ずっと横向きの写真に拘って来たが
さすがにもう無理だ
わたくしの友人
小川多郎吉君にお願いしてスタイルショットを撮らせてもらった
僕のまわりにはべっぴんさんが多いと男性陣からうらやましがられるが
そのべっぴんさん達からたまには男前を紹介しろと怒られる
数少ない男前の友達
そのなかでピカイチの男前の彼に僕と吉川は惚れ込んでいる
忙しい中
いつも無理矢理撮影にお付き合い頂いて申し訳ない
今度旨いものおごるよタロキチ
さて
写真のコート
愛知県は尾州の特級別注大柄ヘリンボーン
8着を次から次へと引き取り手が決まっていたが
残すところあとsize1が1着
size2に3人
size3に2人
お問い合わせを頂いたが
申し訳ない
わたくしにもう少し財力と心臓の体積があれば倍創っていたのだが
なにせミジンコの財布とノミの心臓
¥3,000/mの生地で用尺3mのコートは思い切れなかった
それにしても
早かった
あっという間に7着に印がついた
そしてそのすべての人が
もの凄い熱意でこれを欲しいと言ってくれた
古い付き合いになった顧客さん
僕の母親くらいの年齢の貴婦人
福松のカウンター仲間のやたらと飲む学生さん
別注を持ちかけなかった事を文句言いながらも
うちの在庫を買い取ってくれた勝手に可愛がっている卸先の大男
そして
うぬぼれ屋さんのデザイナー
洋服はカテゴライズしたりおまじないをかけなければ
いろんな人がそれを手に取って着てくれる
20歳そこそこのかつての僕のような後輩から
悠々自適にご褒美の余生を謳歌する大先輩まで
洋服を創って来て良かった
そう
この仕事
辛い事も多いけど
こう言う出来事に目を向けて
僕は洋服を創って行かなくちゃいけない
便所蜂呼ばわりされようが
ケツの誇り高き毒針でグリズリーだって倒してやろう