2007.08.12

六年前の八月の暑い日

堺町六角にKAMMERはオープンした

あれから名前はcassowaryにかわったが

本日

めでたく6周年を迎えた

圧倒的に洋服屋の成功する匂いがしない曖昧な街角で

長きに渡り看板も出さず取材も拒否して来た店が継続出来たのは

お世辞もごますりも抜きに

我々の洋服をご購入頂き

ご着用頂いた皆様のお陰

偏屈で理屈っぽくせっかちで夢見がちなわたくしをご指示頂いた事

心より感謝致します

ありがとう

これからもご期待頂ける方が居る限り

洋服を創りたいと思っている
さて

いつも記念日はお祭り騒ぎをするのだが

六年が経ち

わたくしも少々歳をとったので

体力的な問題と

現在2014年の春夏に向けてちょっと大きな計画が進行しているので

時間的な問題から

今年は静かに店を営業する事にした

でもやはり

お祭り男の血は押さえても押さえきれるものではなく

ささやかながら

本日より18日の日曜日まで

ウェルカム黒ラベルを用意して皆様のご来訪を迎える準備をしてある

暑い真夏の陽射しと不快な湿気の中お越し頂いたら

直ちに

キンキンに冷えた黄色い星のお神酒を召し上がって頂きたい

事務所での仕事が片付いたら

毎日少しでもcassowaryに顔を出そうと思う

毎年お盆は多くの方が顔を出してくれる

一緒にこの不器用な店のお祝いをして頂けたら嬉しい

それでは

暑い一週間になりそうだけど

皆様のご来訪を心よりお待ち申し上げます



構造として、シャツ 機能として、コート

ど快晴

狐坂の温度計は39度

見下ろしたテニスコートにはご老人がテニス

どうか水を飲んでほしい


ただ

こんな快晴が広がっていても信用出来ない

突如入道がやって来て

ぴかっと光って嵐が始まる

今夜も19時に車で南向わなくちゃいけない

最近僕が車に乗ると嵐が来る

嵐を呼ぶ男

実は石原裕次郎が大の苦手である


暑いけど秋冬の話

ROL様別注のこちら

cassowary在庫残すところsize3が1着となった

構造としてシャツ
機能としてコート

真夏以外は休み無く働く便利屋

今シーズン最初の完売はこれになると思う


暑さに脳みそがぼんやりするが

仕事さっぱり終わらせて

今夜も美味しい黒ラベル

それを目指して

今日も京都の街を飛び回る



稲妻の降る街

不気味な空の夕暮れ前

山科の工場へサンプルを受け取りに行った

鴨川沿いを南に走って行くうちに

またしてもフロントガラスにぽつりぽつり

5分も経たないうちに視界を妨げる大粒の雨が降り出した

五条を左に曲がり向う目的地はどうやら稲妻祭り

どうもこのところこの調子だ

でも

稲妻の降る街を目指しながらも

これから受け取るサンプルの事で胸は踊っていた

京都東インターに向う渋滞の中

最速ワイパーを凌駕する大量の雨をくぐり抜けて

手渡された3着のサンプルをすぐさま車内でチェック

美しい仕上がりに思わず雄叫び

嵐もいつの間にか去り

西の空には光が射していた


過去最速のサンプルアップ

数名の専門職の仲間が集まって

企みをしている

打合せと銘打って酒を飲み

ちょっとの進行をいちいち祝い酒を飲む

そしていよいよ一週間後にその本番がやって来る

楽しくて不安で心底疲れる
でも

こう言うのが無くちゃ

やっぱり退屈だ

何とか

出来上がるのもが僕らの思い出だけで終わらないように

皆さんにも楽しいものであるように

明日も京都中を走り回って

大一番の準備をする



cassowary模様替え完了

2013AWのスタートを切ったし

雰囲気をがらりと変えた

コンクリート打ちっぱなしの無機質な空間だから

置く家具で表情が簡単に変えられる

最初から壁や床に“縛り”があるとこうはいかない

だからこのテナントを選んだ

北山が開店休業状態だし

少し什器を移動して

柔らかい雰囲気になったと思うが

いかがでしょう


お盆を迎え

この店舗も6周年を迎える

最近忙しく

昔のようにライブを企画したり出来ていない

でもずっといろいろな人達に通ってもらっている感謝をしなくちゃいけない

そう思っている

ささやかではあるけれど

6周年当日8月12日から18日の一週間

わたくしの大好きなサッポロ黒ラベルなど用意してお出迎えさせてもらおうと

そう思っている

起業から8年経ち

3年目に勝負に出たこの直営店

一年保たない

すぐ潰れるとさんざん言われながらも

6年やって来れた

これからもっと良い店にして行きたい

楽しい時間と空間にして行きたい

そのために

まず

しっかりと洋服を創りたい

よろしくどうぞ


プリズンサンクタム

今日も秋冬の納品があった

北山ショールームスペースはまるで引越の準備でもしている様な状況

酷いものだ

今日の納品でひとまずパッキンものは一段落

出荷し終わったものから整理して行く

お盆も夏休みも関係無い

罪人の如くこの牢獄で同じ様な日々を過ごす


今回の秋冬

どうやら世の中全体が始動が早い様だ

一般的にはSALEの追い込み時期なんだろうけど

cassowaryも卸先さんも既に秋冬の作品の方が動いている

36℃の湿気地獄で秋冬をご購入頂ける事

非常に嬉しい
その秋冬の新作から

わたくしが今季最初に購入を決めた作品をば


化繊のみのストレッチサージ

これが不思議な質感で

見た目はウールの品の良さを持っているのに

触ってみるとなんと言うか

スポーツウエアの様な

スポンジの様な肌触り

よって

着用感はノンストレス


仕様では

クルミボタン正解

ボタンをそうした以外に何も大きな作業はしていないのだが

何とも見栄えの立つ作品になったと感じている

これに今日上がって来たツイードのパンツを合わせたいと考えている

今から事務所の奥深くでこっそりサイズをチェック

もし穿けなければ

早急にテニスコートを予約する



リトルボーイ

ここ数年広島に縁が深まり何度も原爆ドームを見た

あの日炸裂した真下に連れて行ってもらい

空を指して

『ちょうどあの辺りで炸裂したんだよ』

そう教えられた

見上げた空は快晴で

その下には朽ち掛けのあの建物が

あの日のまま残されていた


確か

リトルボーイ投下の第一候補は京都だったと歴史の授業で習った

人口と盆地という地理的な要素が原爆の効果を計るのに最適だったからだと

一部の将校は7月まで京都に落とす事を強く求めたが

結局は文化財の多い京都を破壊する事は

敗戦後の統治活動で日本人の反感を買うから避けられたと

そして最終の候補として上がったのが

新潟

小倉

長崎

広島

アメリカ人

勘違いするな

何処に落としたって差などない


原爆が落とされた事実は

あの日

広島に居た人々とその子孫にとって

今もなおあの日のまま残っている

縁あって酒を飲む仲になった広島縁の友人達の日常にも

必ず1945年8月6日が消えずに残っている

残酷

無数の命を奪い

助かった命の未来をねじ曲げた殺戮兵器につけられた名前

”リトルボーイ”

虫酸が走る


理由なんて興味もない

誰の責任かなんて話してもしょうがない

どんなに深刻に考えても僕も両親も爺ちゃんも婆ちゃんも被爆していない

そんな人間達に当事者の理解は出来ない

でも

起きた事をちゃんと知っておくべきだと思う

あの日の事を教えてくれる人の話

ドキュメンタリー

書物

絵画

写真

目をそらさず

耳を塞がず

居ようと思う









破壊豪雨と妥協の金色

猛嵐のなか現在進行中の制作の打合せのため

古の街へ向った

今出川辺りから降り出した雨は

最速稼働のワイパーに仕事をさせない歴史的豪雨となり

視界はフォトショップの加工画像の様になってしまった

当然徐行運転

南に向う道の遥か向こうに

極太の稲妻が天と地をつなぐのを何度も見ながら

慎重にアクセルとブレーキを踏み分けて前に進んだ


五条当たりに着いた頃

ようやく雨が常識的な範囲内に戻った

そして

ふと横を見るとそこは川になっていた

後から前から横から消防車がやって来て

地下駐車場のある何かの施設に水を吸い上げ始めた

消防車が水を撒かずに水を吸うという笑えない状況を横目に

大幅に遅れたため一般道ルートから高速ルートにナビを変更し

Sanctum号に搭載されたビンテージもののナビゲーションシステムには無い

新しい高速を飛ばした

そう

文字通り飛ぶようにして橿原神宮に到着したのは

約束の時間20分前だった


恐怖すら覚える豪雨を乗り越えた僕らを待っていたのは

旨いスペイン料理を酒を飲まずに頂きながら

打合せをするという悲しい試練

途中

ノンアルコールビールという

どこかの悪い神様が与えたもう妥協の金色に魂を売ったが

すぐに後悔をして中国四千年の歴史が生み出したお茶に路線を戻し

ハモンセラーノとイワシのマリネを咀嚼した


何かに試された様な半日の大人の遠足

この成果は9月の中頃に皆さんにご覧頂けると思う

遊んでように見えるかもしれないが

本気で遊ぶと意外と仕事になる

そんなものだ






真夏の魔術

大都会には何でもあるようで意外と沢山手に入らない物がある

京都は有名で伝統のある街だけど

正直都会ではない

だから

東京や名古屋に行くといろいろとうらやましい事があるが

洋服の制作などと言う特殊な仕事をしながら暮らせる田舎町は京都以外にない

我が儘を言わせてもらえば

あと旨い焼き鳥屋があればここは完璧だ

洋服で成功したら

焼き鳥と手羽先とカレーうどんが旨い店を次の目標にしたい


ただ

京都の八月は堪え難い

昨夜も

少し涼しいな

そう思いながら歩いた帰り道

なぜか次第に朝がにじみ出て来る

湿気という真夏の魔術

じっとりと身体にまとわりつき

不快感から自律神経でも狂わせるからだろうか

汗が身体から吹き出して来る

そこに37℃とかいう気温が重なれば

ここはもう熱帯盆地

憶測だが

クラー病の発症率日本一なのではないか

それでも僕らの商売の主戦力は既に秋冬の新作

怒濤の入荷にストックルームは洋服の壁になっている

まだ夏のピークは少し先だろうけど

魔京へお越しの際はどうぞ我々の新作をご覧頂きたい

コンクリートの箱をキンキンに冷やして

お待ち申し上げる


仁王立ち

春夏の生地を探す作業がようやく一段落

主役の生地はさっさと決まっているのだが

その付属的に使う生地の捜索に実に2週間を費やした

問い合わせのメールの返答は

『廃番』

『在庫切れ』

ようやくサンプル着分が見つかっても

『継続の予定ないし』
夏の暑さも手伝って

全てを放り出したくなったが

そんな度胸も無くねちねちと探し続けた

そして

ようやく全てのデザインに何とか納得のいく生地を差し込めた

さあ

後はサンプルが上がるのを待つだけ

ここからはただワクワクする日々が続く

悩み苦しんだ北山の二週間

その間

cassowaryには秋冬の新作が並び

ひさしぶりの立ち上げフィーバーに湧いた

その立役者

merphではこのロングシャツ

軽い羽織り物経のリクエストはずっと聞こえていたんだけど

コートを創るとどうしてもどれもガッツリ重厚になってしまっていた

そこでこのところシャツを重くする方法でそのポディションを制作して来た

それが今年

どうやら皆様の合格を頂ける出来上がりになった様だ


全てを創るつもりは無い

ただ

弱点と割り切るつもりも無い

苦手だったシャツの制作に

merphなりの仁王立ちの仕方を手に入れたと

そう

思う




継承と変化と向上

9年目も創り続けるパーカ

首元のボリュームは昨年より更に増した

生地は好評を受けて昨年と同じスウェードタッチの微起毛裏毛

4色の展開
上記2色の他にasholiveを創った

そのなかで今回圧倒的に人気なのが

camel

この生地の特徴にこの色が非常にマッチしたと僕も感じる

何となくmerph_animaの方ではエントリーしなかったのだが

女性の顧客様よりそこを叱られた

申し訳ない


洋服の世界で定番と言われるポディションなのかも知らない

でもこのパーカはこっそりいろいろなトライアルを繰り返し

技術的な向上をして来ている

その上での8年の歴史を継承して行く取り組み

簡単に定番と言わないようにしている

新型を創り出すのと同じように

丁寧にこの我が社の立役者を大事に創り続けたいと思う