携帯じゃこれが限界だった
昨夜は月を見ながら黒ラベル
炊きすぎた茄子とししとうがまだ鍋に半分残っている
今夜もそれとプラスMGスーパーのメンチカツで黒ラベル
今日はジャケットの話し
この業界に入ったきっかけはhisTUBEのベルベットのジャケットだった
グレーともグリーンとも言えないベースに黒の千鳥格子のベルベット
そのセットアップがどうしても欲しくて金貯めて
テレビ塔の東に有る小さな洋服屋へ飛んで行った
『ごめんな、坂井君、あれ、先週売れちゃった』
洋服が手に入らなくて絶望したのはあれが初めて
そしてあれ以来も無い
この感情を味わっていなかったら
今僕は洋服を創っていない
きっと中日ドラゴンズに入っていてそろそろ引退を考えている
仕方なく生地違いのストライプを購入した
しかしその後運命の出会いが待っていた
京都に戻り大学の友人と会って
そいつも洋服が好きで
4人のチームで京都中のパチンコ屋を廻り
スロットで月収80万を稼いぐ強者で
彼に狙っていたベルベットのスーツを買い損ねた話しをした
『それ 俺 持ってるで』
やけに太い眉毛が一段と力強く
そして初めて愛おしく見えた
『朋 頼む 譲ってくれ』
彼は快諾してくれた
大学の身内で廻って来た京都市地下鉄の看板掃除
1駅¥8,000助六寿司付きのバイトを政治の力で回してもらって
四条とか北大路などの大きな駅以外すべて廻った
小さい駅は看板が少なく1晩で2カ所廻るから1日¥16,000
ただし助六寿司は2つにはならない
当時ミュージシャンになる予定だった僕は
ギターが弾けなくなると困るという理由から
看板で手を切るといけないので
重たい看板をはずして磨く作業はすべて先輩と後輩にやらせて
ひたすらぞうきんをしぼった
その努力の末
遂に千鳥格子のベルベットは僕のクローゼットにやって来た
MR1019
あの時の感情とあれからの現実を盛り込んだジャケット
セットアップのパンツは2種類創った
このジャケットを突破口に
これからmerphでどんどんリリースして行きたい
時に正当派右腕
時に技巧派左腕
そして時にドミニカの暴れ馬の様な
僕の頭の中で生まれる物なら
すべて僕のmerphである