春秋冬夏

酒飲みがよく言う台詞

『酒を飲まないと人生を半分損する』

ところが酒を飲まない人がこう言う

『酒を飲むと人生を半分無駄にする』

双方とも強欲だ

もともと半分手に入れば御の字

半分以上欲したり無駄にしたりすると事件が起きる

等価交換がいい

『一神教』や『ワンピース』や『世界に一つだけの花』は苦手だ


春が始まったというのに

秋冬の野望に追われる日々を過ごす僕は

今日もせっせと絵を描いて

まだ形になっていない新作達のスペックを表に記入しはじめた

8年もやって来ると

絵が描き終わった時にだいたいの原価が頭に浮かぶ

それはたいてい外れないが

時々度肝をぬかれる程外れる事がある

安い方へ外れるのは歓迎だが

高い方へいくと血の気を失う

しかし

不思議なもので

後者は必ず我が直営店で

売れる


僕のクロッキーブックからその可能性を感じるものが徐々に形を成している

形を成す

“merph”

我ながらやっぱりいい名前を付けた

春物と呼べるもの納品が全て完了し

そろそろ夏物が上がり始める

そして

更にこれから真夏物も製作に入る

おかしな話だが

僕の企画はいつも夏だけ順序が狂う

春 秋 冬 夏

この順番でずっとルーティーンしている

一年で最もやる事が多いのがこの3月だ


事務所は混乱のインフレーション

始まった混乱は勢いを増して広がり続ける

どうにかしたいがどうにもならない

毎日が綱渡り

ただ広がる混乱の中に必ず選択肢は有る

それをがむしゃらに探しながら兎に角洋服を創っている

日曜日から体内を侵略していたウイルスも

ようやく免疫部隊が制圧に取りかかっている

今日から寝込んだ4日を取り戻す


やる気と黒ラベルの消費量は負ける気がしない





春到来


チノクロスを使った細身のスラックス

長年創り続けている形

気に入っているけどそんなに飛ぶ様に売れる品番ではない

でもこう言うものが僕の洋服のコーディネートの根幹を支えている

徐々にではあるけど

売れる様になって来ている


さて3月ももうずいぶん進んだぞ
日曜日から体調を崩し

昨日は遂に布団から出る事が出来ない状態になった

頭痛悪寒腹痛発汗

発症より4日経ちようやく今日は事務所に座っていられる様になった

外は20度近くまで気温が上がり

春の到来を感じるのに

またしてもフリースの端切れをかぶり

電気ストーブで足下から暖めながらデザインと生産と書類製作に没頭している

脱水症状なのか

手先が冷えて力が入らないので

今日は珈琲ではなくアクエリアスを飲みながら水分補給

どうにか明日には復活できる様にしたい


この週末は気温も天気も春満開のようだ

一足先に春を溢れさせたcassowaryは
充実の在庫状況
万全の状態で皆さんのご来店をお待ちしております

北山KAMMERも病み上がりのわたくしがのんびりとお待ちしてます

いつもよりずいぶん明るい我らの洋服をご賞味下さい


呪いと加護

いよいよ

Jリーグ開幕

今年のグランパスは恐ろしい事にジュビロとの開幕戦

前田がいる

6期連続前田が初ゴールを上げたチームがJ2に堕ちるという呪いが勝つか

観戦した試合は負けなしの浅田舞のご加護が勝つか

なんとか前田のゴールは防いだものの

結果は

1−1

ホームで引き分け

その上

闘利王が負傷交代

思った通りのFW不発

今シーズンはもう我慢するしかなさそうだ


今シーズン絶好調のMartial pants

格闘用のという意味でつけた名前

所謂カンフーパンツみたいな仕上がりのツラが

merph自慢のほぼ1枚のパターンパーツで出来上がっている作品

サイドにもバックセンターにも切替は無く

その上2方向に伸縮するサイロスパンストレッチの生地も加勢して

とんでもなくストレスフリーなボトムが出来た

そんな自慢のパンツを吉川が少々ピンぼけで撮っているのは見逃して頂くとして

ぜひ一度店頭にて体感して頂きたい一品


今週は嫌がらせの様に一気に温かくなる様だし

昨日まで来ていたコートを脱ぎ捨てる事になると思う

ようやくやって来た春

casswaoryは準備万端

完売間近の品番も現在追加生産進行中

これから一気にやって来る春

昨日からおかしい体調を早く回復させて

展示会までの1ヶ月

充実させて行く所存

雨のち吹雪

展示会の足音がはっきり聞こえて来た

送られて来る生地のサンプルや革のサンプルに一喜一憂

描き上げなくちゃいけないデザイン画が溜まり

夜中に資材の割り振りと計算を打ち続ける

体力と気力

共に相当消耗する

そのせいか

今朝熱が少し出た

体もだるい

このまま引きずり込まれるわけにはいかないから

出来るだけ温かい格好をして

足下から電気ストーブで暖を取り

真っ赤な両面フリースの生地の歯切れを

毛布の様にかぶって仕事をしている


そう言えば先日

16度くらいまで気温が上がり

油断していたら夕立ちの様な豪雨が降り

車の汚れは奇麗に落としてくれたものの

せっかく暖まった京都の春もそぎ落とされてしまった

おかげで昨日の北山は吹雪

3月だと言うのに一向にメルトンコートがしまえない

店頭は完全な春のトーンで占領されて

工場からは2013年春夏の最終段階の生産確認が飛んで来る

やはり

風邪ひいたの腹が痛いだの言ってる暇はない


今日も北山は少し冬の表情

南は晴れて幾分春の兆しが感じられるようだ

来週は一気に温かくなるみたいだし

なんとか問い合わせの多いあのシャツの追加が上がる事を祈る


地底の蝉

cardigan:MR4032_beige



粗挽きの杢天竺

それもかなりの甘編み

色も綾目に見える生地ヅラも僕の大好物

真っ先に在庫を押さえて今回の春夏に投入した

今回はこのカーディガンと

merph_animaでローブとAラインのカットソーを創っている

ボーダーも生産してmerphでVネックのカットソーを創った

ボトムは後ろ姿が迫力のあるコンビネーション

リンクでご確認を


さて

3月が始まった

昨夜午前2時

ふらりと先輩の洋服をwebsiteで拝見した

圧倒された

ほんとに嫌になる

追いつこうなんておこがましい事を考えてはいないが

せめて差は縮めたいのに

なんだかまたひらいてしまった様な気がする


確か

僕が彼に初めて会ったとき

彼はちょうど今の僕くらいの年齢だったと思う

既に数多くの取引先を全国に獲得し

いよいよ海外で羽ばたき始める

その時期だったと思う


僕はあの時の彼程の成功にはほど遠い静かな製作を続けている

でも

いつか彼に僕の洋服を見てもらいたいと思っている

酔っぱらったあの一言が

僕に服を創らせた

だから彼が突っ走っている間は僕も走っていないといけない

創っている洋服はポディションが違うけれども

昨夜見た洋服達は

僕に創作の意欲を与えてくれる大いなる服だった

まだまだひよっこどころか羽化もしてないのが僕の現状だ

鳥だと思っていたがどうやら蝉だったようだ

8年経ってしまった

そろそろ地上に出て背中をバックリわって羽を広げたい

ただ

その後が蝉の命じゃ困るけど


martial wear



股下にゆとりを与えて

更に2方向のストレッチ素材を使い

更に更に縫い目のほとんどないパターンで創った格闘服

だからMR3023をmartialと名付けた

上がりヅラは上品なルーズシルウェットパンツ

今年のシャツと合わせてみた

the 春 コーディネート


今日は温かい

京都も16度あったそうだ

これでようやく春の気配が感じられるか

2月は完全に冬に飲込まれた

そんな中次々と春物を投入したcassowaryは

それはもう街角で白い目で見られていたに違いない

でも気にしない変われない

春がようやく来るとなると

天の邪鬼は夏の服を送り込む

そして

夏が来る頃には

秋の空を思いながらウールのジャケットを送り込む

今年もずっとその調子

明日から3月

明日も16度

その後少し寒くなるみたいだけど

もう冬の力も弱まって行くようだ

春はあまり好きじゃない

でも春自体が嫌いなわけではなく

その後に夏が来るから嫌いなだけ

花見は展示会準備が忙しくてどうせ出来ないし

新緑の季節にゆっくり出来る様に

3月はしっかり仕事をしよう

この週末は忙しくなる気がする

六角も北山も在庫をしっかりマネージして店を開ける

category2


好評につき現在追加生産進行中

3月の中旬には上がるのではないかと思う

size1をご希望の方

もう少々お待ちを


春にシャツがしっかり提案できる様になったのは大きい

得意のコート類をいくら春に乱発しても

着る時期が限られるし

僕の創る服はコートはそうは安く上がらない

だから特徴のあるシャツに製作の範囲を広げる様にした


最初は凄く退屈だった

でも

ほんの少しのアイデアで劇的に存在が強くなるこのシャツと言うものに

次第に次第にはまって行った

僕の創りたいものは細かいディテールに拘り抜く伝統的なシャツではなく

気軽に日常に使い込めるもの

その上すこし

変わってるヤツ

ただ

それを狙って手数が多くなると子供っぽくなる

慎重に打つ手を吟味して

“これだ”

と思う一撃を限られた表現スペースに打ち込む

MR2014はそれが上手く行ったと思っている


現在来年の秋冬の製作に毎日飛び回り

事務所に帰ったら机にかじりつき

寝る間を惜しんでパソコンで企画書に文字を打ち込んでいる

相変わらずコートは次々と企画が決まり

もう既にパターンやサンプルが進行しているものばかり

その次はカットソー

これも長年のやりくりで今やたくさんのネタが手元にある

後はアレンジとそこから新しくアイデアを生む作業

パンツはあまり新しい事に挑戦しない

それより悪かった点を見直してじっくり完成させて行くのが良いと思っている


苦労しているのはいつもシャツ

考えても描いても目をつぶっても

長い時間何も出て来ない

それでも何かあるはずだからずっと企画書の“category2”を睨みつける

現在の秋冬の企画

“category1”コート 13型

“category3”ボトム 6型

“category4”カットソー 10型

“category5”アクセサリー 2型

そして

“category2” 1型

今日もここの攻略に一日を費やす

苦手な教科でA判定を取ってみせよう

展示会まで後42日


rainbreaker



先日紹介したMR1034の生地差し替えバージョン

ストレッチが効く防水撥水透湿素材

こいつはrainbreakerと呼んでいる

ファスナーも止水タイプを使用しているが

これは機能を期待して使用しているわけではなく

アクセントとして選んでいる

むき出しで縫い付けて美しく前を飾る事が出来るので

最近この手の生地を使う際は気に入って使っている


中に着ているシャツ

今季多用しているマルチボーダー

前を割る僕のデザインにアクセントを与えてくれるものを探して

この生地に行き着いた

綿と麻の柔らかな薄手のツイル

胸のコーデュロイポケットも思い切って白にして良かった

ボトムは長年微調整して創り続けているスラックス

それに8ozのデニムをのせてみた
今までほとんどデニムを使わなかったが

やはりこの生地は懐が深い

一気にコーディネートが楽になる

駆け込み寺みたいだ


春夏の写真を見た友人やお客さんから

沢山コメントをもらった

やはりみんな今までと少し違う明るさに驚いている様子
なかなか楽しい

Facebookでも続々写真を更新しているのでお時間あればぜひ



あっという間にやって来た月曜日

2月を締めに行きましょ

本日もよろしくどうぞ




春待ち

リネンのシャンブレー

縦糸は薄いブルーと横糸は麻本来の色

春にしか着られない玉虫ファブリック

その生地で創ったのはショートトレンチ

僕の創るトレンチはフロントがバックリと割れる

それは下に着る服をしっかり合わせてほしいというメッセージ

色合わせだけじゃなく

線も合わせてコーディネートを楽しむ

Rと直線が絡み合う線の集合体

上記の写真はそれら全てが表現できているんじゃないかと思う
shirts:MR2017_beige

bottom:MR3018_white

爽やか過ぎるか

何年ぶりかに真っ白なパンツを創った

これが撮影で使い勝手の良い事

きっと普段もそうなのだが

やはり聞こえるのは汚れに対する心配
はっきり言う

白は汚れが目立つ

仕方が無い事だ

だから汚れたら必死になって汚れを落とす

それしか無い

でもこんなにかっこ良くなれるんだから穿かなきゃ損だ


まだ空から白いものが舞い散る2月末

そんな事知った事かと春の洋服が続々とコンクリートの部屋に並べられている

3月になっても雪が振りそうな西高東低だけど

きっと東が盛り返して春は来る

事務所の八重桜の盆栽にもつぼみがついた

春は来る

花粉や黄砂だけじゃなくちゃんとやって来る




beige

コーマギャバジンのbeige

美しい光沢にしなやかな生地の柔らかさ

バーバリークロスより少し接しやすい

この生地は3パーツのバルマカーンとショートトレンチにピンと来た

思った通りの仕上がり

特にひさしぶりに創ったショートトレンチは

店頭卸先問わず好調

出来れば追加したいがもう時期を逃した

残り少ない在庫を皆さんで取り合って頂こうと思う

そしてこっちはリネンツイル
大成功の別注生地

上のモータージャケットはcassowary limited

生産した生地が中途半端に余ったので駆け込み生産してみた

素晴らしい面構えとなり満足

下の写真はまたしても微調整を施してリリースのフードコート

今回は雨風ではなく砂塵や西の空から舞い降りる黄砂を払う役割を担う

ダスターコートと名付けてみた

製品はノンウォッシュだけど

是非一度冷水で軽く洗い

皺を伸ばさず干して

麻ならではの雰囲気を楽しんで頂きたい



春のbeige

いかがでしょう

今年のmerphはちょっと爽やかじゃないかと

魔王だのウツボだの重戦車だの黒魔術師だの

相変わらず巷では酷い言われようをしているが

こんな洋服も創れちゃうんだから

たまには優しいあだ名も付けてほしい


special thanks

tarokichi ogawa