伏兵の一撃

オリジナルカモフラージュを製作し
その生地のためにデザインしたフィールフドコート
“fixerhunter”
納得の面構えで仕上がった
でもこの迷彩だけでは満足できないので
無地も製作しようと思ったが
ちょっとその無地を吉川に企画させてみようと
秋冬の尾州の生地スワッチを全て渡して
アドバイスもなく選ばせてみた
どうせカーキの無地や黒を選択すると思っていた
しかし
あいつの頭の中は当たり前が通用しない
それは仕事においても
私生活においても
それを忘れていた
選んだのまさかの冷たい杢グレイ
バカにする準備しかしていなかった僕は黙り込んだ
文句無しの一発採用
そしてその売り上げは
僕のオリジナルカモフラージュと肩を並べている
どころか
ちょっとリードしている

よくなぜあれだけ遅刻をし続け
前代未聞の大失態を乱発し
会社に泥を塗るやつをそばに置き続けている理由を聞かれるが
正直僕にもはっきりは言えない
でも
この得体の知れない生き物は
時々
2、3年に一度だけ
僕の大脳新皮質をスルーして海馬に衝撃を走らせる
もしかすると普段の悪行悪態はその衝撃のための布石なのかもしれない
穏やかで刺激の少ない京都の生活に
案外スパイスとして僕は彼に価値を見出しているのだろうか

長く吉川を知る方々
彼が企画した今年のフィールドコートβ
一度ご賞味あれ
これは悪くないそう思います
僕からもおすすめします