酒場の禁忌 背徳のハモフライ

京都の夏の代名詞
その中でずっと興味がわかなかったのが
『ハモ』

ハモ落とし
焼き霜造り
土瓶蒸し
まあ季節を食すという”粋”
そう理解して出されれば仕方なく食べていました
でも
できれば他の美味い魚が食べたいんです

フグもそう
結局美味いのはポン酢で
フグといえばせいぜいそのポン酢の土台
あの何かザラザラとした歯ざわり
少しも美味いと思わないわけです
それよりカワハギの方が幾分美味いし
アコウなど桁違いに美味しいと思ってしまうんです

などというと
『美味いやつを食ってない』とか
『名古屋人にはわからんわな』とか
他方からお叱りを受けるわけですが
旨くもなく
その上安くもないときたら
オーダーする理由がなかったんです

しかし
その私の『ハモ』に対する偏見を見事にイオン分解したのが
この『ハモフライ』です
丁寧に骨切りされた身は
見事にふっくらと膨らみ
サクサクの衣の中でしっとりと大変身しています
これをウスターソースとマヨネーズで食べるんです
ハモをウスターソースで食べるという
贅沢な神々の戯れ
ハモをマヨネーズで食べるという
背徳の大人の遊び
それをキンキンに冷えた生ビールで流し込むという
老舗の酒場の禁忌

京都に巣食うて二十年
遅ればせながら
私、ハモにハマりました