それぞれの境界線

天津飯の餡がケチャップベースか鶏ガラ醤油か
その境界線は浜名湖だと聞いた

ケチャップといえばナポリタンだ
京都だと卵を敷いた鉄板ナポリタンがある特定の店の名物になっているが
名古屋なら逆に皿で出てきたらテーブルをひっくり返して店を出る

ケチャップとは何者なのか
アメリカ人の馬鹿舌を支えるイメージから
中華で抜群の仕事をするし
マヨネーズと混ぜたらオーロラと呼ばれてしまう
魅惑の赤い賢者の石

そんなケチャップを使った我が家の伝統料理がこの『ごっちゃ煮シチュー』
ジャガイモ玉ねぎ人参に白菜が入り
肉は豚細切れでしめじなんかも入れちゃって
マギーブイヨンとトマトピューレでベースを整えたら
そこに酒醤油みりんをドバドバ入れて力技で日本の味に持ってくる
洋風田舎汁とでもいえばいいでしょうか
そしてこれは二日目以降がうまいんです
ジャガイモが少し溶けてとろみが生まれて
どろりとしたこいつをペペロンチーノの横にドバッと添えて
境界線で味変を楽しむのです
パンにもよしライスもよしバターライスならさらによし
でもなぜか母の作るやつと味が違うんです
おそらくにっぽんじん調味料の入れ方にまだ恐れがあるんだと思います
本当にドバドバと遠慮なく入れなきゃいけないんじゃないかと
私の作るこのシチューはまだ洋食になってしまう
次回こそその境界線を越えるよう勇気を持って酒と醤油とみりんを投入します