8月が終わる
店頭に次々と新作が届いて
吉川店長のテンションも高くなっている
仕事の質もそのテンションに比例して高めてくれると良いのだが
コレクションページは未だ春夏のまま
3年経っても進歩しないグウタラ男にも
沢山の心優しいお客さんが付い頂いてる事を感謝しなくちゃいけない
それを本人が認識しているかどうか
主は心配である
失礼が有ればこちらまで
話しは変わりワタクシゴト
引越を初めて1週間
未だ目処がたたない
旧住居にはまだ幾ばくかの置き土産
あれもすべて回収しリースの子供ゲージの返却などもしなくちゃいけない
北山の新居も段ボールに囲まれて布団を一枚ひいて眠るだけ
嫁と息子は実家に避難中
大変である
ただ
やはり新しい街に越すのは楽しい
その上念願の北山での暮らし
鴨川まで徒歩46秒
夕方になると
時々
素晴らしいサックスの演奏が聴こえて来る
秋になったら僕もギターを下げて
MR4027でも羽織って北山橋の袂のベンチに腰掛けて
秋の夜長を楽しもうと思う

MR4019
15代目のプルオーバーパーカ
このパーカを描き上げた時の事はよく覚えている
2月に会社を立ち上げて
当然春夏の展示会などやれる訳もなく
10月の秋冬の展示会に向けて日々机に向って絵を描いていた
独立前の会社から譲ってもらったデスク
東急ハンズで買った天板と脚を組み合わせた不安定なデスク
初めて買ったパソコンはMacmini
納品書も請求書もは手書きだった
仕事も少なくて
それでもあの頃はもの凄く忙しく感じていたが
夜自宅で4年前に発売されていたファイナルファンタジーXをやる時間があった
そしてこの大黒柱のパーカは
その夜の暇つぶしからヒントを得た
最後に父親を殺さなきゃ行けない残酷なストーリー
父親はクジラの化け物の様な姿に成り果てていた
そのクジラの化け物のシルウェットと背と腹を分ける線
ぐっと来た
僕は机に向って絵を描いた
それから数ヶ月後の秋冬の展示会
初代プルオーバーパーカがハンガーに吊るされた
用尺に原価計算、パターンパーツ数などまったく気にしない
ド素人だからこそ出来たと思う
十分に勉強して賢い大人になってからではきっとこの絵はかけなかった
そう思う
15回のマイナーチェンジを繰り返して
今年MR4019と刻んだこのパーカ
生地も素晴らしい物が見つかったし
首元のボリュームは初代のそれに近い
ただし
8年間の進歩はしっかり反映させて
寸法もバランスが良くなった
8年前を知る人も知らない人も喜んでもらえると思う
MR4019
店頭投入完了
                  
                

突如KAMMERに住み着いたドクツルタケ
根元の眉の様な糸が意志の隙間に張り巡っている
おそらく収穫してもまた生えて来る
とてつもなく危ない白い死の天使
猛毒御三家と言われるらしいが
残りの2つが気になる
にも続々と作品をアップしている
ご多忙ご遠方の方
ぜひこちらで新作をご覧頂きたい
吉川の写真も3年前に比べれば宇宙工学雑誌とゴシップ宇宙人情報の差
ヒトは成長し変化できるが
するかしないかは本人次第
脈々とご先祖様が進化を続けて
こんなに便利でアカデミックな存在になったのに
それをわざわざ放棄して
メカニズムや真理を無視した無責任情報に一喜一憂しているのは
もったいない
進化を利用するか
進化しきったからこそ
退化し放題のジェットコースターに絶叫するかは
自由だ

仕様はカットソー
見栄えはジャケット
僕の中では
カーディガン
サンプルの時よりもやはり上等に見える
こんな事なら
もう少し上代をつけておけば良かった
時既に遅し
既に黒の在庫がほとんどない
追加も視野に入れなくては行けないが
なにせ原価率が馬鹿高い
創っても創ってもあまり儲からない
納期の兼ね合いもある
でも欲しい人がいるから創りたい
零細企業のジレンマ
どこかオリエンタルなアジアの奇麗な洋服の雰囲気が有る物を創るのが好きだ
中国のどこかの山岳地帯に
川の流れを利用してロープ1本船に引っ掻け
岸から引っ張りながら遡って行くど根性民族が居る
そのアイデアもすごいのだが
僕が惹かれたのはその人達が皆
上は明るいネイビーのスタンドカラーのシャツジャケット
下はグリーンのチノーズみたいなストレートパンツ
お揃いできていたのがもの凄くかっこ良く見えた
大学の暫くそれを真似していたのを覚えている
僕は有名ブランドにのめり込んだり
ヴィンテージに取り憑かれたりせずこの業界に住み着いた
洋服をもっと広義にとらえたくて
着る人に取って来て行く事で特別になるのが自然であると
買う時点から特別な存在に仕立てる事は居心地が悪いと
そう思っていた
今もそう思っている

この晴天の下
クーラーがまだついていない新居で
ひとり引越前の立ち会いや掃除や家具の組み立て
飲むお茶と出る汗の量がイコール
少し飲み過ぎかと思う程飲まないと
あぶない
暫くcassowaryに顔を出せずに居るが
吉川から届く日報で皆さんのご来店を確認している
35度の猛烈な暑さの中
次から次へとMR1018のオーナーが決まっている
非常に嬉しい
去年のうちから企画、資材手配した作品ゆえ
嬉しさも倍増する
その他MR4021とMR4027紙プリント裏毛も絶好調
苦労した甲斐がある
パンツではMR3011
急な生地変更を余儀なくされたトラブル品番だったが
元から使うか迷っていた生地に変更したところ
卸先さんからも
『こっちの方が良い』
『信用してますから大丈夫です。送ってください』
と心強いお言葉を頂いた
本当に良い卸先さんに恵まれている
これからもしっかり製作して感謝を表して行きたい
お客さんにしろ取引先にしろ
やたらと賛同したり賞賛したりする人ほど
あまり分かっていなかったりする
僕のお客さんや取引先は口より先に買ってくれる
僕の服を着てくれる
厳しい事も平気で言って来る
これがいい
僕だってまだまだ道半ばどころか序盤戦
店に立ちながら洋服を創るのは
未熟な自分の洋服を着る人と一緒に書くを上げて行きたいからだ
厳しい事言ってくれると言えば
目の上の悪性腫瘍
失礼
僕ら悪玉コレステロールの親玉
市原直樹先輩が何とも似合わない表参道の裏手に店を今日オープンする
どうせ夕べは致死量のビールを摂取して
パンパンの顔して初日を迎えている事かと思う
我が引越と納品で今回は祝いに行けなかった
東京の方々はぜひ
きっと彼らしい店が洒落た街の片隅に根を下ろしていると思うので
そして
どうせ今日も日がてっぺん行く前に酔いどれているはず
じきに大阪店もリニューアルするらしい
目の上の腫れ物にはこれからもしっかり成功例を見せてもらわないと
彼のせいで視界は狭いのだから
見本になって当然だ

『暑い夏には生ビール』
とぼけた事を言う物じゃない
黒ラベルに関して言えば
冬だろうが花が節操無く咲き乱れる春だろうが
旨い
言うまでもないが
もうすぐやって来る秋にもなれば
黒ラベルは生ビールのひつ上の存在になる
我が社に盆休みは無い
納期を必死で守ろうとしてくれている工場さんが
汗水たらしてミシンを走らせてくれているから
毎日の様に新作が事務所に届いている
それを受け取り検品して
首を長くしてくれている方々へ届けなくちゃいけない
ただ
その大量入荷のおかげで北山は鍵を閉めさせてもらっている
その上
我が家の引越も重なり
留守にする時間帯も多い
あっちいってこっちいって
汗だくの毎日だ
だから
愛しの黒ラベルをなかなか飲みに行けない
先日もいつものベトナム屋が軒先バーベキューをすると言うので
仕事終わりに飛んで行こうと思ったのに
既にお開き
お盆で皆が笑い声を上げる中
1人仕事に溺れて泣いている
この男にも盆は無い
生まれたての嫡男のために
毎日包丁を握っている
仕事終わりここに来てちょっとつまんで黒ラベル
今は鮎の一夜干しがおすすめだ
今日は五山の送り火
我が家は絶好調のおかっぱ頭を実家に預けて引越先の大掃除
まだクーラーの無い新居でワックスかけたり
押入の掃除したり
そんな日に限って予想最高気温は35度
32度だった昨日でさえ
3回Tシャツを着替えたのに
今日は何枚持って行こうか
灼熱と潤いの街
風が吹いても不愉快な京都の夏も
後少しの辛抱だ
これを堪えれば
ご褒美の秋がやって来る
そう考えて今日もしぶきの様に汗をかこうと思う
ちなみに
cassowaryは吉川店長がしっかり開けている
はず
今年はいつになく秋冬の新作の上がりが早い
出来る事なら僕も店頭でお出迎えしたいのだが
今年はお許しを

比叡山は霧に
いや
雨に包まれている
明後日は大文字だが天気は大丈夫だろうか?
今日の京都
気温は然程高くはない
ただ
湿度は不愉快きわまりなし
歩行と水泳の中間で前に進む
その湿度のせいだろうね
観葉植物の根元から
まぁまずそうな白いキノコが生えて来た
何者だ
立派に生えた後の木の血縁は間違いなくない
食べても大丈夫だろうか
それにしてもどうやってここに
風が運んだ物語だろうか
不気味だがすごく奇麗だ
のんきな事を言っているところに報告が入った
これドクツルタケではないかと
猛毒のキノコ
なぜそんなキノコが
経路が非常に気になる
とりあえず我が息子を含め
北山には子供が沢山遊びに来るので
今から切除する

記念すべきcassowaryの5周年
その日に届いたのは今シーズンのエースナンバー
MR1018
高蓄熱科学綿がしっかりと入ったキルティングジャケット
スポーティーなつらしてイギリス紳士のシルウェット
展示会オーダーも店頭予約も1等賞
コーデュロイバインダーで飾ったサイドベントが気に入っている
キルティングとは言えど
奇麗に袖を振りウエストくびれも美しく
そして何より
チョークストライプの品の良さ
この生地もオフシーズンに格安で手に入れた上質のデッドストック
ここまで仕上げて価格を抑えられた要因は生地の仕入れに有る
出来映えと価格に自信有り
北山には本日より
堺町六角には明日より配備
ぜひご覧頂きたい
さて
弊社堺町六角の店長の手抜きにより
何のご挨拶も無いまま迎えた5周年
当日にアリバイ程度のご挨拶メールを送るという
失礼極まりない事態をお詫びするとともに
頼りないゆとり世代の副産物が守る堺町六角cassowaryですが
何卒
これからも末永くご愛顧願います
とにかく
わたくしは真剣に洋服を創って行きます
ここに来て頂く人すべてに取って
特別な店である事が理想です

five years
8月12日で六角堺町に店を構えて5年が経った
いろいろ
あった
長かった
そう思う
5年経った今
名前はcassowaryと名乗っている
ただ
僕にとってもおそらくお客さんにとっても
名前などどうだっていい事だ
そう思う
今この店にバーカウンターを創りたくてしょうがない
お気に入りのモルトやブランデーを集めて
それと前からずっと言っているが
木製のアップライトピアノも欲しい
20時を越えたら
天井のライトを消して
間接照明だけにして
誰かがピアノを弾きはじめる
そんな店にしたいなあと妄想している
僕がこの店を好き勝手に
そこらの洋服屋とは少し違うやり方で
5年もの長い間やって来れたのも
皆様のお陰
お客さん
友人
家族
業者関係者
味方の皆様方のおかげ
これからもよろしくどうぞ
誰かにとって特別な店になれたらと
そう思っている

MR4021好調
手応え通りの沢山のお問い合わせに安心している
こう言う事を書くべきではないかもしれないが
これ原価率が50%を越えてしまっている
つまり
卸取引ではほとんど利益が出ない
そんなものでも計算が立つのは
我が直営店cassowaryとKAMMERがあるから
ここがあるからこの値段でだしても
なんとかなる
とはいえども
初回の生産は血液の循環効率上ちょっと押さえ気味
直営店舗分の在庫は40着弱
これは9月まで保つか微妙な数
ファスナーの上がり次第になるが
取り急ぎもう70着程度追加生産を急ぐ
話しは変わり
日本女子サッカー代表
惜しかった
でも清々しかった
関係ないドイツのスポーツ紙が
ハンドを取らなかった主審を責めているのに
監督をはじめ
会見で誰1人それを責めなかった
それどころかシュートをはずした自分の力の無さを悔い
ちゃんと阻止できなかった得点を悔いるコメントばかり
そしてほぼ全員がこう言った
『悔しいけど全力を出し切った』
だからメダルを受け取るとき
全員が笑顔で登場して全身で喜んでいた
ブラジルが日本に負けて
『我々こそ勝利に値した』
と発言しているのは実に醜かった
人のせいにしちゃいけないなぁ
そう思った
僕もすぐ人のせいにする
にげちゃいけないなぁ
そう思っている