反省と改善

2015AW

工場の協力のもと

次々と新作が納品されています

昨年

納期が遅くなり

苦戦した反省をしっかりと繁栄できました

しかし

改善しきれなかったのは生産数

まだまだ体力がなく

ぎりぎりいっぱいのところまでつぎ込みましたが

Sanctum

未だに

あまりにも

矮小

情けない限りです

この悔しさを

次の糧とします



東京のエージェントが必死にこの偏屈なレーベルを

全国にプレゼンしてくれています

ずっとほったらかしだったweb siteを

優秀なデザイナーが美しくしてくれています

みんな少しでも

小さな我らmerphを大きくしようとしてくれています

その熱意に報いる方法はただ一つ

しっかり創りたい形を成すだけです

merph=形を成す

我らが冠した名に恥じぬよう

今週も肩こりと戦いながら頑張ります








アンゴラウサギでビーバー

アンゴラを大量に使用

まるで油分でも含んだかのようなリアルな毛皮のような仕上がり

この縮絨の綾目を完全に覆い隠した生地を我々はビーバーと呼ぶ

過去に使用してきた生地の中でも最も高価な素材

それを贅沢に超ロング丈のトレンチにはめた

みなさん

トレンチ

お好きでしょうか?

改めて書くまでもなく

線を描くことが好きな私は

どうしてもパーツの多い洋服を創ることに傾きがち

だからトレンチ大好物

今年のトレンチは比較的シンプル

なので生地でインパクトを

そう考え

この喉から大腸が飛び出るかと思うほどの生地を使った

私の勇気をぜひご覧いただきたい

値段がいつもより少々高いけど

その価値
十分かと

貴女のご試着待ってます


大きな世界と小さな世界

出来上がった作品に接近してみる

そこにも直線と曲線の集合がある

遠くから見ると一本の線でしかない切り替えも深さがありふくらみがある

僕らは大きすぎて見えないだけだ
糸から生地を創る

生地から服を創る

もっとこの最小単位を理解できれば

もっと洋服を理解できるのかもしれない

でも

結末の形を追い求めることも洋服を理解する方法

相対性理論とM理論の関係みたいだ

merphの洋服はどちらかといえばアインシュタイン側からのアプローチ

たまにはエドワード・ウィッテン側のからのアプローチもしてみたいが

準備がまだ足りない

全部が説明できる数式がわかったら楽だろう

けど

わからないから

それを探すことが楽しくてしょうがない

ということにしておく


苦しんで洋服創って

出来上がった洋服を見て快楽を得る

褒美もまた洋服でしか得られない悲しい民

全くもって修行のような毎日

そんな中

手元に春夏のサンプルが届き始めた

年に2度やってくる眠れない日々

これを超えて焼き鳥の待つ東京へ








sky navigator

MR1084

“sky navigator”

ポケットを配置する両脇をえぐる曲線

それに呼応するようにフロントの裾をランウドさせた

所謂

Pコートと呼ばれるスタンダードデザインに

我らmerphの洋服であるというメッセージをしっかりと植えつけた

生地は

アンゴラが主役の高級メルトン


肌触り

もうこれしかないと思った素晴らしい素材を使った


今回の秋冬

どの品番にも昨年以上に高級且つ稀少なものを使用している

金額は目玉が飛び出るものばかりだが

妥協して一つ下を選ぶことをしなかった

着る人の満足を

創る人間が邪魔してはいけない

次第に店頭を埋めていくその作品を見ながら

半年前の決断を


正しかったと感じている

我ながらこの眺め

惚れ惚れする



秋刀魚の焼き霜造り始めました



9月が始まった

今年の夏は少し短かった

8月の末に秋を感じるなんて

何年ぶりだろう

今日

平安神宮の街路樹の何本かがもう赤い色をつけていた

先日

カフェのテラスで上を見上げたら赤とんぼの群が揺れていた

一昨日

福松で秋刀魚の焼き霜造りを食べた

ついに

merphの季節がやってきた

神戸元町も秋の準備は万端

連日届くコートはすぐさまゆうパックで西の港町へ

例年をはるかに上回るハイペースで作品がそろってきている

オープン以来いまだ神戸に顔を出せずにいるので

春夏の仕込みが一段落したら

ammonスタッフとのミーティングを兼ねて

中華三昧

メニューを勝手に決められる老舗中華にもう一度行きたい


さあ秋のmerphいよいよ本番

9月2日

久しぶりの晴天

cassowaryとammon

トレンチにPコートにキルティングジャケット

新作をずらりと並べて皆様をお迎えします

一つ一つ

心ゆくまで

ゆっくりごらんください



鳴り続ける鈴

8月30日

久しぶりに高鈴のライブ

それ以来


が頭の中で鳴り止まない

これを夏の終わりの夕刻に聴いちゃあいろんなものが溢れてくる

テラス席でひたすら走り回っていた友人の子供たちも

この曲の時

呪文にでもかかったようにぴたりと動きを止めて

歌う山本高稲を見つめていた


歌の力

音楽の力

そこらじゅうで安っぽく使われている商業文句

しかし

彼らの口からそれを聞くと

巷のそれとまったく違う言葉に聞こえる

昔からの友人だから

そりゃあ贔屓目もあるのかもしれない

でも

その下駄を履いていたとしても

高鈴の音楽に感じるものは桁外れに高くそびえ立っている

ここを読んでくれている人にも

高鈴を聴いてほしい

みんなが同じように感じるとは思わない

だけど

きっと多くの人が私と似たことを感じるんじゃないかと思う

彼らは続けていく

ずっと同じことを

自分たちの中にある何かを音楽にして

また誰かと関わって

少しずつ少しずつ自分たちの音楽で気持ちを伝えていく

いい旅をしている

羨ましい





涙のボタン


Fender tear drop pickを加工してボタンとして使用

ちょっとした装飾
友人のロボット工場にお願いして毎度穴を開けてもらってる

面倒で地味な作業を文句言わずやってくれる彼に感謝


プルオーバーパーカも

men’sとwomen’sでまるでバランスが違う

着丈やフードの大きさ

Uネックの下り

そして決定的に違うのが袖付け

women’sのプルオーバーだけ

タンクトップの裁断にロングスリーブを付けている

以前

men’sもこのタンクトップスリーブだったが

肩の張りが強調されつのでラグランに変更した

女性の体でしか成り立たない線の組み合わせ







創造の中心

MR1082

今季のラインナップのなかで

最もデザイナー側のエゴを出し切った作品

おそらく

そんなに受け入れてくれる人はいないのでないか

創っておいてそう思った

ところが

オーダーも結構ついたし

cassowaryでの反響もフラットショットが帰ってきた

ラペルレスのチェスター(そう言っていいかどうか)を外すと

中からコンパクトなキルティングベストが登場

8月好評だったMR1085とMR1091とは全く別のパターンで製作したベスト

要するにこのコート

3ways

我ながら惚れ惚れする仕上がり


私が憧れるデザイナーは

人と違うものを

しっかりとした仕上げで作ることができる人

だから自分もそこを目指したい

ワンシーズン全てがそれになっては優秀ではないが

その自分のエゴを出し切ったデザインが

中心にあり

そこからしっかりとした関係性をもって

全てのデザインが存在するレーベルを目指している

今シーズンの中心は間違いなくこのMR1082

どうぞみなさま

お見知り置きを


男性の無意識人格の女性的側面

merph anima

merph の women’s line

anima

この言葉は単純に英語の『魂』という意味からではなく

カール・グスタフ・ユングが提唱した心理学的性質

『男性の無意識人格の女性的側面』

まさに我が製作の定義そのままの言葉

そこからいただいた

会社を始めた時

女性の洋服を創るつもりは全くなかった

これも

店をやってきたおかげで始まった

お客さんのお連れの女性たちからのリクエスト

女性から迫られると弱い


ところが

いざ始めてみると

まあ難しい

単純に女性の寸法にして売れるもんだと思ったが

大間違い

売れない

女性のお客さんたちはメンズサイズを買っていく

そこで手抜きをやめた

完全に別で製作を開始

そこに運よく素晴らしいパターンナーとの出会いもあり

一気に状況が変わった

その服を女性たちに褒められてさらに図に乗る

いつの間にかメンズと同じくらい毎シーズンデザインを描いている

女は男のことをよくわかっている

男は女のことは何にもわかっていない

脳も男性の脳より女性の脳の方が機能としては進化しているって聞いた

『女の勘』

あれがそれだ

男はバカ

でも

その自覚を得た男は少しだけ賢くなる









黒ラベルを呑み続ける理由

自分の創る服をどれだけ客観的に見ることができるか

その上で

自分の主張をどこまでその服に出すことを許すか

言葉で説得せずとも

自ずと伝わる視覚的な特徴を

ポケットの形を歪にしたり

明らかにわざとらしい裁断を入れるのではなく

数式を紐解くような

今までそこにあることに気づかなかった

見つけてみれば実に美しく調和する

そんな線を探していつも絵を描いている


最近

自分の洋服を説明することを要求されている

以前と違い

いろいろな人の協力でmerphの拡大が始まっているからだ

そうなると

関わる人たちに自分の意図を説明しなくてはいけない

参考にいろいろなブランドがどうやっているか覗いてみると

実に情報統制されているではないか

きっとしっかりとした資料があるのだろう

でも

どうだろう

確かに品質に関わる物理的な情報は当然共有するべきだが

merphをどう感じているかはバイヤーたちの自由ではないか

そこを

某隣国の政治のように思想を押しつける必要はあるだろうか

私はないと思う

merphの取引先のバイヤー達は実に表現力があると思う

こちらが逆に参考にしたくなるくらいに

ブログで書き上げられた物理的なこと以外のmerphに対する表現は

読んでいて楽しい

ただの商品説明だけでなく

私という人間が創っていることを説明してくれている

照れくさいこともあるが

非常に嬉しい

だから私は

ただ洋服を創ってりゃいいわけじゃない

しっかりと日々を真剣に生きて(遊んで)なきゃいけない

そうでなくては彼らの文章を楽しめない


そういうわけで

ギターを弾いて料理を作り

宇宙の研究をしながら

黒ラベルを呑み続けている