気高い青

藍色と紺色の2色の糸が混じり合う美しいヘリンボーン
私は武道着を思い浮かべました
ちょうど新しく起こしたデザインの襟元は
まさにそれに見える仕上がりです

形は昨日ご紹介した赤いチェックとウォルナットのコンビネーションのシャツと同じ
着丈の長いガウンのようなロングシャツです
店頭に出した途端
京都でも広島でも早速お買い上げいただきました

『暑くて秋物なんか見る気がしない』
そう言われる中で新作が売れる快感
これぞデザイナー冥利というものです

ここ一ヶ月
生産のやりとりはかなり慌ただしく
何かを常に新しく仕込んでいる状況です
仕入れた生地の金額に毎夜悪夢にうなされながら
現場で気前よくご購入いただく皆様に勇気を頂いております
くじけそうな時は
大好物のサッポロ黒ラベルを飲んで
そのキャッチフレーズ
『丸くなるな星になれ』を心でつぶやき
また新しい発注書に数字を書き込んでいくのです

今日も全くもって暑い京都
それにも負けずご来店いただける勇敢な方々のために
クーラーで部屋をしっかり快適に冷やし
冷蔵庫に冷たいコーヒーと紅茶を用意して
cassowaryオープンいたします

novelist

灼熱の中
失礼いたします
merph
そう冬将軍merphのデリバリーを始めさせて頂います

先に追加で生産したリバーシブルベストに続きまして
ウールの赤いチェックと
ウォルナットの少しムラのある糸を使ったツイルのコンビネーションで
ラペルのないロングシャツを作りました

春にも製作した形から
さらに着丈を長くして
袖口のカフスやケンボロを無くして
ガウンのような姿になるように仕上げました

春からあまりにも女性に人気だったので
今回はしっかりanimaでもエントリーしました

暑い日が続きますが
夕方からでものぞいてください

ちまき

本日京都は山鉾巡行
我がcassowaryを中心にぐるりと結界を張るように通行止め
春の葵祭
夏の祇園祭
そして冬の京都マラソン
どれをとっても我が社は出勤困難となります

それに目くじらを立てるのはもうやめました
己が住む街の風物詩をゆとりをもって楽しみます

冒頭の写真は船鉾のちまき
船鉾に祀られている一人
『神功皇后』は妊娠しながらも玄界灘を渡り朝鮮半島に攻め入り
無事に帰還しただけでなく元気な子を産んだといいます
そのため安産のお守りにと妊婦さんがこのちまきを求めるのですが
cassowaryのお客様で祇園祭の複数の山鉾に関わる方から
merphの新作の安産祈願として暑い中持ってきていただきました
『案ずるより生むが易し』
その方からいただいた言葉は
決して楽に生まれるようにという意味ではなく
己を信じて迷わず作り続けるべし
という激励でした
お守りではなくこれは見張りとして
ありがたく店の一番高いところ
そう
お神酒の並ぶあの棚に飾らせていただきます

そろそろ山鉾はみんな新町通へ戻った頃でしょうか
見物を終えた方々が汗びっしょりで堺町通を下がってきています
私も午前中の週明けトラブル対応終え
ブログを書き上げました
さあ暑さに負けず
現場の夏服をプレゼンしながら
未来の冬服を組み立てます

三種の真紅

生地屋さんから
『近年稀に見る朱赤』
と褒めてもらえました
偶数反で染めなきゃいけない縛りに
最後まで4反なのか6反なのか悩みましたが
このところ完売が早すぎるmerph
決してbreakthroughしたわけではなく
一重に製作者のノミの心臓のリミッターによるもの
引き分け狙いの意気地なし
それでも尾張武将の末裔かと
天国で豪傑だった祖父は嘆いていることでしょう
そう
このままじゃダメだと肝を決めたのです
黒味のない朱に染まったスーパ−120のメルトン
6反オーダーいたしました
奇しくも
広島カープの纏し戦いの装束の色
ナゴヤドームで何度となく蒼き子羊を打ちのめした
アウェーの戦闘服の色です

先陣はすでに工場へ突入
おそらく
三連覇で流川が歓喜に沸く秋の始まりに
三種の衣になって皆様の前に凱旋いたします
今年の冬のmerphの勝負をかけたオリジナルメルトン
cardinalの鎧
ご期待ください

blue in black

この店をやっていて
我々がいかなる名前のレーベルであるか
ますネームタグを見るお客さんはごくたまにしかいらっしゃいません
店構えや看板がないことから
ある程度の覚悟を持って独自のスタンスでやっていることは伝わるからだと思います
それは我々に対する敬意だと感謝して受け止めています

だから
そろそろいいのではないかと思ったのです
洋服からmerphの文字を消しても
もとより我が洋服のレーベルの名前や
店の名前をプリントすることを恥ずかしいと感じていたのですが
最近では洋服にレーベルの名前を印字したタグをつけることさえも
なんだか違和感を感じておりました
生一気ですが一人の創作者として
名前ではなく作品を知らしめることを望んでいます

看板を出さず
取材も受けず
映画で主人公が着てもエンドロールに名前を出すことを拒否し
卸もやめて
ついに名前を消しました
それでも服は売れるのです
第三者証明を必要としない
自分の目と心で洋服を選ぶ皆様
今後とも名隠しmerphにご期待ください

スタンス

今年の春
入荷してすぐに姿を消したMR1122 guardian C/#black
あの時点での追加生産を見送り
秋冬の立ち上げに回しました
実は六月に届いていたんですが
少し倉庫で眠れせて
春夏の生産が全て終わるのを待っておりました

春夏と秋冬
シーズンを二つに分けて締め切りに追われて作品を作るのではなく
二ヶ月後に店頭に並ぶ作品を作り続けるmerph
無理にフルアイテムを作らず
得意なものと面白いこと思いついた場合に新作を増やしていくんです
1型1種類の生地で多くても4、50着
京都と広島の旗艦店と時々東京でポップアップを開催して販売すれば
すぐになくなってしまう数
だから2年くらいかけて優秀な作品は数種類の生地にはめてリリースします
そこにまた新しい作品がエントリーしていくシステム
長くかかりましたが
自分なりの洋服制作のスタンスを
ようやく見つけたと思います

それじゃあ
そろそろ秋の作品
届きますので
お楽しみに