トレンチコート
このコートでいかにmerphと成すか
悩んだ
結果大きく割れたウイングベントを採用して
胸のあたりだけにしかボタンを配さず
ポケットは軍用のフラップポケットにした
merph_animaのトレンチはこれ
入荷日にすぐに売れるのは何よりも分かりやすい評価
ハンガーにかかっていても
着用している姿も
見ていて穏やかな気分になる
サンプルの製作時に起きる苦難を乗り越えた作品は
デザイナーを安心させてくれる
さあ
今日もサンプルが届く
どうか騒つかないように
トレンチコート
このコートでいかにmerphと成すか
悩んだ
結果大きく割れたウイングベントを採用して
胸のあたりだけにしかボタンを配さず
ポケットは軍用のフラップポケットにした
merph_animaのトレンチはこれ
入荷日にすぐに売れるのは何よりも分かりやすい評価
ハンガーにかかっていても
着用している姿も
見ていて穏やかな気分になる
サンプルの製作時に起きる苦難を乗り越えた作品は
デザイナーを安心させてくれる
さあ
今日もサンプルが届く
どうか騒つかないように
毎日
このライトの下で
問題を解決していくだけで日が暮れる
展示会サンプルは
いつもそうだけども
一筋縄じゃいかない
今日も朝からあっち行ってこっち行ってからcassowary
そのついでに昼メシは王将で酢豚定食
酢豚にジャガイモが入っていた
これは王将のスタンダードなのか
それとも北白川店のひらめきなのか
どちらでもいいが
個人的感想を言うと
パイナップルには勝っているが
できれば入れないでいただきたい
王将を食べた午後は眠気との戦い
カウンターで珈琲を飲み
時々白目をむきながら
どれだけ見直してもミスが見つかる書類とにらみ合う
午前中に届いていたサンプルは又してもICUへ緊急搬送
戦線に復帰できるか
それとも一度も試合に出ず引退するか
洋服の世界は厳しい
そんな中午前中指定の荷物が午後に届く
佐◯急便の午前中指定は努力目標
本部の偉い人がそう言った
しかしその遅れてやってきた新人が
暗く重たい空気を切り裂いた
品川の新幹線ロビーで打ち合わせしたスニーカー
まるでブーツみたいなスニーカー
これはいける
16時を過ぎた頃から
眠気には打ち勝つ
なぜなら寒気が襲ってくるからだ
3月とはいえ
コンクリートに囲まれたここは
日が傾くと冬の気温になる
仕方なく17時20分暖房起動
すると眠気が蘇る
忙しいふりしているが
結局のところmerphのデザイナーは
毎日
眠気と戦っているだけ
まだ肌寒い
というより
寒い
今日は四時に起きた
和食の朝食を取り
一本映画を見てから出勤
それでもまだ午前十時
この清々しさと
同時に襲う普段への猛烈な後ろめたさ
やはり
人間朝早くから仕事して
腹すかして昼にうまいもん食う
それがいい
当たり前のことがずっとできてなかった
一文無しでも早起きすれば三文持ちになれるはずだ
三文は現代の貨幣価値に直すと100円くらいらしいから
一年続けりゃ36,500円徳をするんだ
そういうとこから意識改革
不良経営者の根性を叩き直す
と
気合を入れたところにサンプル登場!
しかし2型出来悪し!
直ちにセカンド製作始動!
このくらいで挫けない!
3型は問題無し!
明日のサンプルはきっと美しいはずだ!
iTunesの”FOR YOU”に出てきた懐かしのバンド
“echobelly”
ケルトやノルディック民謡のようなメロディーに
少しパンクなギターロック
そして
何よりもインパクトがあったのは
ボーカル”ソニア・オーロラマダン”
インド系のイギリス人の美少女
元キックボクサーの異色の歌姫
彼女の独特の低めの声と歌い方
たまらなく好きだった
とにかく毎日くらい聴き続けたアルバム
“Everyone’s got one”
今日はcassowaryにてこれを大きめの音で聴いている
大学の2回生のとき
このバンドのinsomniacって曲をやりたくて
わざわざどっか他の大学の女の子入れたの思い出した
名前なんていったけな
ぞっとするが20年前の出来事だ
それにしても
さっきからずっとこのアルバムを聴いているが
全曲好きだ
そんなバンドこのバンドとゴダイゴくらいしかなかった
今日家に帰ったら間違いなく
何曲か譜面探して弾いてみることになる
アップルさん
ありがとう
やまない雨の水曜日
しずかな水曜日
我らはせっせと冬仕込み
もう3月
またもや展示会
早すぎる流れと
変わらない日々
脳みそが腐るんじゃないか
筋肉が溶けるんじゃないか
無駄な心配を繰り返し
無意味な決意は垂れ流し
それでも縫いあがったmerphに興奮し
甘ったれた心に往復ビンタ
土壇場に来て最大出力全速前進
分刻みの決断と冴え渡る代替案
この10日間の集中力を
なぜ僕は3ヶ月前にできないのか
嘆いていても始まらない
関係各所に頭を垂れて
今はとにかく休まず進め
そんな日々が続いた
ようやくすべての品番の何某がはめ込まれて
あとは上がりを待つのばかり
今度のmerphはどうなるか
どうか強く美しく
一目でmerphとわかるよに
工場の皆様
よろしくどうぞ
長引いた冬が終わった
合わせるように春の作品が届き始めた
その中から本日はトレンチコートをピックアップ
これまでのmerphでリリースしてきたものと
完全に異なるフォルムの新作
シルエットは緩くAラインに開き
肩幅いつもどおりだが
身幅も少しとってある
そして何より後ろのウィングベント
このディテールがしばらくmerphのアイコンになるので
お見知り置きを
一見変わったディテールではある
しかし単純に変わったことをやろうというわけではなく
このアイデアにより
洋服は動きを手に入れて
さらにベントの機能も備わって
着用者も動きが取りやすくなる
しっかりと物理的なメリットがある
生地に選んだのは60/2スーピマで織り上げたバーバリークロス
ある程度のしなやかさと張りを共存させている
”ちょうどいい”バーバリー
控えめで艶やかな光沢もよし
いつもとちょっとちがうmerphのトレンチ
よろしくどうぞ
スイスでルックブックを撮影することになり
撮影のスタッフとチューリッヒへ向かった
現地で手配したモデルさんはまっすぐな金色の長い髪の毛に
少し冷たい目をした超美人
緊張しまくったが話しかけてみると
見た目に反してものすごくよくしゃべる陽気で気さくな人だった
その上彼女はデンマーク人で
同じくデンマーク人の彼氏の心臓外科医について
スイスに移住してきたらしく
僕がデンマークに友達がたくさんいて
コペンハーゲンにも行ったことがあると話すと
故郷の話に嬉しくなったのか
今日彼が迎えに来るから
一緒に食事に行こうと誘ってくれた
彼は僕と同い年
メガネをかけて素朴で優しい顔をしていた
オススメのレストランはスイス料理ではなかったが
アンティークの家具に囲まれた落ち着く店で気に入った
お互いの仕事の話
僕の洋服の話
コペンハーゲンの話
それから今住んでいるところが京都だと話すと
彼らの目が輝いた
やはりどこの国の人にとっても京都は魅力的な街らしく
来年必ず行くから案内してくれと言われた
うまい肉料理でワインを飲み
その後一軒賑やかなバーに行って
得体の知れない無色透明の酒を何杯か飲んだ
明日は午後から手術だというのに
大丈夫なのか?
そう聞くと少し彼の顔色が変わった
興ざめなこと言ってしまったと謝ろうと思ったが
すぐにまたにこやかになり
明日の朝食も一緒に取ろうと誘ってくれてた
お言葉に甘えてよろしく頼むと握手をして
朝10時に待ち合わせしてその夜は別れた
朝は恐ろしくすぐにやってきたが
恐れていた二日酔いもなく
遅刻せず待ち合わせの場所に着いた
彼らはもうそこにいた
大きなインテリアショップの併設カフェで朝食を食べた
その後
勧めてくれた展望台に登ることになり
上から僕らを探してくれと言われたので
最上階から下を見ると
さっき帰り際にインテリアショップでこっそり買っていた
ブルーのペーパーナプキンで
大きなスマイルマークを作って手を振っていた
照れ臭かったけど嬉しかった
彼らのおかげで何も計画していなかった撮影以外の時間も
思いがけず楽しい時間となった
滞在は10日間で撮影は3日で終わったが
僕はアンティークのボタンや生地を探してしばらく残っていた
その間も何度か彼らは食事に誘ってくれた
心強い案内役を手に入れたおかげで
収穫は予想以上のものになった
しかし楽しかったチューリッヒの旅は
ある夜一変する
帰国を三日後に控えた深夜
ホテルで荷物を整理していると
誰かがドアをノックした
スコープを覗き込むと
一瞬見間違えるほどの荒んだ姿で
怯えた様子をしたモデルの彼女が
目をぱんぱんに腫らし
そこに立っていた
とりあえず中に入れてはみたものの
泣きじゃくって何を言っているかわからない
暖かいお茶を飲ませて落ち着かせる
15分か30分だったかソファで小さくなって座っていた彼女が
小さな声でこう言った
『彼が殺された』
そんなセリフ実際言われてみると
冗談にしか聞こえないものだ
拙い英語で必死に話をすると
彼はある心臓の新薬の欠点を見つけ
それを暴露しようとして
学会の直前に殺されたらしい
ハートが四つに割れたマークの製薬会社
その会社の心臓の血流を促す薬が
心筋に大きなダメージを与えることを彼は見つけてしまった
そのすべての証拠の隠し場所を留守電に残して
彼は昨夜
雪の降るチューリッヒの街の路地裏で
数人の男に強盗を装い殺された
彼女も狙われている可能性がある
だから証拠と一緒に僕のホテルに逃げてきた
友人や仕事仲間の家も危ない
実家はデンマークだ
だから旅行中の僕のホテルが一番安全だ
警察に行こうと諭すが
警察にも手が回っているからダメだという
そして彼女はとんでもないことを言い出した
明日開かれるその会社のパーティーに忍び込み
彼が残した証拠を来場するマスコミや
医療関係者に配るから僕に手伝って欲しいと
泣きながらも
ものすごく怒りに満ちた強い目で頼んできた
恐ろしかった
でも
彼の無念を晴らしたい
その思いが震えを止めた
僕は頷いた
引き受けたのはいいが
忍び込むにも僕は日本からの渡航者
彼女は顔がわれている
どうやって忍び込むのかと聞くと
まず僕の髪の毛を後ろで束ね
黒ぶちのメガネをさせて
彼の同僚の中国人医師のIDを手渡した
そこにある顔写真
確かに雰囲気は似ている
完璧ではないが欧米の人間にはすぐにわからないかも知れない
僕はこれでいけるだろう
問題は彼女だ
あまりにも彼女は美しく目立つ
明日では太るにも時間はないし整形もできない
すると彼女はカバンからハサミを出し
バスルームに向かい
長く美しいかった金色の髪の毛をばっさりと切り落とした
という
夢を見ました
スイスで製薬会社がらみの医療サスペンス設定
展望台でのエピソード
ハートマークが4つに割れたシンボルマークのデザイン
我ながら自分の脳みその妄想力と
それを事細かに覚えていたこと関心しつつ
寝ている間ではなく
起きている間にもっと働け我が脳みそよと思いました
本日
その脳みそで考えた
新作トレンチコート
入荷します
カウンターで温かい珈琲を飲みながら
地味な作業が続くこの頃
いろいろな資材を選び手配して
サイズが合わなければ手作業で改造していく
手のひらに豆のできる日々
洋服の制作現場はかくも地味なものである
吹雪のスタートとなった三月
さあ春だと気合を入れた矢先の白い礫
以前も四月に降雪があった京の都
スギ花粉も相まって
なんだか非常にやりづらい日々が続く
本日は新しいカテゴリーへの挑戦を始めるため
午前中から打ち合わせ
果たしてうまくできるだろうか
じっくり話聞いてこよう
終わったらまたカウンターに戻って
定位置(右から二番目の白いグルチッチ)で珈琲を飲みながら
長すぎるファスナーのムシをむしり取る
二月が終わった
閏年の29日
京都は夜半から雪になった
トラブルで駆けずり回って最後に雪に襲われて
踏んだり蹴ったりだったが
いいこともあった
書くほどのことでもないが
実に大きな進歩だ
長くかかったが今度こそ本物だと願う
昨年の秋冬から
裏地選びの決まりごとを壊した
それまで裏地はあくまで脇役として
地味で控えめな色を選ぶようにしていたが
多い切って配色をしてみるようになった
黒にはグレー
条件反射のように決めていたところを
ネイビーブルーを使った
グレーのヘリンボーンにワインレッドを使った
なんだかもう一つ遊び場を見つけた気分になった
そして今回の春夏最初の作品には
金色の裏地を使った
春の風にあおられて
チラリとのぞく金色の裏地
グッとくるでしょう
その新作の解説を少々
シングルライダースをウエストのシェイプをなくし
着丈をハーフコートの長さにして
裾にドローコードを廻らせて
コクーンシルエットに変貌できるようにした
しかし袖の湾曲はライダースのまま
脇の下の唇型のマチも施した
春先のリラックスしたサイクリングにも着ていけるように
素材はバックサテン
すこしヌメッとした肌触りの美しい素材
色が何より重要で
品のあるアイボリーを探して行き着いた
光沢 質感 発色全てが求めていた通りの物
もう一色は黒
裏地はネイビーブルー
両色とも素晴らしい面構え
納得の出来栄え
merphの2016春
ようやく開始