我が家の嫡男
通称キノコ頭の副社長に着せている服を最近褒めて頂く
ボーダーやドットのシンプルなアイテム
所謂子供服とは少し違う
わたくしの様な洋服に携わる者が安心して選べる服を提供してくれるのは
わたくしの目の上の悪性腫瘍
京都に来てからとにかく“お世話”になりっぱなしの姐御の店
同じキノコ頭の息子を持つ先輩でもある
ズバズバと物を申すが頼れる目の上の悪性腫瘍
店は御所の南にある
我が家のキノコ頭は1歳半
ようやくいろんな物が着せられる様になって来た
生意気にお気に入りもあるようだ
子供服をやれと時々言われるが
僕にはあのポップセンスはない
背中に刀が隠せる服は創れるが
おもちゃが似合うポケットが付いた服は無理だ
だから
これからも御所の南で2時間かけて酒飲みながら洋服を選ぶ
どこの洋服屋に行っても退屈な京都で
わたくしが自信を持ってお勧めする数少ない洋服店
そしてその店主
皆様も機会があればぜひ
*注)決して脅されて書いた訳ではございません

animaの進撃にあわせて
cassowaryに新しくスタッフが入った
新人千葉
これからmerph_animaを中心に吉川の甘すぎる脇をしめてもらう
本日より勤務開始
皆様宜しくどうぞ
その千葉が着用しているのはanm4012
超微起毛されたふわふわの手触りに人目惚れした
animaのプルオーバーは袖付けがタンクトップ裁断
裁断線の関係性が少しmerphのラグランと変わる
加えてフードのボリュームも押さえ気味
ネック部分は短めで釦は一つ
単純にmerphのレディースサイズじゃない
微妙な差だけど重要だと考えている
備品を買いに行ったカナートの4階から見えた日の入り
完全に秋の面構え
日中まだ34〜5度をキープする京都だが
次第に次第に秋は支配を広げている
風 影 雲
どんどん進め夏の衰退
早くMR1021くらい着られる気候になる様に
心から祈っている

京都の北山ってどういうところか
東京の友人や他府県の卸さきさんからよく質問される
北山はこんなところ
事務所の裏に入れば畑が広がる
先週までここに丸々と太った加茂茄子が育っていたが
収穫が終わりこれから皆さんスグキの仕込みに入るそうだ
こんな環境で仕事が出来るなんて幸せだ
かつては中目黒だの恵比寿だの
そんな街で仕事をする事に充足感を感じていたが
最近は更に田舎で仕事が出来ないものかと考えている
泡の立たない奇麗な清流に
ミヤマやヒラタクワガタが気の蜜に集う環境で仕事がしたい
もはやそのとき洋服を創っているのかどうかわからないが
今もしそれが出来るなら
虫の鳴き声や川のせせらぎが聴こえるデスクで絵を描きたい
実際のところ
様々な理由でまったく無理だけど
妄想から現実に帰って報告を少々
merph_animaの入荷が加速中
merphでのリリースのリクエストも多かったフードコート
それにスウェットとパンツ
続々と店頭へ投入している
少しずつだけどanimaの方も前進をしている

携帯じゃこれが限界だった
昨夜は月を見ながら黒ラベル
炊きすぎた茄子とししとうがまだ鍋に半分残っている
今夜もそれとプラスMGスーパーのメンチカツで黒ラベル
今日はジャケットの話し
この業界に入ったきっかけはhisTUBEのベルベットのジャケットだった
グレーともグリーンとも言えないベースに黒の千鳥格子のベルベット
そのセットアップがどうしても欲しくて金貯めて
テレビ塔の東に有る小さな洋服屋へ飛んで行った
『ごめんな、坂井君、あれ、先週売れちゃった』
洋服が手に入らなくて絶望したのはあれが初めて
そしてあれ以来も無い
この感情を味わっていなかったら
今僕は洋服を創っていない
きっと中日ドラゴンズに入っていてそろそろ引退を考えている
仕方なく生地違いのストライプを購入した
しかしその後運命の出会いが待っていた
京都に戻り大学の友人と会って
そいつも洋服が好きで
4人のチームで京都中のパチンコ屋を廻り
スロットで月収80万を稼いぐ強者で
彼に狙っていたベルベットのスーツを買い損ねた話しをした
『それ 俺 持ってるで』
やけに太い眉毛が一段と力強く
そして初めて愛おしく見えた
『朋 頼む 譲ってくれ』
彼は快諾してくれた
大学の身内で廻って来た京都市地下鉄の看板掃除
1駅¥8,000助六寿司付きのバイトを政治の力で回してもらって
四条とか北大路などの大きな駅以外すべて廻った
小さい駅は看板が少なく1晩で2カ所廻るから1日¥16,000
ただし助六寿司は2つにはならない
当時ミュージシャンになる予定だった僕は
ギターが弾けなくなると困るという理由から
看板で手を切るといけないので
重たい看板をはずして磨く作業はすべて先輩と後輩にやらせて
ひたすらぞうきんをしぼった
その努力の末
遂に千鳥格子のベルベットは僕のクローゼットにやって来た
MR1019
あの時の感情とあれからの現実を盛り込んだジャケット
セットアップのパンツは2種類創った
このジャケットを突破口に
これからmerphでどんどんリリースして行きたい
時に正当派右腕
時に技巧派左腕
そして時にドミニカの暴れ馬の様な
僕の頭の中で生まれる物なら
すべて僕のmerphである

あまりにも奇麗だったので
急いでいるのに自転車をいつもの葵橋で停めて写真を撮った
いよいよ秋だ
日中のうだる暑さにもかげりが見える
しつこい夏ももう終わる
展示会に向けて焦る日々だが
風景と風でなんとか心を落ち着かせている
今日もMR1018が売れた
今シーズンは全品番が絶好調だが
中でもこのMR1018は抜群に調子がいい
仕込みの時間と背負ったリスク(店頭在庫)を裏切らない孝行息子だ
他にも続々と入荷し続々と消えて行くmerph
こんな優秀なシーズンをまた迎えられる様にするために
今は机に向って春の新作に打ち込むのみ
冷えた黒ラベルは2本まで
引っ越してフレスコからの脱却を果たし
安くて旨い刺身が買える様になったが
今夜も来週早々の打ち合わせに向けて資料を作らないといけない
茄子とししとうの煮浸しをつまみに
今夜もケーブルテレビを見ながら
まだ家族が合流しない新居で1人
明け方近くまで頑張ろう

MR3011
今回のラインナップの中で一番気に入っているパンツ
展示会ではヘリンボーンだったのだが
残念ながら廃番
なので
もう一つ使うか迷っていたツイードを差し込んだ
けがの功名
なんだかこっちの方がツラがよくなった
よく有る事だが
その変更を快く受け入れてくれる卸先様に感謝
裏返すとスパンフライス
これが穿き心地を快適にもする
印象的な顔にもなる
当たり前の裁断ではない理由の有る工夫
それが面白くて
そして結果的に手に入った独特の風貌
これこそ僕のやりたい事
創っている本人さえ予想しない結論
たのしい
ここ数年
やりたい事がそのままやはり良い結果につながっている
この調子
続けて行きたい
春の展示会の会場も決まった
なかなか面白い会場で出来る事になった
サンプルを仕上げにかかろう
引越と好調な秋冬の生産でテンヤワンヤだったので
ちょいと急がないと間に合わない

スターウォーズを思い出した
ジェダイに着せたいね
MR4027を早速大勢の方に気に入って頂いて
非常に誇らしい
だからまだ引越の荷物が山積みの新居で
ひとり
ししとうとザーサイで黒ラベルを飲んでいる
雲の合間に不気味に光る月を見ながら
乾杯
黒は1着自分用に取っておこうと思っていた
でも
今回も無理だった
欲しい洋服が手に入らない事で喜べるのは
デザイナー冥利
これでまた次の製作がほんの少し前に進む
それの積み重ね
繰り返し
ビールを1リットル飲んだ
このくらいでは酔わないが
最後のししとうが
滅茶苦茶
辛かった
ので
3本目
頂きながら
骨を見て事件を解決するアメリカのドラマを見る
今日は骨が溶けているそうだ

8月が終わる
店頭に次々と新作が届いて
吉川店長のテンションも高くなっている
仕事の質もそのテンションに比例して高めてくれると良いのだが
コレクションページは未だ春夏のまま
3年経っても進歩しないグウタラ男にも
沢山の心優しいお客さんが付い頂いてる事を感謝しなくちゃいけない
それを本人が認識しているかどうか
主は心配である
失礼が有ればこちらまで
話しは変わりワタクシゴト
引越を初めて1週間
未だ目処がたたない
旧住居にはまだ幾ばくかの置き土産
あれもすべて回収しリースの子供ゲージの返却などもしなくちゃいけない
北山の新居も段ボールに囲まれて布団を一枚ひいて眠るだけ
嫁と息子は実家に避難中
大変である
ただ
やはり新しい街に越すのは楽しい
その上念願の北山での暮らし
鴨川まで徒歩46秒
夕方になると
時々
素晴らしいサックスの演奏が聴こえて来る
秋になったら僕もギターを下げて
MR4027でも羽織って北山橋の袂のベンチに腰掛けて
秋の夜長を楽しもうと思う

MR4019
15代目のプルオーバーパーカ
このパーカを描き上げた時の事はよく覚えている
2月に会社を立ち上げて
当然春夏の展示会などやれる訳もなく
10月の秋冬の展示会に向けて日々机に向って絵を描いていた
独立前の会社から譲ってもらったデスク
東急ハンズで買った天板と脚を組み合わせた不安定なデスク
初めて買ったパソコンはMacmini
納品書も請求書もは手書きだった
仕事も少なくて
それでもあの頃はもの凄く忙しく感じていたが
夜自宅で4年前に発売されていたファイナルファンタジーXをやる時間があった
そしてこの大黒柱のパーカは
その夜の暇つぶしからヒントを得た
最後に父親を殺さなきゃ行けない残酷なストーリー
父親はクジラの化け物の様な姿に成り果てていた
そのクジラの化け物のシルウェットと背と腹を分ける線
ぐっと来た
僕は机に向って絵を描いた
それから数ヶ月後の秋冬の展示会
初代プルオーバーパーカがハンガーに吊るされた
用尺に原価計算、パターンパーツ数などまったく気にしない
ド素人だからこそ出来たと思う
十分に勉強して賢い大人になってからではきっとこの絵はかけなかった
そう思う
15回のマイナーチェンジを繰り返して
今年MR4019と刻んだこのパーカ
生地も素晴らしい物が見つかったし
首元のボリュームは初代のそれに近い
ただし
8年間の進歩はしっかり反映させて
寸法もバランスが良くなった
8年前を知る人も知らない人も喜んでもらえると思う
MR4019
店頭投入完了
                  
                

突如KAMMERに住み着いたドクツルタケ
根元の眉の様な糸が意志の隙間に張り巡っている
おそらく収穫してもまた生えて来る
とてつもなく危ない白い死の天使
猛毒御三家と言われるらしいが
残りの2つが気になる
にも続々と作品をアップしている
ご多忙ご遠方の方
ぜひこちらで新作をご覧頂きたい
吉川の写真も3年前に比べれば宇宙工学雑誌とゴシップ宇宙人情報の差
ヒトは成長し変化できるが
するかしないかは本人次第
脈々とご先祖様が進化を続けて
こんなに便利でアカデミックな存在になったのに
それをわざわざ放棄して
メカニズムや真理を無視した無責任情報に一喜一憂しているのは
もったいない
進化を利用するか
進化しきったからこそ
退化し放題のジェットコースターに絶叫するかは
自由だ