ちまき

本日京都は山鉾巡行
我がcassowaryを中心にぐるりと結界を張るように通行止め
春の葵祭
夏の祇園祭
そして冬の京都マラソン
どれをとっても我が社は出勤困難となります

それに目くじらを立てるのはもうやめました
己が住む街の風物詩をゆとりをもって楽しみます

冒頭の写真は船鉾のちまき
船鉾に祀られている一人
『神功皇后』は妊娠しながらも玄界灘を渡り朝鮮半島に攻め入り
無事に帰還しただけでなく元気な子を産んだといいます
そのため安産のお守りにと妊婦さんがこのちまきを求めるのですが
cassowaryのお客様で祇園祭の複数の山鉾に関わる方から
merphの新作の安産祈願として暑い中持ってきていただきました
『案ずるより生むが易し』
その方からいただいた言葉は
決して楽に生まれるようにという意味ではなく
己を信じて迷わず作り続けるべし
という激励でした
お守りではなくこれは見張りとして
ありがたく店の一番高いところ
そう
お神酒の並ぶあの棚に飾らせていただきます

そろそろ山鉾はみんな新町通へ戻った頃でしょうか
見物を終えた方々が汗びっしょりで堺町通を下がってきています
私も午前中の週明けトラブル対応終え
ブログを書き上げました
さあ暑さに負けず
現場の夏服をプレゼンしながら
未来の冬服を組み立てます

三種の真紅

生地屋さんから
『近年稀に見る朱赤』
と褒めてもらえました
偶数反で染めなきゃいけない縛りに
最後まで4反なのか6反なのか悩みましたが
このところ完売が早すぎるmerph
決してbreakthroughしたわけではなく
一重に製作者のノミの心臓のリミッターによるもの
引き分け狙いの意気地なし
それでも尾張武将の末裔かと
天国で豪傑だった祖父は嘆いていることでしょう
そう
このままじゃダメだと肝を決めたのです
黒味のない朱に染まったスーパ−120のメルトン
6反オーダーいたしました
奇しくも
広島カープの纏し戦いの装束の色
ナゴヤドームで何度となく蒼き子羊を打ちのめした
アウェーの戦闘服の色です

先陣はすでに工場へ突入
おそらく
三連覇で流川が歓喜に沸く秋の始まりに
三種の衣になって皆様の前に凱旋いたします
今年の冬のmerphの勝負をかけたオリジナルメルトン
cardinalの鎧
ご期待ください

blue in black

この店をやっていて
我々がいかなる名前のレーベルであるか
ますネームタグを見るお客さんはごくたまにしかいらっしゃいません
店構えや看板がないことから
ある程度の覚悟を持って独自のスタンスでやっていることは伝わるからだと思います
それは我々に対する敬意だと感謝して受け止めています

だから
そろそろいいのではないかと思ったのです
洋服からmerphの文字を消しても
もとより我が洋服のレーベルの名前や
店の名前をプリントすることを恥ずかしいと感じていたのですが
最近では洋服にレーベルの名前を印字したタグをつけることさえも
なんだか違和感を感じておりました
生一気ですが一人の創作者として
名前ではなく作品を知らしめることを望んでいます

看板を出さず
取材も受けず
映画で主人公が着てもエンドロールに名前を出すことを拒否し
卸もやめて
ついに名前を消しました
それでも服は売れるのです
第三者証明を必要としない
自分の目と心で洋服を選ぶ皆様
今後とも名隠しmerphにご期待ください

スタンス

今年の春
入荷してすぐに姿を消したMR1122 guardian C/#black
あの時点での追加生産を見送り
秋冬の立ち上げに回しました
実は六月に届いていたんですが
少し倉庫で眠れせて
春夏の生産が全て終わるのを待っておりました

春夏と秋冬
シーズンを二つに分けて締め切りに追われて作品を作るのではなく
二ヶ月後に店頭に並ぶ作品を作り続けるmerph
無理にフルアイテムを作らず
得意なものと面白いこと思いついた場合に新作を増やしていくんです
1型1種類の生地で多くても4、50着
京都と広島の旗艦店と時々東京でポップアップを開催して販売すれば
すぐになくなってしまう数
だから2年くらいかけて優秀な作品は数種類の生地にはめてリリースします
そこにまた新しい作品がエントリーしていくシステム
長くかかりましたが
自分なりの洋服制作のスタンスを
ようやく見つけたと思います

それじゃあ
そろそろ秋の作品
届きますので
お楽しみに

暴風の前に立つともしび

疾風のごとく現れて
つむじ風を残して消え去ったMR2068 black
すぐさま追加生産に入ったものの
生地到着をまつ2、3日の間に
その追加生産分も入金予約にて完売
さらに生産を増やそうと生地を発注するも
 black完売
そこでリクエストの多かった白を制作することに
本当は来年にとっておきたかったカラーバリエーション
しかしこの勢いとまだ長い夏のことを考えると
ここはピッチに送り込むしかない
しかし白だけでは開いたスペースを埋められない
潰し屋が必要だ
黒がない以上やはりネイビーに頼るしかない

このネイビーがまた非常に生地面がよく
白と共に6月30日にピッチへ投入

あれから3日
白があと2着
ネイビーが5着となってしまった
悔やまれるのはもう1反ずつ制作しなかった判断ミス
選手を信じなかった指揮官としての器のなさだ
私にも西野監督のような器があれば…
色々いう人が多いけど
きっと決断を迫られたことのない人たちなのだろ
あの人の決断とそれを一人で背負い
全てを受け止める背中
憧れさえ抱く

というわけで
 MR2068 再入荷分
暴風前のともしび警報

巴里本舗

京都に居を移してもう20年を超えた
地元の名古屋よりも長く住むこの街
当然馴染みの店も増えた
京都は飲食店群雄割拠
生き残るのは大変だ
でもそんな中で
私の友人の店はしっかりと街角に根を生やして
うまいものを食わせてくれる

昨夜のお供はいつものヴァイオリニスト
カウンターにはレギュラーメンバー
肴はふっくらと揚がった肉厚のアジフライに
ピクルスと卵のソースがたっぷりかかった一品
深刻に語り
痛快に笑い
ビールを存分に腑に染み込ませた

少し向こうがわ

自分の洋服を褒めらえてもむず痒いが
店の内装や選んでいる家具を褒められると非常に嬉しい

今日もアメリカのご老人に店を絶賛してもらった
彼が気に入ったのは私の大好きなデザイナー
 Konstantin Grcicのスツール

昔少し家具の仕事もしていた時期があり
その頃お付き合いしていた家具屋の方々に
ものすごくたくさんの世界の名作の実物を
目で見て手で触れて勉強させてもらった

その中で一番気に入ったのがこのグラス
もう現在では生産されていないKonstantin Grcicのウイスキーグラス
内側の段差でスタッキングできるこのアイデア
それによって仕上がったこの佇まい
ズドンときた
それ以来彼のデザインの虜である

デザインというの奇抜であることよりも
誰でも思いつくことの少し向こうが気持ちがいい
meprhのフードはちょうど自分にとってそれである
そういうデザインはそう簡単にポンポン出ては来ないが
叩き出せば自分の制作の財産になる

夏の忍び寄る六月末の昼下がり
今日もデスクに座って
少し向こうがわを探索中

踊る女神

数年前にリリースしたレイヤードのワンピース
非常に好評だったのですが
ありがたいことに
たくさんのリクエストをいただき続けて
重い腰をようやくあげました

以前は格子状の生地を使いましたが
今年は細かいメッシュを使用
艶やかで気に入っております

四方に走る紐をたくし上げてドレイプをアレンジして楽しんでください
さあ
そして気になる生産数ですが
21着….
相変わらずの少数生産
ご試着おまちしております

ROYAL JAPAN BLUE

盲目的に有名なブランドが何をしようが絶賛するジャーナリスト
作品を純粋に平等に冷静に観て評価するのではなく
ジャーナリストであるにもかかわらず
すでに何処かの誰かが賞賛したものを
まるで自分の意見のよう発信して
自らをご意見番のごとくセルフプロデュース
結局第三者証明がされているものしか観ないし褒めない
自分がそうであることにも気づいていない
長く洋服業界にいて
洋服に関するジャーナリストと呼べる人間に会ったことがない
だから独立以来取材を断固拒否している

仕方がないこと理解はしている
でもやはり胸糞悪いものである
無名で小さなブランドである以上
どんなに優秀な作品を作って吠えたとしても
それは大口だと言われて終わる
そんな僕らにも時々誰もが認めざるを得ない出来事が起きたりする
そんな時のあの無責任なご意見番どもの手のひら返しときたら
30分ぐらい目を見て前でニヤついてやりたくなる
そう
ちょうど
昨夜の長友のインタビューのように

胸がスカッとする勝利だった
選手や監督から
解説した日本代表に関わったことのある人々から
おそらくその家族から
気持ちが伝わってくる

人生かけて適当にやるやつなんかいない
どんな試合も
どんな作品も
内容も結果も最高のものを目指して取り組んでいると思う
でもそれが揃うことなんて簡単じゃない
あれだけの実力者が努力してそれなんだ
なのに日本代表に一度でもノミネートされたこともない奴らが
Tシャツ一枚袖から悩んでデザインしたことないやつが
コードの三つも弾けないないやつが
メッシかクリスチャンディオールかジョンレノンの目線で何様だ
って話だ
私は自分が服を作る上で悔しい思いもたくさんしてきた
なので
他の分野に関し決してあの無責任ご意見番たちの仕打ちをしないと決めている

PKを蹴る時の香川の目
ピッチに入る本田の目
二十三人の日本代表の目
あれはこの一勝ぐらいで満足するものじゃない
もっと
ぐうの音も出ない圧倒的な結果を望んでいると思う
だから
私は本気で彼らに勝ってもらいたいと思っている
セネガルも強かった
ポーランドももう後がない
でも
そいつらに勝ってこそと彼らは思っているだろう
勝つことを祈ったりしない
勝つことしか考えていないはずだ

次の試合はRJB(ROYAL JAPAN BLUE )のTシャツを着て
ロシアへ念を送る

肉の波

『焼肉きはら』のミートウェーブ
ここの天肉とはらみはリピート必至でございます

昨日はcassowary六角通り側の奥に
merph制作所を構築する工事を実行しました
きはらさんに伺ったのはその工事の打ち上げ

工事を担当したのは
instrumental BAND
『Nabowa』のヴァイオリニスト山本啓(ヒラク )
生来の凝り性の彼は
本職のヴァイオリニスト以外にも
麻婆豆腐と大工仕事がプロ並みの仕上がり
ステージ衣装提供にて契約成立し
見事なワークスペースを制作してくれました

それがこちら

ベタですが
頭の中にあのナレーションが聞こえます
『まあ、なんということでしょう〜』
カウンターでばら撒いていた生地見本と資材の山は
今後このデスクとその後ろの作業テーブルで仕分けます