MR3011
今回のラインナップの中で一番気に入っているパンツ
展示会ではヘリンボーンだったのだが
残念ながら廃番
なので
もう一つ使うか迷っていたツイードを差し込んだ
けがの功名
なんだかこっちの方がツラがよくなった
よく有る事だが
その変更を快く受け入れてくれる卸先様に感謝
裏返すとスパンフライス
これが穿き心地を快適にもする
印象的な顔にもなる
当たり前の裁断ではない理由の有る工夫
それが面白くて
そして結果的に手に入った独特の風貌
これこそ僕のやりたい事
創っている本人さえ予想しない結論
たのしい
ここ数年
やりたい事がそのままやはり良い結果につながっている
この調子
続けて行きたい
春の展示会の会場も決まった
なかなか面白い会場で出来る事になった
サンプルを仕上げにかかろう
引越と好調な秋冬の生産でテンヤワンヤだったので
ちょいと急がないと間に合わない

スターウォーズを思い出した
ジェダイに着せたいね
MR4027を早速大勢の方に気に入って頂いて
非常に誇らしい
だからまだ引越の荷物が山積みの新居で
ひとり
ししとうとザーサイで黒ラベルを飲んでいる
雲の合間に不気味に光る月を見ながら
乾杯
黒は1着自分用に取っておこうと思っていた
でも
今回も無理だった
欲しい洋服が手に入らない事で喜べるのは
デザイナー冥利
これでまた次の製作がほんの少し前に進む
それの積み重ね
繰り返し
ビールを1リットル飲んだ
このくらいでは酔わないが
最後のししとうが
滅茶苦茶
辛かった
ので
3本目
頂きながら
骨を見て事件を解決するアメリカのドラマを見る
今日は骨が溶けているそうだ

8月が終わる
店頭に次々と新作が届いて
吉川店長のテンションも高くなっている
仕事の質もそのテンションに比例して高めてくれると良いのだが
コレクションページは未だ春夏のまま
3年経っても進歩しないグウタラ男にも
沢山の心優しいお客さんが付い頂いてる事を感謝しなくちゃいけない
それを本人が認識しているかどうか
主は心配である
失礼が有ればこちらまで
話しは変わりワタクシゴト
引越を初めて1週間
未だ目処がたたない
旧住居にはまだ幾ばくかの置き土産
あれもすべて回収しリースの子供ゲージの返却などもしなくちゃいけない
北山の新居も段ボールに囲まれて布団を一枚ひいて眠るだけ
嫁と息子は実家に避難中
大変である
ただ
やはり新しい街に越すのは楽しい
その上念願の北山での暮らし
鴨川まで徒歩46秒
夕方になると
時々
素晴らしいサックスの演奏が聴こえて来る
秋になったら僕もギターを下げて
MR4027でも羽織って北山橋の袂のベンチに腰掛けて
秋の夜長を楽しもうと思う

MR4019
15代目のプルオーバーパーカ
このパーカを描き上げた時の事はよく覚えている
2月に会社を立ち上げて
当然春夏の展示会などやれる訳もなく
10月の秋冬の展示会に向けて日々机に向って絵を描いていた
独立前の会社から譲ってもらったデスク
東急ハンズで買った天板と脚を組み合わせた不安定なデスク
初めて買ったパソコンはMacmini
納品書も請求書もは手書きだった
仕事も少なくて
それでもあの頃はもの凄く忙しく感じていたが
夜自宅で4年前に発売されていたファイナルファンタジーXをやる時間があった
そしてこの大黒柱のパーカは
その夜の暇つぶしからヒントを得た
最後に父親を殺さなきゃ行けない残酷なストーリー
父親はクジラの化け物の様な姿に成り果てていた
そのクジラの化け物のシルウェットと背と腹を分ける線
ぐっと来た
僕は机に向って絵を描いた
それから数ヶ月後の秋冬の展示会
初代プルオーバーパーカがハンガーに吊るされた
用尺に原価計算、パターンパーツ数などまったく気にしない
ド素人だからこそ出来たと思う
十分に勉強して賢い大人になってからではきっとこの絵はかけなかった
そう思う
15回のマイナーチェンジを繰り返して
今年MR4019と刻んだこのパーカ
生地も素晴らしい物が見つかったし
首元のボリュームは初代のそれに近い
ただし
8年間の進歩はしっかり反映させて
寸法もバランスが良くなった
8年前を知る人も知らない人も喜んでもらえると思う
MR4019
店頭投入完了
                  
                

突如KAMMERに住み着いたドクツルタケ
根元の眉の様な糸が意志の隙間に張り巡っている
おそらく収穫してもまた生えて来る
とてつもなく危ない白い死の天使
猛毒御三家と言われるらしいが
残りの2つが気になる
にも続々と作品をアップしている
ご多忙ご遠方の方
ぜひこちらで新作をご覧頂きたい
吉川の写真も3年前に比べれば宇宙工学雑誌とゴシップ宇宙人情報の差
ヒトは成長し変化できるが
するかしないかは本人次第
脈々とご先祖様が進化を続けて
こんなに便利でアカデミックな存在になったのに
それをわざわざ放棄して
メカニズムや真理を無視した無責任情報に一喜一憂しているのは
もったいない
進化を利用するか
進化しきったからこそ
退化し放題のジェットコースターに絶叫するかは
自由だ

仕様はカットソー
見栄えはジャケット
僕の中では
カーディガン
サンプルの時よりもやはり上等に見える
こんな事なら
もう少し上代をつけておけば良かった
時既に遅し
既に黒の在庫がほとんどない
追加も視野に入れなくては行けないが
なにせ原価率が馬鹿高い
創っても創ってもあまり儲からない
納期の兼ね合いもある
でも欲しい人がいるから創りたい
零細企業のジレンマ
どこかオリエンタルなアジアの奇麗な洋服の雰囲気が有る物を創るのが好きだ
中国のどこかの山岳地帯に
川の流れを利用してロープ1本船に引っ掻け
岸から引っ張りながら遡って行くど根性民族が居る
そのアイデアもすごいのだが
僕が惹かれたのはその人達が皆
上は明るいネイビーのスタンドカラーのシャツジャケット
下はグリーンのチノーズみたいなストレートパンツ
お揃いできていたのがもの凄くかっこ良く見えた
大学の暫くそれを真似していたのを覚えている
僕は有名ブランドにのめり込んだり
ヴィンテージに取り憑かれたりせずこの業界に住み着いた
洋服をもっと広義にとらえたくて
着る人に取って来て行く事で特別になるのが自然であると
買う時点から特別な存在に仕立てる事は居心地が悪いと
そう思っていた
今もそう思っている