わたしの し・ご・と

単純なものほど
merphの作品としては”価値”を求められる
だから
コートのような複雑な洋服を作るのとは
また別の難しさを感じている

以前こんなことを言われた
『複雑でインパクトのある服作りをするからこそ
シンプルなものを作って欲しい』
私の答えはいつも決まっている
『それなら僕以外にもできるでしょうからやりません』
ただのTシャツをいい生地使って作る
その人はそんなことを言っていたのだが
それはもはや僕らの仕事ではない
その昔
まだユニクロや無印がここまでではなかった頃は
その任務は私のような生地に目の利く洋服のデザイナーに託された
しかし
今やそう言った大きな会社がずば抜けた生地を
大量に買い大量に縫うことで
我々は到底でいないコストダウンを実現している
そこにわざわざちょっと高く作る必要がないわけだ
『縫製の質が良くないんですよ』
そう言った人もいた
これこそ無知の極み
一年中同じ場所を同じ人間が天文学的数縫い続けているのだ
そこに寸分の狂い無し
ユニクロだから縫製が悪いなど
一体何十年前の話しているんだ
天下の日本企業があそこまでなる間にそこを向上させないわけがなかろうに
これをファッション記者やらバイヤーが平気で言うから恐ろしい

そう言った古い世代の話は置いておいて
じゃあmerphさんはどうするのか
それは簡単な話
彼らのやらない非効率を
そう
もともとmeprhがやってることをやり続けるだけ
シンプルで質の良いものは彼らに任せて
こんなとこもっと手を抜けばいいじゃないか
って作品を作っていくだけ

MR4108
ウールのカットソーをチクチクしないように
同じパターンで裁断したコットン天竺を裏につけました
40/2のコーマ糸です
これで着用時のストレスは消えます
別のカットソーを重ね着してもいいんですが
設計の差で出る脇の不快感や縫製部のズレが表に影響するでしょ
それ
美しくないんです
このカットソーはそうならないでしょ?
素材が変わればパターンもいじります
去年とはまた別のパターンになってます
効率悪いです
でも
それが
わたしの仕事
わたしの
し・ご・と