伏兵の一撃

オリジナルカモフラージュを製作し
その生地のためにデザインしたフィールフドコート
“fixerhunter”
納得の面構えで仕上がった
でもこの迷彩だけでは満足できないので
無地も製作しようと思ったが
ちょっとその無地を吉川に企画させてみようと
秋冬の尾州の生地スワッチを全て渡して
アドバイスもなく選ばせてみた
どうせカーキの無地や黒を選択すると思っていた
しかし
あいつの頭の中は当たり前が通用しない
それは仕事においても
私生活においても
それを忘れていた
選んだのまさかの冷たい杢グレイ
バカにする準備しかしていなかった僕は黙り込んだ
文句無しの一発採用
そしてその売り上げは
僕のオリジナルカモフラージュと肩を並べている
どころか
ちょっとリードしている

よくなぜあれだけ遅刻をし続け
前代未聞の大失態を乱発し
会社に泥を塗るやつをそばに置き続けている理由を聞かれるが
正直僕にもはっきりは言えない
でも
この得体の知れない生き物は
時々
2、3年に一度だけ
僕の大脳新皮質をスルーして海馬に衝撃を走らせる
もしかすると普段の悪行悪態はその衝撃のための布石なのかもしれない
穏やかで刺激の少ない京都の生活に
案外スパイスとして僕は彼に価値を見出しているのだろうか

長く吉川を知る方々
彼が企画した今年のフィールドコートβ
一度ご賞味あれ
これは悪くないそう思います
僕からもおすすめします

予約の返事

京都に帰ってきた
しかしまたすぐに東京に戻らないといけない
今週は中目黒に一泊の予定だったけど
ちょっと大事な友人が衣装の依頼をくれたので
仕事がてらにその晴れ舞台を拝見してこようと思う

しかし久しぶりの京都
寒い
東京が昼間夏のようだったから
そのままの格好で戻ってホームを降りたらぞくっと震えがきた
品川で今夜は早く眠ろうと誓ったのに
乗り込んだタクシーの運転手に思わず
『六角衣棚』(ろっかくころものたな)と伝えてしまった
タクシーから福松に予約のメールを送ったら
『今宵マサキ(店主)、乱れます』と返信が来た
答えは店の暖簾をくぐればわかる

いつもと変わらず賑わう福松のカウンター
僕が通された席は
右に店主の古い友人とその友人の酒豪の九州美女
左に僕の留守中cassowaryで大量にmerphをご購入いただいた
イギリス人のご家族4人
これを店主は必然と言いほくそ笑む

右の二人相当の手練れ
特に宮崎生まれの美女のビールの飲みっぷり
惚れ惚れするハイペース
黒ラベルのケルベロスとして隣のヴァルキューレに負けまいと
いつものストロングスタイル(泡なし)の生ビールを流し込むも
その向こうの店主の旧友から援護射撃
差し出される山廃仕込の不老泉を乾杯とともに一息に飲み干す
おかげさまで到着15分にして
核融合が始まり体の中に太陽が出来上がった
寂しい京都駅のホームで感じた木枯らし一号と
東京ホテル生活の疲れを
あっという間に忘れさせてくれる楽しい夕食が始まった

右にいたイギリス人ご一家の奥様ジュリアさん
僕のことをMr.merphと呼び
二日にわたりご来店いただき
9着もご家族でご購入
そのお礼に吉川君が夕食の予約を手配したらしい
幸いものすごく福松の料理が気にいったようで
旦那様と息子さん二人であらゆる料理を頼み
全て綺麗に平らげていた
旦那様にもお褒めのお言葉を頂戴してご満悦のMr.merph
順調に京都の夜も飲みすぎた

さて京都に帰っても遊んでいるわけにはいかない
今回は京都滞在2日間
この間にさまざまな事務作業を整えて
再び水曜日のぞみに乗り込んで東京に向かう
最後の商談をこなしたら
僕の帰還を待たず先にmerphのサンプルがcassowaryへたどり着く
京都のmerphmaniaの皆様
cassowaryに巣食うあの男からのお誘いが届くかと思うので
お時間の許す方はちょっと新作ご覧くださいませ
久しぶりに色々な人にmerphを見てもらって
少し自分のことがわかってきた
ようやくうまくmerphと僕のことを説明できるかもしれない
それはまたもう少しあとで
ここに書こうと思うので
今宵はこの辺で
良い十末を

 

 

鮫鮫鮫

東京にいる間
先日の書いたナーダともう一軒必ず行く店がある
前に勤めていた事務所の近くの焼き鳥屋
焼き鳥ももちろんうまいが
この店のサイドメニューはどれもめちゃくちゃうまい

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しかし
実はメニューブックとその日のおすすめボード以外に
常連しか知らない秘密のメニューがある
それはいくつもあるそうだが
僕が知る中で最もうまいのは
『サメのステーキ』
カジキに似ているがもっとしっとり柔らかく味もコクがある
それにたっぷりとおろしポン酢をかけていただく
サメは足が速い
だからなかなか仕入れのリスクが伴いメニューには載せられない
今週は僕が一週間近くのホテルに滞在し
一日置きに来店しているので
大将が仕入れていてくれた
10年ぶりに食した海のハンター
やはりうまかった

東京はなれて12年
今でも覚えていてくれる店があって
そこに苦しかったことや楽しかったことを思い出すうまいものがあって
お前は何しに東京に行ってんだと言われそうだけど
毎度
やはり酒飲んでうまいもの食って
じっくり話をしたい仲間がいて
これも自分自身に取って大事な出張の目的
しかし仕事もちゃんとしてこそ
今日と明日は関係者の内覧会
今週は後二日
バッチリ仕事してまた一旦京都で一休み
外は快晴
今夜もうまいもの食って気持ち良く酔えるように
18時までは鮫(ハンター)になる

青葉台で見る夢

東京より
体力が限界に達し
昨夜は恒例の道玄坂『麗郷』で名物フルオーダーにて英気を養った
腸詰、しじみの酒蒸し、焼きビーフンが有名で毎回食べているけど
前回発見したこの細切り豚肉のあんかけ焼きそばが
最近のBest
たらふく食して早々にホテルで奈落に堕ちた

今回宿泊が運良く非常に広い部屋となり
洗濯機もあるし快適に過ごしている
場所も我がルーツ中目黒の青葉台
会場の並木橋や渋谷で飲んだ後
懐かしい街並みを散歩しながらホテルに戻っている
楽しさと若い頃へのちょっとした嫉妬
じわりと心にしみる寂しい気持ち
こういう場所があるのはなかなか良い

展示会の首尾はといえば
非常に良い
もちろん僕自身もエージェントももっともっと目指すところは上にあるが
これまでの暗黒時代を思えば
雲泥の差がある
言い換えれば
これまでいかに手を抜いてきたかということだ
長年営業のプロとしてやってきたエージェントKにとってみれば
このくらいの結果は当たり前だと言われる始末
ならば
僕はこれからやっていくことは明らかで
すぐさまそれに取りかかるべきだということ
休んだりサボったり
忙しいふりしてきたけど
実は随分僕はのんびりやってきたんだと反省した

昨夜の早寝のおかげで日の出前に目が覚めた
一階まで無料のコーヒーを取りに行って
展示会までに一仕事
先ずは春夏の修正点のまとめ
その後発注の準備
オーダーが集結したら数だして
即刻関係各所に通達
11月の2週目には2016年の秋冬のデザインを全て描き上げる
11月下旬にはパターンの製作に入る
やる気は熱いうちに行動へと変換しないといけない
merphの黄金期はこれからきっとやってくる
『想像できることは全て実現可能である』by モーガンフリーマン先生

ナーダとダーナ

明日から再び東京
今週は非常に忙しくなる
平日のバイヤー様のご来場から
週末はSanctum関係者や僕の古い友人の来訪がある
毎度、ちょっとした同窓会になる

そんな東京生活中
いつもお世話になっているのが
親戚の姉ちゃんみたいに面倒見てくれる先輩
陽子さん和食ラウンジ『ナーダ』
板さんは弟のてっちゃん
写真の名物メンチカツで飲む黒ラベルは絶品
お造りもうまいし焼き魚も最高
そして先日いただいた
豚肉の煮込み(写真はピンボケのため割愛)
塩で煮込まれた豚肉はトロトロ
そしてスープはそのままラーメンスープになるほど旨みたっぷり

たらふくうまいものを食わせてもらってる
長丁場が続く東京出張
気心知れてうまいものが食える店があるのはなんとも心強い

陽子さんとは京都の友人のホームパーティーで出会ったのだが
実は洋服業界でずっと働いていて
それも僕が東京で師匠と仰いぎ夜な夜な酒場のお供をしたあの先輩の元部下
つまり
姉弟子ということになる
世界はどんなに広かろうとも
波長は縁を引き寄せるもの
そのおかげで離れて10数年経つ東京に
全くアウェイ感を感じない

というわけで
今週も行ってまいります

品川発15:27

今週も週末だけ京都に帰還
さすがに疲れが溜まり始めている
今日は事務仕事を終えてからソファで果てた
しっかり疲れを取って
来週も三度東京へ
次は5泊6日の長丁場
この時期の東京は展示会でホテルを取るのも一苦労
結果、毎日違うホテルに宿泊する羽目になった
交通費もばかにならない
これだけの投資をしっかり取り返せる結果を
なんとか手にして帰りたい

きつい東京京都の往復生活の中で
楽しみにしているのが夕焼けだ
日が短くなってきたことが頭に入っていなかったから
先週は品川出たらすぐ落日
今週はしっかり計算し
三河の平原で夕日を見れるように
15:27品川発ののぞみに乗車
一時間ほどの日が暮れ行く風景を見ながら
好きな曲をひたすら聴きながら
余分なことを考えずに名古屋までの絶景を楽しいんだ

さあ
来週は最多アポイントの週だとエージェントから聞いている
宿泊は中目黒
僕のルーツの街
毎朝
昔働いていた事務所の前を通り
代官山へ坂を上り
八幡通を並木橋へ向かう
来週は酒を控えて毎朝歩いてみようと思う

再び並木橋

今日から再び展示会へ合流
先週良い商談ができたので
今週もしっかりと喉を枯らしてきます

exic

今月は毎週東京へ向かうのですが
世の中便利になったものです
iPhoneからパパッと予約して
改札でこいつをピっとすりゃ時間のロスもなく出張へ向かえます
おまけに割引やポイントシステムでグリーンに乗れたり
4往復もすれば相当お得
浮いた分で焼き鳥を食ってきます

それでは留守中の吉川の監視
皆様宜しくお願いします

merph_media

web siteのリニューアルに伴い
merphのInstagramアカウントを取得しました
アカウント名はmerph_media
merphの作品をどんどんアップしていきます
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_MG_4400

展示会でバタバタしている10月
知らぬ間に店頭では完売品番が出ていました
自分も欲しかったMR1085リバーシブルベスト
仕上がりの満足は店頭での上下のスピードと比例します
京都と神戸で用意した在庫は26着
生地があればもっと作りたかったんですが
十分に買い込む財力の無さを恨みます

朝夕はすでに冬の支配が始まりました
早々と冬の訪れたcassowaryに飾られた溢れる作品達も
そろそろ出番でしょう
洋服を着ることが楽しくて仕方のない季節がやってきます
merphも少しお手伝いができるかと思います
お近くにお越しの際はお立ち寄りください

 

手練れ

このコート
新しく紹介するような面構えをしているけど
実はこいつのフードを外しただけの状態

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1つのコートの中にこうやっていくつもの表情があるものを創るのが好きだ
展示会でいつも思うのだが
新規のバイヤーの商品の見方は実に平面的で
僕の服のいろいろなディテールにまったく気がつかない
それを見て思うのは
世の中の洋服が如何に平面的に判断できるものであるかということ
創り手側はいろいろ奥行きを工夫をするのだが
無駄に終わる
しかし
やはりその奥行きに気がつく人がいる
僕らはそういう人たちと関わりたい

merphの取引先はもちろんそこに気がつく人たちだ
それどころかこちらにもっと可能性を求めてくる
最近気に入っている言葉で言うと
”相当の手練れ”だ
百人斬りより
僕は手練れ同士の果たし合いがしたい
それがmerphの洋服をさらに向上させる

展示会とcassowaryを行き来する10月
この忙しいひと月にただ振り回されるのではなく
しっかりと次のmerphの糧とする
質の良い気合が

意外とみなぎっている

特選幕内駅弁

10/7
朝早く新幹線に乗り込み東京へ
2016SSの展示会
今回からはエージェント契約を結んだLANDS SHOWROOMにて
場所も慣れ親しんだ並木橋
新参者ながら何かこうアウェイ感まったく感じない居心地の良さ
二日間あっという間に過ぎ去った
そして本日夕刻
好物の特選幕内駅弁を食べながら早々と京都に戻ってきた

20151008

展示会ももう何度やったのか
年々洋服業界の状況は悪くなるばかり
なのにうちの取引先殿の目はギラついてて良い
頼りになるし負けたくない
展示会は果たし合いみたいなものと考える
創るこちらも売るあちらも
これから半年の命運をかけての真剣勝負
うまくいけばお互いうまい酒が飲める
だから時間かけて自分の考えを伝え相手の考えを聞く
そんな中からヒントを見つけたり
次回の展示会に活かせるアイデアを形にしていくこともできる

この展示会は10月の末まで続く
できる限り京都から会場に毎週行こうと思う
一筋縄ではいけないmerphだとは思うが
それでも今の卸先さん達のような出会いはある
諦めず
じっとりと
良いパートナーを探していく