嫁は灰になっていた。
冷蔵庫から取り出した人参をまき散らし、
これから食材を取り出す冷凍庫の前から微動だにしない。
ちなみに、嫁は人参が大嫌いだ。
最近、息子の運動量が劇的に活発になり、
そして、遂に、歩き出した。
まだゾンビの様な歩き方だから、捕まえるのは簡単だ。
ただ、新しく開けた人生の第一歩を妨げると、泣き叫ぶ。
ヘルニアのベテランに暴れまくる11kgの落とせない大荷物は、辛い。
朝7時から夜10時まで、
すべてがこの暴れん坊を中心にタイムテーブルは書き込まれる。
今日は少し、寒かった。
久しぶりに北山には来客が無かった。
いや、一人、オカマのおじいさんが隣の店は今日休みなのか尋ねて来た。
隣の店には『2011年10月より土、日、月のみの営業となります』
と、張り紙がちゃんとしてある。
ご存知の通り、今日は、木曜日だ。
明日から、暫くcassowaryのフォローに廻る。
ちょっと今月、cassowaryが忙しい。
北山は我が社の脳視床下部、田和に任せる。
今日は嬉しい事があった。
駄目だと思っていた事が、駄目ではなかった。
それから、ひとつ、新しい事に挑戦する意欲が芽生えた。
この調子で2012年を突き進んで行く。
8年目の我が社。
末広がりの八。
広げられるだけ、広げてやろう。

久しぶりのcassowary登板。
ワンポイントリリーフなら、不安を抱える体力も問題ではない。
雨の予報もどうやら外れるようだ。
天敵太陽がいきがって光と影を支配中。
北山と違い、やはり六角は人が多い。
店の前の通りを眺めていると、
絶え間なく人と車が往来する。
北山は時々しか人が通らない。
時々通るその人影も、まわりの店の従業員。
ほんとに、閑散としている。
そんな北山で店を開き、明らかなに店であると主張しないKAMMERに、
4月から毎日誰かしらご来店いただいている。
友人、顧客さんはもちろん、
最近はご新規も増えた。
残念ながら、まだ、こちらの体制が万全ではないので、
時々鍵を閉めさせてもらう事も有るが、
なんとか一日も早くしっかりとした店として稼働させたい。
せっかくの美しい店舗スペースを1分1秒無駄にしたくない。
ただいま12:38。
陽射しは勢いを増して来た。
道路の白線がまぶしいくらいに太陽の嫌がらせを反射させている。
僕の両の腕の太陽湿疹は、
相変わらず繁栄を謳歌している。
昨夜、嫁に無理矢理ぬられたベビーオイルが以外にも効果を発揮して、
赤くかゆみを帯びていた部分はスッと熱を下げた。
ただ、ぶつぶつは消えない。
僕はぶつぶつ恐怖症である。
水玉さえ見ていて鳥肌が立つ。
そんな男にこの太陽湿疹はきつい。
腕に無数のぶつぶつが出ているが、半分はそれを見て出た鳥肌。
本当に今、毎日が鳥肌。
大変。

通称、ホワイトベース。
改装の際、つや消しの白でぬってもらった。
20坪に6馬力。
40坪は冷やせる破壊力だそうだ。
本日京都、予報では27度。

いよいよ、こいつの出番が近づいていた。

夏だ。

個人的に日本の季節を四季ではなく五季と呼んでいる。
春 夏 地獄 秋 冬
今は夏である。
僕はゴールデンウィークから、すでに半袖での出勤になっている。
そのせいで太陽湿疹は全盛期を迎えている。
光に毒性を感じてしまう不便な体。
ソラーレンなる物質が原因らしい。
ソラーレン。
名前は好きだ。
店頭では既に秋冬の話しが始まっている。
そして、北山の事務所スペースでは、
先週通り過ぎた春の企みが始まった。
きりがない、止まらない仕事だ。
中綿のフードジャケットの出来映えに見とれている暇はない。
春の生地を探さなくちゃいかん。
通り過ぎて後にいるはずの春は、
油断するとすぐ目の前に現れる。
2012年もあと半分。
本当に時間が過ぎるのが早い。
そう言ってみたら気が付いた。
もうすぐ、祇園祭。
今年こそ、非難するか、どこかへ。

太陽湿疹。
だいたい、4月の末頃、始まる、恒例の太陽拒否キャンペーン。
夏が嫌いな理由の一つだ。
ホルモン分泌異常らしい。
大昔、太陽に当たれない人間が昼を館で過ごし、
根拠無い噂を信じて、
人の血を吸って、吸血鬼と言われたんだろう。
とにかく、太陽が嫌いだ。
節操のない全力全開の光が好きじゃない。
皆既日食のときは思う。
『ざまあみろ』
小学校の頃、野球の練習の苦しい思い出も太陽が嫌いな理由の一つ。
昭和ど根性理論で、
徹底的に体を痛めつける訓練に美学を感じていた監督の練習は、
ランニング10kmに平手打ちは当たり前。
学校生活での悪さにも部活でペナルティ。
アンド、平手打ち。
そんな苦しいとき、いつも太陽が容赦無く上から監督を加勢していた。
だから、太陽が嫌いだ。
でも、夏がやって来る。
憂鬱だ。
早く秋になってほしい。
夜の風とムシの鳴き声。
そんな季節を北山で過ごせたら最高だろう。
ムシの鳴き声を聞きながら、
軒下で黒ラベルを呑む夕べを夢見て、
今年の夏は我慢する。

スーパームーン。
おおよそ、40年生きている間に、
おそらく、僕が生まれる以前から変わっていない物に、
なぜか、新しい名前がついて下世話騒ぎ。
流行言葉や短縮語が嫌いだ。
個人的な感想だが、何か、それを話したり使ったりする事が恥の様に感じる。
だから、世の中に付いていけない
“いかない”
それはそうとして、月は奇麗だった。
時々架かる雲に暫く見とれた。
先日の虹といい、昨夜の月といい、
こんな街中でも、案外地球や宇宙の仕業は身近に現れる。
月にいきたいなど思った事は無い。
虹の袂にいきたいと思った事も無い。
あれらはここから見てる方がきっと良い。
5月6日。
今日は虹は架からなかった。
連休の最終日、北山も昨日までの賑わいは無く、
静かないつもの雰囲気に戻っている。
いつも座っているソファに向いのビルのどこかに反射した太陽がまぶしくなった。
昨日までと、太陽の位置が違う事を確認した。
もうすぐ、夏が来る。
ややっこしい。
今日は体調が少し悪い。
昨夜、眠れなくて、今、無性に、眠い。
僕は多分、所謂、ムズムズ病。
夜中、くるぶし辺りと、腕と手の関節辺りが、
むずむずと眠りを妨げる。
昨夜のは少々タチが悪く、まったく眠れなかった。
そこに美しい比叡山と心地良い風。
本日、ずっと瞼と戦ったいる。
夕方から立て続けに来客があり、なんとか乗り越えた。
あと1時間で店じまい。
濃い珈琲を飲んで、なんとかする。
そういえば、そろそろ、蛍の季節だ。
今日は帰り道を河原町方面にシフトして、
二条木屋町で蛍を確認してから帰ろう。
それでは皆様、明日から、再び浮き世の生活頑張りましょう。

夏気味だ。
cassowaryのエヴァーフレッシュがやる気に満ちあふれている。
新芽も沢山付いていた。
毎年、この時期、言っているが、
ぜひ、吉川君にも、この観葉植物の様に育って頂きたい。
彼の新芽は、今日も、芽吹いていない。
いよいよ連休が終わろうとしている。
そんな5月5日こどもの日、
嬉しい知らせを持ってなじみの顔が北山にやって来た。
来年の2月10日。
遂に結婚式をあげる事になったと。
僕の会社の歴史をすべて見続けて来た北海道出身の生魚が食えない青年と、
天真爛漫な熱狂的ホークスファンの彼女。
光栄にも、お祝いの席にお招きいただいた。
夏の展示会の寸前、うちの息子の誕生日の2日前だが、
意地でもスケジュールを空けておく。
ぼけ〜としているが京大出身の優しい旦那に、
計画的で管理能力の高い明るい嫁さん。
楽しい家族がまた身近に一つ増える事になった。
明日で今年の連休も終わる。
今年も例外なく、沢山の人々に会えた。
仕事では有るが、連休を休めないストレスはまったく感じなかった。
明日もきっと誰か来てくれる。
良い場所を創った。
ここは自慢の箱庭だ。