落葉外套

今年の京都の紅葉は例年より早いようです
私の出勤路の岡崎公園あたりや
自宅の背後の大文字山は
すでにかなり赤く染まっています

鹿ヶ谷通でお商売をされている方々の
朝の落ち葉掃除も忙しくなっていきます

そんな落ち葉の折り重なる色になぞらえてつけたカラー品番
“dry leaf”を冠したこのネガウールツイルのバルマカーン
実はanimaでもすでに出来上がっています
ちょっとバタバタとしていて
ちゃんと紹介していませんでした
遅ればせながら

紳士用のMR1120とは全く別物です
デザインもディテールも完全に違う仕上がりです
着丈バランスも少し短く
襟の大きさもコンパクト
ただ
裏地はこちらもオレンジのマイクロフリースを使用しています
防寒度は今年のトップランカーです

コートも続々と揃い
cassowaryに差し込む光と影も長くなってきました
もうすぐ秋も終わります
一年の早さは
何年生きても慣れませんね

シャツとシャンパーニュ

幾度となく書いてきましたが
春が苦手です
単純に季節としても苦手ではありますが
大体の私と同じ職業の人間は春という季節を嫌います

無論
merph的理由は察していただく通りです
年中コートを作っていたい男にとって
手数を増やすことができない春夏のデザインは試練でしかありません
しかし
美しい四季がある日本で洋服を作る以上
このわがままは通りません

苦手といえば
シャンパーニュも僕の歴史に縁のない酒です
汚い話で申し訳ないのですが
ビール党の私にとってシャンパーニュの味は
ビールをしこたま飲んだ後に白ワインを飲んで飛び出したげっぷの味…
その上やたらと酔っ払う…
お祝いでいただくことも多いこの悪魔の酒が嫌いでした
しかし
たった一本のシャンパーニュとの出会いが考え方を変えてくれました

『ルアレ デボルド』
僕が苦手とする下の奥でグッとたまるアルコール感を感じない
実に爽やかなシャンパーニュ
出来を語るのは嫌いです
ただ
単純にうまいと思ったんです

ドンペリやモエシャンドン、ヴーヴクリコくらいしか飲まずに
自分には合わない酒だと決めるのは早すぎました
シャンパーニュと言えどこの世にはたくさんの作り手がいるわけで
それを一括りにしてしまうなど
小さな会社で洋服を作っていて
自分がされてら一番嫌なくせに…
全くもって恥ずかしい考えでした

いい大人です
不惑ともいう区切りもとうに超えました
でも思うんです
今の世の中
40歳で達観できるほど物も情報も少なくないんです
だからジジイになっても迷えばいいんじゃないかと

さあ
そう言ってしまった以上は
シャツももっと色々やるしかありません
そうすれば苦手な春が楽しくなるかも

14年やっても
まだまだ未熟なデザイナーです
毎日絵を描いて酒飲んで
シャツのアイデアに『ルアレ デボルド』を探し続けます

 

Mr. merph photographer

 

異例の2週連続の台風の影響で、

本日も生憎の雨になりました

そんな淀んだ空気を

吹き飛ばしてくれたのは、

新作入荷“MR4111”でした 

さて

写真といえば僕、

Mr. merph photographerの出番です 

さっそく撮影しました

ご堪能ください

 

下山

霞む格子と天鵞絨

今年も素晴らしいグレンチェックを探し出しました
しかし
わたしの手元に届いたのは78m
この限られた大好物を
どの形に使うのか
ずいぶん悩みました

今年の冬用の生地の中でも
真っ先に購入を決めたこの生地を
cassowaryの片隅で寝かせた日々は三ヶ月
本当は他にも作りたかった形がありましたが
来年また
これに匹敵する逸材に出会えることを祈って
今回は2型に絞りました

そして昨日
ようやく一つ目の形が仕上がって参りました

MR4111  “bishop” C/#glencheck 
得意のカットソー工場で仕立てるコートクラスのローブです
我々がお願いしているカットソーの工場は
こう言った布帛とニットのコンビネーション作品を
非常に綺麗に仕上げてくれます
このところmeprhの作品に
このコンビネーションが増えてきているのは
紛れもなくこの工場のおかげです

仕上がりに全幅の信頼を置いているだけに
わたしの素材選びにもプレッシャーがかかります

考え抜いた末
選んだのはおそらくちょっと”外れた “素材です
しかし
このギャップというか
セオリーではないマッチアップにより生じるバランスが
最近のわたしの制作の一つの柱になっています

ケンピの混ざった生真面目なグレンチェックと
天鵞絨 のようなフリースファーの二律背反
うまく仕上がったと思います

早速わたしも1着購入いたします
紅葉の始まりから風の弱い冬の日に
今年のセカンドコートとして

乾杯をもっとおいしく

クライマックスシリーズ

ファイナルステージでカープは姿を消しました

打撃陣は沈黙

投手陣は大荒れ

ノーアウト1、2塁のチャンスも

ゲッツーをくらいそのまま得点を取れず

投げては、被弾を食らい敗退

歓楽街は静まり返っていました

そんな中、朗報といえば

黄金時代を築き始めいる事です

今年15勝をマークした薮田投手や

盗塁王、田中内野手

2017年ファーム日本選手権MVP坂倉捕手など

新世代が実績も積み上げています

今日行われるドラフト会議では

早期公表で広陵高校の中村捕手を指名しています

そして

神っている男、鈴木外野手が復帰すれば

来年のカープも期待できそうです

日本一、よろしくお願いします

レギュラーシーズンから

これまでカープ話にお付き合い頂き

ありがとうございます

日本一の為に追加したビールは

昨夜、閉店後に飲み干し

家路につきました

 

次こそは乾杯をもっとおいしく

わたしの し・ご・と

単純なものほど
merphの作品としては”価値”を求められる
だから
コートのような複雑な洋服を作るのとは
また別の難しさを感じている

以前こんなことを言われた
『複雑でインパクトのある服作りをするからこそ
シンプルなものを作って欲しい』
私の答えはいつも決まっている
『それなら僕以外にもできるでしょうからやりません』
ただのTシャツをいい生地使って作る
その人はそんなことを言っていたのだが
それはもはや僕らの仕事ではない
その昔
まだユニクロや無印がここまでではなかった頃は
その任務は私のような生地に目の利く洋服のデザイナーに託された
しかし
今やそう言った大きな会社がずば抜けた生地を
大量に買い大量に縫うことで
我々は到底でいないコストダウンを実現している
そこにわざわざちょっと高く作る必要がないわけだ
『縫製の質が良くないんですよ』
そう言った人もいた
これこそ無知の極み
一年中同じ場所を同じ人間が天文学的数縫い続けているのだ
そこに寸分の狂い無し
ユニクロだから縫製が悪いなど
一体何十年前の話しているんだ
天下の日本企業があそこまでなる間にそこを向上させないわけがなかろうに
これをファッション記者やらバイヤーが平気で言うから恐ろしい

そう言った古い世代の話は置いておいて
じゃあmerphさんはどうするのか
それは簡単な話
彼らのやらない非効率を
そう
もともとmeprhがやってることをやり続けるだけ
シンプルで質の良いものは彼らに任せて
こんなとこもっと手を抜けばいいじゃないか
って作品を作っていくだけ

MR4108
ウールのカットソーをチクチクしないように
同じパターンで裁断したコットン天竺を裏につけました
40/2のコーマ糸です
これで着用時のストレスは消えます
別のカットソーを重ね着してもいいんですが
設計の差で出る脇の不快感や縫製部のズレが表に影響するでしょ
それ
美しくないんです
このカットソーはそうならないでしょ?
素材が変わればパターンもいじります
去年とはまた別のパターンになってます
効率悪いです
でも
それが
わたしの仕事
わたしの
し・ご・と

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