8月4日
cassowaryの壁を飾る書の作者
川尾朋子の誕生日だと
知らせが来た
芸術の事はよく分からんが
あいつの書は気に入っている
海外からのお客さんに何度かこれを譲ってくれないかと言われた
つたない英語で
『これはあいつが俺のために書いてくれたから絶対に譲らん』
と断った
数年前
まだ東京から京都に戻り
結婚する間での2年間
山科の友人の持ちビルに
悪友3人で一気になだれ込んだ
人間の大きさの順に6階、5階、4階と分かれて住み着いた
僕が6階
僕で6階
どれだけ低俗な人間の集まりかは想像がつくと思う
5階はバーの店主
4階は最大手広告代理店の社員
そして道路を隔てた向こう側の1軒屋に朋子が住んでいた
ビルのオーナーは大きなスーパーを挟んだ隣のマンションの最上階
僕らはほぼ毎日
誰かの部屋に集まって時間の許す限り飲み明かした
タッパーでおかずのトレードも頻繁に
調味料が足りなきゃパジャマのまま階段を駆け下りた
あのマンションの秋の夜長は最高だった
九条山か吹き下ろす風に当たりながら
ベランダで飲む黒ラベル
ラジオをつけたら偶然『高鈴』のスタジオライブ
井上陽水の少年時代をカヴァーしてた
なんでもないあの夜の事を今でも時々思い出す
もうすぐ秋がやって来る
京都の秋はハモと松茸の土瓶蒸しから始まる
来週
東京から大事なお客さんが来るから
うちの家族連れて大好きな料理屋に行って来る
おそらくもうそろそろお目当ての物が出て来る時期だ
料理の世界ももう秋だ
お盆に大文字が燃えたなら
その後は一気に世間も様子が変わる
春に桜の様に染まった鯛が
今度はもみじの様に染まって帰って来る
やっぱり
秋と冬が好きだ

家族で夜の散歩に出かけた
『お〜』
息子が雄叫びを上げながら空を指した
見上げてみるとなんとか青雲みたいな雲の合間に大きな月
息子の名前蒼麻はインドの月の神様から頂いた
太陽より月が好きだから月の神様から名前をお借りした
全力でただ燃え上がる太陽に
あまり知性や品位を感じない
その体力馬鹿を上手く利用して
肉眼にも美しい光を跳ね返し
30日をかけて満ち欠けする月の立ち位置は
魅力的だ
だから
月の様に賢く品よく育ってほしいと願い
SOMA
と名付けた
しかし
今のところどちらかというと
太陽に寄っている
色白なところだけは月っぽいが
アスペロコットンという綿がある
この綿を僕は非常に気に入っている
主に秋冬に使用するのだが
どこか綿よりウールに近い風合いを有し
ウールと混ぜて使用すると
見た目はほぼ全体がウールの質感を手に入れるが
肌触りでは綿の付き合いやすさを表して来る
昨シーズンに製作した2つのパターンパーツで設計したチノーズに
この生地を差し込んでみた
チノクロスの時は比べ物にならない上品な上がり
グレーとベージュともに
少し白く抜けた柔らかい色合い
そこも気に入っている
北山の事務所は秋冬の新作の納品待ちと
cassowaryから帰って来た春夏の在庫と
2013年の新しい企画の欠片で埋め尽くされている
やる事がどんどん増えて
日々仕事が手につかない
一つ悩んでいるところに別の連絡が入ったり
新しい資料が届いたり
気の多い僕にはもう地獄の様な環境である
明日と明後日は北山もしっかり店舗営業をしなくてはいけないし
獣は嫌いだから猫の手は借りたくないが
イグアナの手でも借りたい状況だ

Flavorichのオイルドクロスハンタージャケット
これ
欲しい
でも
サイズがまったく無理
残念
相変わらずしっかりしてらっしゃる
安心して店頭にだせる優等生ばかり
サイズさえ合えば
数着つれて帰りたいのだが
そのためには全力自転車出勤で後3年はかかると見ている
だからこのジャケットは誰かに譲る
炎天下での30分の自転車通勤をしなくても
既にサイズの合う誰かが買えばいい

葵橋は夕焼けだけじゃない

今日の蒼空は奇麗だった

この清々しい空を信号待ちしながら眺めて

またいつもの金持ち通りをこれから北上する決心をした

そしていつもよりも軽いギアで

ただ黙々と北へ向うその途中

1人の見知らぬ小学生がこちらを見ながらこう言った

『遅刻?』

突然の問いかけに意表をつかれた

『社長だからいいんだよ』

洒落の効かないつまらん答えをしてしまった

なぜそう思われたのだろうか

実は

確かに今日は遅刻だった

バレていたのか

あいつは何者なのか

明日も会えるだろうか

もし会えたら明日はなんて言われるだろうか

北山への通勤もあと半月ほどで終わる

2月からの6ヶ月間

この出勤中に起きた様々なドラマを噛み締めて

そして

残すところあと十数回となった出勤で

何か面白い事が起きる事を期待している

C/#sand
先日からC/#blackの画像は何度も登場していたので
本日はこちらのC/#を公開
毎シーズン
我が作品集に登場するベージュともカーキともグレーとも言えない
狭間の領域にあるこの色を
勝手に”sand”と名付けている
砂場の色に見えるからそう呼んでいるのだが
この色が僕は大好きである
今回は微起毛のストレッチサージを選んでいるので
更に光の具合に寄って曖昧な立場を取っている
太陽を浴びればベージュに見せかけ
部屋に入ればカーキを装う
夜になるとグレーを被って襲って来る
日本の政治家の様なユーティリティー
いや
例えが悪い
まるで吉川店長の様に仕事をしている振り
これも例えが悪い
サッカー日本代表の伊野波の様に
センターバックにボランチ
サイドバックまでこなすユーティリーティー
登録の限られたワールドカプ予選において
こういう選手は必ずベンチに欲しいもの
このC/#sandはそういう考えで監督である僕がコレクションに登録した
それからこちらも絶好調
吉祥寺ROL様と弊社直営店舗のみのスペシャリテ
真夏の太陽が調子に乗って人様の命を脅かす中
次々と売れて行った
残すところ後わずか
嬉しい限り
そろそろ次の納品の山が来そうな予感
少し遅れていたカットソー類もお盆明けには登録されそうだ
他にもパンツにキルティングジャケットに
それからシャツの一番人気のナンバーも上がって来る
8月は遠方からのご来店が多い
なんとか皆さんがいらっしゃるまでに
一つでも多く入荷を完了できる様に
工場様に柔らかくソフトな手触りながらとてつもなく重いプレッシャーを電信しておく

昨日
いつもより30分早く南へ向った
京都府立大学の敷地の開けた空に見えたのは
栄光を風景にした様な夕焼けの始まり
これを見たなら
リチャードアシュクロフトやトムヨークは
美しいスケールのでかいロックを書くのだろうなぁ
そう思いながら
立ち止まって暫く眺めていた
夕焼けにしろ雷にしろ満月にしろ
その瞬間を逃すとあっという間にさっきまでの迫力は消えてしまう
だから飽きるまで見つめ続けるしかない
昨日は用事があったから仕方なく5分程で諦めた
この風景を見て
苗場で荘厳なROCKを聴いている友人達の事を思い出した
7月31日
今日も暑い
至る所からradioheadの自慢が聞こえて来る
本気で行こうとしたのは第一回と一昨年のFUJI ROCK
一度目は大学生だったか?
もしくは卒業1年目だったか?
当時働いていたメーカーの都合でいけなかった
大学生から店長やらバイヤーやら企画をやっている事を初めて恨んだ
二度目は一昨年か
友人が出演する事になり
ホテルまで予約をしていたところに嫁のつわり地獄で参加を辞退
おそらく縁がないのだ
今はそう思っている
行けないのなら自分で唄う
今日は息子と二人で留守番
夕食を終えた後
ヤイリのギターをかき鳴らし
出演アーティストのカバーライブを計画している
息子は3分くらいなら飽きずに聴いてくれる
だから3分のメドレーになる
1曲目は
『high & dry』
キーは1音下で行く

暑いしまぶしい
植物にとっては今一番良い季節なのだろう
気が付けばまた更に枝を広げ
あまりにも奇麗な葉を広げている
何度も絶滅の危機を乗り越えた窓際の木賊もこの繁栄
やがてやって来る底冷えの季節を乗り越えるため
今出来る限りの事をしているように見える
それを見てしっかりしなくてはいかんと思い
午前中からcassowaryでいくつか用事を済ませた後
14時の一番危ない時間帯に北山までのツーリングに出た
快晴の中
夕立ちにでも遭ったかの様に汗をかき
分厚いコートだらけのKAMMERにたどり着いた
先程15時の睡魔との闘いを制し
これから19時までエンジン全開で仕事に打ち込む
明日で7月も終わり
8月だって気が付いたら大文字に火が灯る
頑張るしか無い
暑いけど眠気覚ましの珈琲をぶちかまして
生地と睨み合いながら
次から次へと段取りを組んで行こう

今日は写真は無しで行こう
最近夕焼けの写真ばかりで飽きて来たし
今している仕事について書いてみようと思う
現在
北山の事務所では
8年間溜め込んだ生地スワッチを緑の絨毯に目一杯広げ
決まり始めた2013年春の作品にどんな生地をのせるか検討中
来年の春も相変わらず今まで通り
自分の創りたい物を創る
それは変わり無し
ただ生地の選定は毎年少しずつ趣味が変わって来ている
北山に引っ越す際にいろいろと過去の作品が掘り起こされたが
今見てみると
こう思う
『これほんとに自分が選んだのか』
やはり8年やって来て
ずいぶん選ぶ生地が落ち着いて来た
以前働いていたメーカーで
上司が選ぶ生地を見ながら
『全然かっこ良くないなぁ』
そう思っていた生地を今は探し求めている
色気のある生地を選ぶ様になって来た
自分で言うのもなんだが
そう思う
今日も暑かった
ガラス張りの北山事務所はなかなか冷えない
生地の色を太陽光で見ようと軒先に出よう物なら
十数秒で汗がにじむ
そんな訳で突然三ツ矢サイダーが飲みたくなり
コンビニエンスストアへ勇気を出して買いに行った
グラスに氷を入れてサイダーを注いだ
三ツ矢サイダーを飲むと地元名古屋の
矢田川花火大会を思い出す
『炭酸は骨を溶かす』
我が家は小学生の頃
炭酸は正月と子供の日と矢田川花火大会の日だけしか飲ませてもらえなかった
その反動が炭酸麦酒への偏愛を生んだのではないかと思う
今日は眠たくなると困るからビールは1本だけ
25時からサッカーを見なくてはいけない
今日は福松の上映会も無いだろう
自宅のリビングで大声を出さない様に気をつけながら
若き日本代表を信じて3時まで応援する

昨日のも奇麗だった
暑さとひきかえにこの夕焼けが手に入るなら
いや
やはり夏に少しでも気を許したくはない
早く終われ
葵橋の夕景に見せられて言うのは僕だけじゃない
ここを通るほとんどの人が西の空にカメラを向けている
近々
僕も会社のcanonでもっと奇麗に撮影してみようと思う
merph_animaも上がり始めている
先陣を切るのはanm1012レイヤードジャケット
こちらに使用している生地
コットンシルクビーバーがとてつもなく美しい
それも当たり前
基本的に秋冬の素材がお高い弊社に置いて
群を抜く
いやそれどころではない高級素材
¥4,850/m
天文学的価格のエレガント
会社立ち上げ当初
まだ何も掴めていないころに買ってしまった若気の至り
4反作って使い切ったと思っていた
ところが2月の事務所引越の時
奥から出て来た包みを破いていないW巾の反物
開けてびっくり愛しのビーバー
ちょうど生地を迷っていたanimaのお気に入りのデザインにのせる事にした
どうしても堅苦しいデザインに偏るが
こんなかっちりした洋服を着た淑女にお会いしたいと言う
わたくしの願望をよりどころに製作しているので
仕方が無い

来年の春夏のパターンの打ち合わせの後
食事をとパターンナーさんと福松に向った
そうだった
昨夜は日本vsイスパニア王国
下馬評圧倒的不利の武士道をくすぐる大一番
20:30からゆっくり食事をしながら打ち合わせをして
ちょうど〆のアサリ御飯が出た頃にキックオフ
広島から来てもらっているし
前半で切り上げようと思っていたところに
大津の先制ゴール
そして退場
そんなはずじゃなかったのに
会計を終えた後からの追加ビール
福松のご両人と
隣にいた元サッカーチームの監督の
まるでベンチにいるかのような声出しと長谷川健太を凌ぐ解説付きで
結局最後まで見届けた
試合終了のホイッスルと同時にもちろん勝利の一番星を発注
全員で乾杯してこのすばらしい一戦に浸った
奇跡
と言うには
あまりにも必然的に見えた
そうなんだな
日本はもはや世界に追いついたんだな
さんざん言われた関塚監督の顔が半笑いだったのは
きっと喜びだけじゃなく
馬鹿にして来た奴らに対するメッセージだと思う
安っぽい言葉を愛する日本のメディアマンたちは好きな事を言う
そんなのほっときゃいいんだぜ
そう聞こえた
この日のマンオブザマッチ by 福松は
我らが名古屋グランパスの韋駄天FW 永井謙祐
2本ゴールをはずしたが
試合後に歩けなくなるまでは知り続けた姿に
福松満場一致で黄色い星のジョッキを差し出した
できないと思ったらおしまい
絶対にできると自分を自分が信じなくちゃ何も始まらない
まるで決勝戦の様に初戦に全力を尽くした一回り以上下の青年達に
もうすぐ四十路の体は火照りまくった

夜のcassowary
奇麗な店だと思う
ここにバーカウンターを作りたい
もちろんビールは黒ラベル
錦市場で日替りのアテを仕入れて
気が向いた日だけの営業で
もちろん禁煙
暑い日が続いているが
このところ他府県からの来客が多く
口々にみなこういう
『京都は 暑い』
おいでやす
怨念がそうさせるのでしょう
京都の暑さはまだまだこれから
25度不快に暑くなり
15度で芯まで冷えて来る
『住めば都』
そろそろ広辞苑からこの言葉は消した方がいい
今日も広島から打ち合わせで1人来社する
きっと言う
『暑いですね〜京都!』
打ち合わせ上がりの夕食をベトナム料理にしようかと思うのだが
おそらくほんとにベトナム気分が味わえると思う
『XXの小京都』
そんなキャッチフレーズをよく目にするが
その本家本元の京都は
『和製ホーチミン』
と呼ばれる日が近い