
奇跡
と言うには
あまりにも必然的に見えた
そうなんだな
日本はもはや世界に追いついたんだな
さんざん言われた関塚監督の顔が半笑いだったのは
きっと喜びだけじゃなく
馬鹿にして来た奴らに対するメッセージだと思う
安っぽい言葉を愛する日本のメディアマンたちは好きな事を言う
そんなのほっときゃいいんだぜ
そう聞こえた
この日のマンオブザマッチ by 福松は
我らが名古屋グランパスの韋駄天FW 永井謙祐
2本ゴールをはずしたが
試合後に歩けなくなるまでは知り続けた姿に
福松満場一致で黄色い星のジョッキを差し出した
できないと思ったらおしまい
絶対にできると自分を自分が信じなくちゃ何も始まらない
まるで決勝戦の様に初戦に全力を尽くした一回り以上下の青年達に
もうすぐ四十路の体は火照りまくった

夜のcassowary
奇麗な店だと思う
ここにバーカウンターを作りたい
もちろんビールは黒ラベル
錦市場で日替りのアテを仕入れて
気が向いた日だけの営業で
もちろん禁煙
暑い日が続いているが
このところ他府県からの来客が多く
口々にみなこういう
『京都は 暑い』
おいでやす
怨念がそうさせるのでしょう
京都の暑さはまだまだこれから
25度不快に暑くなり
15度で芯まで冷えて来る
『住めば都』
そろそろ広辞苑からこの言葉は消した方がいい
今日も広島から打ち合わせで1人来社する
きっと言う
『暑いですね〜京都!』
打ち合わせ上がりの夕食をベトナム料理にしようかと思うのだが
おそらくほんとにベトナム気分が味わえると思う
『XXの小京都』
そんなキャッチフレーズをよく目にするが
その本家本元の京都は
『和製ホーチミン』
と呼ばれる日が近い

cassowaryのビルに防犯カメラが配備された
ビルオーナーさんもお困りだった或る老人に対する対処である
20:00〜21:00
この時間帯にこのビルのゴミ箱をあさりに来る老人が居る
浮浪者という訳でもなく身なりはちゃんとしている
自転車で東からやって来て
このビルのゴミボックスを空け
中からゴミ袋取りを出し
何かを一袋にまとめて持ち去るのだ
空き缶を集めに来る方々とは違う
注意するとあの手の種族は何をするか分からない
現に数年前無礼な老人を注意したら赤いスプレーでテロを起こされた
防犯カメラが付いたからといって
あの老人が収集を止める訳ではないと思うが
法治国家での勝利者には成れる
このカメラ3台付いたのだが
オーナーに相談して1台をうちの店内に向けてもらえないか
相談しようと思っている
理由はご存知の通り
弊社最大の問題解決のためである
快晴かと思いきや
いきなりの曇天
強い陽射しの中に地面叩くまばらな雨粒
最近天気予報は見ていない
今日雨が降るのか
その品番の在庫が本当にcassowaryにあるのか
これはもう自分の目で確かめるしか無い
今日はcassowaryで珍しく吉川店長と仕事をしている
秋冬が立ち上がり
相当量のお問い合わせを頂いているそうだ
ありがたい
もうすぐまた新しい品番が上がって来る
まだ7月なのに
入荷も消化もすごいスピード
間違いなく在庫が足りなくなる
現在2013年の春夏の企画とともに
この冬の追加作品を夜な夜な珈琲をすすりながら考えている
既に数型着工している
僕らのコートを期待してくれている人々に
casswaoryで楽しく選んでもらえる環境を作りたいと
そう
思っている

MR1018
今回の秋冬で一番のオーダー獲得ナンバー
デッドストックのチョークストライプをシーズンオフに確保して
それをキルティングに仕上げておいた
中綿は高機能綿
うすくてかるくてあたたかい
パターンは見た目のスポーティーな雰囲気に反し
引き締まったウエストにサイドベントの美しいシルウェット
画像や5月の内覧でご覧頂いた方も多く
ご予約や入荷連絡希望を沢山頂いている
制作者本人としても
上がりが待ち遠しい作品
納品のラッシュが続き
北山は昨日から完全に秋冬が立ち上がった
新作のコートに加え
昨年までのlaluのお気に入り作品も並べている
すっきりとした店内
ようやくあるべき姿を取り戻して今日は気分がいい
南のcassowaryも来週からは完全に秋冬にシフトする
7度目の立ち上げを向える吉川店長
きっと3年の修練をここぞとみせつけ
すばらしいレイアウトで皆様をお迎えする事になると思う
さぁ
いよいよ秋冬の本格スタート
これから12月まで
水を得た人食魚の様に生き生きとさせて頂く

暑い
どうにかしてほしい
ただこの暑さと自転車通勤のおかげで
知らぬ間に体重が減っていた
もう一息で何年ぶりかの数字になる
敵は黒ラベルと昨日お土産にもらった『はり重』のローストビーフ
今回はなんと300gと大盛りだ
赤ワインを買って帰る必要がある
こんなに暑くてもチビ達は元気だ

先日

出勤途中に友人の家族に出くわした

4歳になった男の子は補助輪無しに自転車に乗っていた

早いものだ

まだ事務所が寺町にあった頃に生まれたあの子が

もう自転車に乗っている

その上

『自転車生活 楽しくやらせてもらってます〜』

生意気な口もききやがる

我が家の内気な暴れん坊もすぐにああなる

時間はそれだけを見つめているとなかなか過ぎないが

何かに気をとられるとあっという間に過ぎてしまう

まさにその餌食になった今年の6月と7月

店が忙しくて製作が全然すすんでいない

10月の展示会までもう日が無い

焦りが絶望に変わる前に

今日から絵を描きまくる

僕の様な者が創る服を楽しみにしてくれる人が居る

しっかりやらなくてはならん

MR3012
昨シーズン製作した1枚の生地に5カ所のスリットを入れ
それを筒状にして作り上げたストレートパンツ
極普通に見える異常な発想の構造物

今季はそれを僕の大好物

アスペロコットンxウールのカルゼでリリースした

よくその利点を聞かれる
そんなものは
無い
生地は多く使うし縫製だって難しい
説明するのも難しい
でも
面白かったんだ
創るのが
それだけである
洋服を創り洋服を売る仕事をしていていつも思う
店員なりPRなりデザイナーなり
とにかく洋服の説明がつまらない
どこかで聞いた事がある言葉を雰囲気で使うだけのテイタラク
洋服なんて着てみて気に入るか気に入らないか
善し悪しじゃなく
好きか嫌いか
それだけでいいはずだ
それをまぁ複雑にしやがったのはどこのどいつなんだ
僕はそう思いながらいつも洋服の前で座っている
今日も15年来の友人がこのパンツを買ってくれた
僕が話したのは使ってるアスペロコットンてのが
たまらなく好きだと言う事くらいだ
それ以外は不動産屋から誰か借り手は居ないかと渡された資料を見ながら
そこにおまえが住め
という話
友達だから
と思ったら大間違い
一見さんでもこの調子
『いらっしゃいませ〜』
『良かったらご試着してくださいね〜』
などと一切言わない洋服の売り方を知っている
そして
その売り方は双方にとって
とても自然で健全な行為である
今日も沢山真冬の服が売れた

MR1019
久しぶりにちゃんとセットアップを創った
パッチポケット+フィッシュマウスラペル
ウエストのしぼれた美しいシルウェット
肩もしっかりさせてみた
今回
一見そう見えるがそうでない
そう言う工夫をこっそり盛り込んでいる
このジャケットもハンガーにかかったツラからは
まずポケットのデザイン上
少し気楽なリゾートジャケットを連想するところを
シルウェットはしっかり英国紳士
ジャケットにうるさい人が見たらバランスが悪というのかもしれない
でも僕はこれを創った
価格が安いのにはからくりがある
それはこんなところで書く事じゃないから接客の時に話す
安いのはよい事だ
でも
手抜き作品は創りたくはない
昨日の帰りは7時を少しまわってしまった
葵橋に着く頃には空は群青だろう
そう思い
夕焼けを諦めてゆっくり走っていたら
京都府立大学の上に大きく空いた空を発見
やはり夕焼けはいい
邪念が取り払われる気がする
それにひきかえ朝焼けはよくない
何か憂鬱な気分になる
朝焼けでそう感じるのは不健康だろうか
始まりより終わりの方が美しく感じる
心が病んでいるんだろうか
でも
桜より枯れ木
ビッグバンよりスーパーノヴァ
何度考えてもおしまいに美を感じる
何かを創る人間には終わりに憧れる人
多いんじゃないかと
思う