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[ 01.diary ] 2010年06月30日

八木君

小学6年生の夏。

名古屋市少年野球大会。

準決勝。

一回戦から大会ナンバーワン投手を見事に攻略し、

その勢いでベスト4まで勝ち上がった。

参加校は260校。

甲子園球児だった監督の本気のストレートでしごかれた僕らは、

小学生の速球110kmが打ちごろで、

全員が4割り超えの打率で勝ち上がった。

ところが準決勝。

練習試合で何度も当たって、コールドばかりしていた小学校を相手に、

5回で2−8と予想外のビハインド。

ピッチャーはいつものあいつじゃなかった。

今まで見た事も無い遅い球。

市民球場のスタンドまで運ぶ怪物小学生が1番から6番まで並ぶ打線は、

そのトスバッティング並みのボールに力みすぎた。

7番、小学生ながらスイッチヒッターだった僕は、

もともとそんなパワーも無く、

この日、ヒットを積み重ねるも、点差は広がる一方。

ようやく上位打線のタイミングあいだしたのは、最終回。

何番から始まったか忘れたが、

僕のレフト前タイムリーで6−8まで追い上げた。

8番も続き、2アウト1、2塁。

打席は9番、八木君。

右打ちが得意な俊足。

狙い通り、ライトへすばらしいライナーのヒット。

僕はホームは無理だと三塁をオーバーランして、ボールの在処を探した。

その瞬間、審判の信じられないコール。

『アウト、ゲームセット!』

この日のライトは背番号1。

僕らが速球派に強いのを知って、

11番の控え投手をぶつけて、エースはライトを守っていた。

強肩の彼の送球はキャッチャーミットではなく、

ファーストミットの薄く乾いた音を響かせた。

前進守備のライトへ、当たりが良すぎた故のライトゴロ。

ホームはあと10m先だった。

大会前、評判は高くなかった僕らは、

1戦ごとに評判を上げ、準決勝では優勝候補と言われ始めていた。

油断もあった。

勝てる試合だった。

みんな整列のときには泣きじゃくっていた。

昨夜の駒野を見ていて、あの日の八木君の事を思いだした。

誰よりも泣いていた。

勝者がいるところには必ず敗者がいる。

でも、その敗者が美しく見える事がある。

昨夜の日本は疑いも無く、美しかったと思う。

負けてグチグチ言う国の人間でなく、誇りに思う。

日本代表の皆様、ありがとうございました。


投稿者 system : 2010年06月30日 18:02

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