風影

カーディナルレッドの衝撃波に少したじろいでいた今年の一番手
ここにきてジワジワと店頭で動き始めました

急に肌寒くなってきたせいでしょう
このくらいの羽織が今活躍します
よくこの時期
『何を着たらいいかわからない』
そういう発言をたくさん聞きます
そうなんです
皆様夏が終わり
なんとなく半袖をなびかせてるうちにコートが出番を迎えるので
薄手の秋らしい羽織を買わないんです
『何を着たらいいかわからない』のではなく
『この時期着るものを買っていない』のです
しかしこの時期に着れるものこそ
一年を通して一番着る期間が長いものなのです

そのポディションに一枚仕立てのジャケットやコートの仕立てで制作すると
やはり価格はしっかりコートの値段になります
だからコートとして軽いものを作るのではなく
シャツをややこしくしたものを作るのです
それがまさにこのMR2069anm2014
それにMR2070MR2015というわけです

これをコートと言われてしまうと
工賃は簡単に1,000円跳ね上がります
そこをあくまでパターン上ヨークがあり
袖付けも完全にシャツであることを主張し
工場に『シャツだ』と言わせるのです
そういう私と工場との戦いの末
これをこの価格でリリースできるわけです

昨夜
私もMR2069を着用し
久しぶりに友人との食事に出かけました
大好物のハモフライに深まる秋を感じ
ほろ酔いで二軒目の終着BARへ向かう道すがら
風になびく着丈124cmの影に酔いしれました

さあ
秋です

 

真の需要

六角通りを通る女性のほとんどが
このコートに何かを感じてくれている様です
『女優のコートやな』
そんなコメントが何度か聞こえてきました

anm1071 “sentry”
入荷してすぐに半分のanm1071のオーナーが決まり
店頭から消えてしまいました
嬉しい限りです

『こんな赤に染めて大丈夫か?』
生地屋さんからは本気で心配されましたが
やはりこの店をやり続けて感じてきた
世の中が先入観的に信じてる需要は全く間違っているという事実
今回も目の前で証明できました

洋服が好きだという人はたくさんいます
その意味はものすごく多様で
確たる定義があるわけではありません
だからさまざな洋服屋が存在すべきだと思います
そんな中で我がmerphの店は
メディアによる先行したブランドの価値の植え付けや
コレクションやエキシビジョンの大号令をシャットアウトします
しかし
この方法は
他力で物が売れなくなるという厳しい環境を
自ら作ることになるのです
だからスタッフには洋服の知識はもとより
一人の大人としての知性と魅力が必要だと考えています
現在cassowaryには将来ある二人の若者がいます
まだまだうまい食い物を私の10分の1も知らないでしょう
飲み屋のカウンターで隣の人を引き込む話のネタも持ってないでしょう
でも
色々な方々にお越しいただけるこの箱庭で働いて
どんどん武器を増やして欲しいと思っています

さあ10月です
台風がまたさらに夏の名残を連れて行ってくれた様です
店の前を通る女性たちの服装はも完全に秋
今日も開店して3時の珈琲を入れる前に
コートが2着売れました
数字の上だけでなく気配もいよいよ秋本番
これから『コート屋』の異名を持つ我々cassowaryの忙しい日々が続きます
そんな今週はいよいよ紳士用のcardinalのsentryが届きます

clammbon mito x merph

京都の街角で長年
看板を出さず
メディア露出も拒否し続けながら
ひたすらオリジナルのフォルムを追求してきた
我々クロージングレーベル”merph”  (メルフ)
デザイナーの坂井自身がかつて音楽家を目指した過去があり
作り出した作品は多くの音楽家に愛用されてきました

そんな愛用者の一人
あのクラムボンのベーシスト ミト氏と
merphデザイナー坂井との度重なる打ち合わせの末
ここにコラボ    レートアイテムが完成しました

プライベートでも親交の深い二人が
merph発足以来
14年間作り続けているアイコン的プルオーバーパーカ
その首元のボタンにミトオリジナルギターピックを使用した
clammbon mito x merph “arenaleader”を制作
10月13日(土)に大阪城音楽堂で開催されるライブの当日
会場で30着限定で先行発売いたします

MR4122 “arenaleader “
clammbon mito x merph
10月13日土曜日 大阪城音楽堂限定価格 ¥18,000(税込)

赤い破城槌

硬い天井に頭をぶつけてもなお
それを貫こうと知恵を絞り
机に向かい
生地の見本を舐めるように睨めつけ
幼少の頃から磨き上げた妄想力をフル活用し
脳内に思い描いた理想の衣を
何ヶ月もの細かい指示確認訂正を繰り返し
今までの自分のステイタスを更新する作品にトライする
それが私の仕事です

さてご報告
この度
デザイナーとしての新しいフロアへ上がる作品が仕上がったと
自信を持ってここにその作品を発表したいと思います

それが
こちらです

cardinal redのバルマカーン
京都の撮影技術では伝わりきらないのが悔やまれます
鮮やかな朱
滑らかなsuper120sメルトン
雨の京都の街角に舞い降りた赤い衝撃

洋服を作っていると
必ずこれまでの自分を超える作品が出て来ます
それは上がって来たとき
本当に自分が作った洋服なのかと
客観的な自分が疑いを持つのです
今日の昼下がりに届いたこの朱色の衣は
未だに私をにやつかせています

これから撮影し
オンラインショップにも載せますが
個人のSNSで公開したところ
ものすごい反響をいただいております
merph_animaの淑女用は10着しかございません
いつもながら脆弱な資金力を呪います
淑女用だけでも30着は売れると思います
メンズも20着もありません
本当に情けない
しかし
無理せず今はこのやり方で参ります

近くに来たら堺町六角の角を通ってください
おそらくこの赤はどこの洋服屋に行ってもかかっていないと思います
merphのcardinal
私の葉幅製作における次のステージへの破城槌
しかと見届けていただきたい

七ヶ月ぶりのメンチカツ

久しぶりの東京出張
久しぶりのメンチカツ
展示会シーズンの真っ只中のこの時期に
三日間東京に行っても
洋服業界の人に一人も会わないデザイナーであります

今回のメインミーティングは
まだちょっと詳細伏せておきますが
また素敵な音楽家の衣装のお話をいただき
そのフィッティングや細部の好みの聴取
総勢5名分
それぞれのこだわりや演奏に邪魔にあるNGディテールを
ものの10分でタイプして
明日の私へE-mail
そしてソワソワとしていた我々は本当の目的地
ミュージシャンの聖地
下北沢へ

私20年ぶりの下北沢
連れて行ってもらった店は
正に下北沢ならではの出で立ちと
飾らないけどちゃんとした料理の数々
ここは生ではなく敬意を持って瓶ビール
漢3人
気を使いながら黒ラベルを注ぎ合い
その後は各々のいつもの酒を飲みながら
ほぼ真面目に時々ふざけて気がつけば午前2時
本番での再会を楽しみにそれぞれの寝床へ

不思議なもので
洋服の世界ではそれほど数珠繋ぎにならないのに
音楽家とは恐ろしいほどご縁があります
きっとまだ私の中のミドル坂井が
あちらの世界への未練に縛られているのでしょう
クロッキーブックではなく
譜面に向かう日々を過ごしたかったミドル坂井の存在が
ちょっと変わった洋服人を生んだのだと
思うわけです

未熟なベテラン

まず最初に
この生地はmerphには関係なく
かつて私が働いていたレーベルの作品です
ミラノで発表し
当時某メゾンの制作チームも顧客にした我が師匠達の服です
ロービングクロスの凹凸を利用して
銅の箔プリントをしたオリジナルの生地
まだレーベルを始める前のスポンジ状態の私の脳みそは
毎日刺激と嫉妬で晴れ上がり
クールダウンするためのビールの量は増える一方でした

merphももう14年やって来ました
ベテランの域ですが
まだまだダメです

夏を駆逐する

ここにきて再び蒸し暑さが戻ってきた京都
まさに夏の断末魔
でもいくら抗っても
日に日に秋が夏を駆逐していきます
夜は虫の鳴き声や心地よい風の総攻撃で
ついにクーラーの出番はなくなりました

昼間は暑くとも
一日を通しって感じる秋のおかげで
つい先日まで見向きもされなかったロービングのコートが
毎日のように売れております
近々渾身の朱色のメルトンで仕立てたバルマカーンも届きます

そして届きたての新型JIP UP PARKA
見た目変化がないと言われましたが
先日書いた通り寸法を完全に書き換えたのです
実はデザインを変えるより神経を使うのです

ただし
フードの形はかなり変わりました
ネック部分が長くなり
さらに首元のボリュームをだせるようになりました
完全にこれも防寒着として使える仕上がりになってます

少しずつ秋の作品が揃ってきたcassowary
本日連休の最終日
雲が太陽を遮っています
夕方には涼しい風が吹くでしょう
秋の準備に入りましょう

メジャーチェンジ

長年merphの縁の下を支えてきたジップアップパーカ
2018年の秋に新しい寸法バランスとッフードの設計を手にいれて
本日9月14日
ついに店頭へ届きました

最初だから無地で無難に生産するのがセオリーでしょう
しかしずっとやりたかったんです
2トーン

カラー品番は”malta”
イタリアのつま先にあるマルタ共和国の町並みになぞらえてつけました

そしてもう一色は”dublin”
アイルランドの首都
夜の石の町並みのイメージです

冬までの軽い防寒着として使えるように
素材はオープンエンド精紡交撚機で紡績した糸で編んだ裏毛素材を選びました
難しい説明は必要であれば店頭で
簡単に言うと
一般的な裏毛に比べ
しっかりとしたボリュームと固さがある仕上がりになるんです

さらに色合いも杢調のものを選んでいます
持論ですが
単色のもののように色褪せが目立たず
スウェット素材などの場合杢調のものの方が清潔感を感じます

久しぶりのメジャーチェンジ
店頭にてお確かめください

世代交代

世界にインパクトを与えたロシアW杯日本代表
乾のカットインがまだ鮮明に蘇る最中
新生日本代表の初国際試合
日本VSコスタリカ
若き日本代表のワクワクするサッカーを見届けました

長く日本代表を支えた面々が見当たらないスターティングメンバー
ロシアで試合に出れなかった者
最後の最後に置いていかれた者
ロシアにすら行けなかった者
その悔しさをぶつけることを期待している実況の安いセリフを嘲笑うように
ピッチを駆け回る選手たちはただただ楽しそうでした
あの試合を観た人々は皆心を躍らせたんじゃないかと思います

かくして
日本代表は世界に名の知れたスター選手たちの築いた一時代に終わりを告げ
新しい希望の星々が輝く新時代の幕が開けました
まさに理想的な世代交代
しかしきっと王者たちも黙っていないでしょう
さあ日本代表が強くなりますよ
ワクワクします

さて
話は変わって我らがmerph
長くレーベルを代表するアイコンだったスウェットパーカ
今シーズン久しぶりの大幅モデルチェンジを敢行しました
フードの設計に寸法
全く新しくなっていよいよこの週末お目見えです

 

othello

届きました
今年のコート一番手は淑女のバルマカーン

今年の春
青い紳士のバルマカーン
ご来店いただいた多くの女性から淑女用を製作しなかったことに
お叱りを受けました

あれから半年
そんな皆様の声をしっかりと反映し
仕上げました

着丈は春の紳士用とほぼ同じ長さ
襟の大きさもほぼそのまま

生地は一目惚れしたロービング
ざっくりと
大きく交差する白と黒
カラー品番はothelloにしました

散々迷った裏地は
深く怪しげな紫のタフタ

いかがでしょう

追って紳士用も近く届きます