ざわめき

知人の舞台女優に御誘い頂き
彼女の舞台を観に行ってきた
八幡市の石清水八幡宮の境内
その杜の中
ぽっかりと空が開いた場所に設けられた特設の舞台
会場に着いてから
しばらく落日を楽しみ
日が完全にくれた19時
舞台は始まった

実は舞台というものを見るのが初めてで
1時間40分のノンストップの物語と聞き
ずいぶん長くやるんだなあと感じたけれど
始まってみればその作り込まれた音楽やセリフや動きに
目が離せなくなった
冒頭つかみどころがないセリフに逆に集中力が上がった
多くを説明しないまま物語はどんどん進み
大勢のキャストたちは完璧に動き
絶え間なくセリフが襲いかかってくる
見る側に己で考えろ言わんばかりの
様々な思想や哲学、物理学のキーワード
僕も知っている要素がたくさん突き刺さってきた
同じことを知ってる人が書いているんだろう
でも
なぜあんな物語が作れるのか
心がざわざわした

ものを作る者の端くれ
時々こういう全く自分にできないことを成し
心にざわめきを起こしてくれる人間の作品を見るのは
とても重要な刺激になる
洋服に落とし込んだり
直接影響を受けるわけではなく
何か鈍くなっている部分が動き出すような気がする

さて
活発になったはずの我が心を引っさげて
明日からまた出張
ここ二週間は怒涛のスケジュール
舞台の言葉を借りるなら
空間は進み続ける
駅弁食って二時間新幹線で打ち合わせしながら
いい仕事していい酒を飲む