稲妻の降る街

不気味な空の夕暮れ前

山科の工場へサンプルを受け取りに行った

鴨川沿いを南に走って行くうちに

またしてもフロントガラスにぽつりぽつり

5分も経たないうちに視界を妨げる大粒の雨が降り出した

五条を左に曲がり向う目的地はどうやら稲妻祭り

どうもこのところこの調子だ

でも

稲妻の降る街を目指しながらも

これから受け取るサンプルの事で胸は踊っていた

京都東インターに向う渋滞の中

最速ワイパーを凌駕する大量の雨をくぐり抜けて

手渡された3着のサンプルをすぐさま車内でチェック

美しい仕上がりに思わず雄叫び

嵐もいつの間にか去り

西の空には光が射していた


過去最速のサンプルアップ

数名の専門職の仲間が集まって

企みをしている

打合せと銘打って酒を飲み

ちょっとの進行をいちいち祝い酒を飲む

そしていよいよ一週間後にその本番がやって来る

楽しくて不安で心底疲れる
でも

こう言うのが無くちゃ

やっぱり退屈だ

何とか

出来上がるのもが僕らの思い出だけで終わらないように

皆さんにも楽しいものであるように

明日も京都中を走り回って

大一番の準備をする